次期FRB議長がパウエル議長、次期FRB副議長がブレイナード氏に。インフレ対応で長期的に米ドルは上昇へ
FRB(米連邦準備制度理事会)の使命は「物価の安定と雇用の最大化」ですが、物価が上昇しつつあるため、次期FRB議長人事が注目されていました。
通常よりも遅い時期の発表となりましたが、11月22日(月)にバイデン米大統領は次期FRB議長にパウエル議長、次期FRB副議長にブレイナード氏を指名しました。
バイデン米大統領は11月22日(月)、次期FRB議長にパウエル議長を指名した (C)Bloomberg/Getty Images News
バイデン米大統領は11月22日(月)、次期FRB副議長にブレイナード氏を指名した (C)Bloomberg
そして、その後の会見でパウエルFRB議長とブレイナード次期FRB副議長は、インフレへの対応を最優先事項とした発言をしました。
パウエルFRB議長はこれまで何度も「インフレは一時的」との発言を繰り返していましたが、これからはインフレへの対応にも軸足を置くことになると思います。
これまでFRBメンバーの中では一番最後までハト派でしたが、これからは引き締めへ舵を切ることになりそうです。
また、インフレに対応するのであれば、米ドル安よりも米ドル高の方がいいため、長期的には米ドルは上昇しやすい通貨になると思います。
12月15日のFOMCに向けて、米ドルは堅調な動きが期待できそう
FRBの要人からもタカ派な発言が続いています。
11月16日(火)にはブラード米セントルイス連銀総裁が「テーパリングを月額300億ドルに増加すると、来年第1四半期末に利上げへの扉が開かれる」と発言しています。
そして、11月19日(金)にはウォラーFRB理事が「テーパリングの加速を支持する」、クラリダFRB副議長が「テーパリングのペースについて議論することが適切」など発言しています。
テーパリングが終了するのは2022年6月の見通しですが、12月15日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、テーパリングのペースを上げて、早い段階で終了させる可能性があります。
また、ドットチャートでも利上げ見通しがさらに早くなる可能性があるため、12月のFOMCに向けて米ドルは堅調な動きが期待できそうです。
日本やユーロ圏の利上げはかなり先に。豪ドル/米ドルはまだ下がる可能性
それに対して、日本やユーロ圏では、まだ利上げはかなり先となりそうです。
各国の消費者物価指数は上昇していますが、日本はまだ低いままです。
ユーロ圏ではコロナ感染が拡大しており、オーストリアではロックダウンも導入されました。
ドイツでも新規感染者数が過去最多を更新するほど増加しており、金融政策の正常化へはまだかなり時間が必要となりそうです。
豪州に関しては、豪ドルのポジションが売りに偏っているため、豪ドル/米ドルは上昇する可能性を考えていましたが、米ドル高が顕著に出ており、豪ドル/米ドルはまだ下がる可能性がありそうです。
(出所:TradingView)
基本的には米ドル/円は高いところでは買わずに、押し目買い方針がいい
米ドル/円は115.00円のバリアオプションも突破したことで、上昇しやすくなったように思います。
ただ、市場の予想が上昇方向ばかりで、すぐに市場参加者のポジションが買いに偏るため、米ドル/円が高い水準では、リスク回避の材料に過敏に反応します。
11月23日(火)も115.15円まで上昇していましたが、米海軍の駆逐艦が台湾海峡を通過し、安全保障上の危険をもたらしたとの報道で、114.47円まで下がりました。
基本的には米ドル/円は高いところでは買わずに、押し目買い方針がいいように思います。
(出所:TradingView)
米ドル/円は2022年1~3月期に118円へ上昇しているのでは
来年(2022年)の早い段階でテーパリングも終わり、利上げの可能性も早くなる可能性があるため、来年第1四半期(1~3月期)には118円へ上昇しているのではないかと思います。
長期的には米ドルの上昇が期待できそうです。
(出所:TradingView)
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