トルコCPIは前年比で21.31%上昇。CPIとPPIの乖離も史上最大に
TUIK(トルコ統計局)は12月3日(金)に、11月のCPI(消費者物価指数)を発表しました。11月のCPIは前年比で21.31%上昇となり、2018年11月以来の高水準を記録しました。事前の市場コンセンサスは20.7%上昇でしたので、市場予想を超えた結果です。
(出所:TUIK)
PPI(生産者物価指数)は前年比で54.62%上昇となり、こちらは2002年以来の高水準となりました。
(出所:TUIK)
CPIとPPIの乖離も過去最大となりました。CPIの前月比での伸びは3.51%となり、足元でインフレ上昇が加速しているのがわかります。
CPIの中身を見ると価格上昇がもっとも大きかったセクターは28.9%上昇の外食とホテル、27.11%上昇の食料とノンアルコール飲料、25.14%上昇の家具と雑貨でした。
(出所:TUIK)
特にエネルギー関連の価格上昇が大きく、コークスと石油精製品は145.94%上昇、原油と天然ガスは116.51%上昇、コア金属は97.13%上昇と、コモディティ価格の高騰が押し寄せています。
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】トルコリラの実質実効為替レートは最安値付近。エネルギー価格の上昇続けば、トルコリラの下落トレンドは続く(11月10日、エミン・ユルマズ)
ただし、コアCPIの方も17.62%増と大きく上昇しているので、名目インフレの伸びがエネルギー価格の上昇だけによる現象ではないことがわかります。特にPPIの前月比での伸びが9.99%上昇で、民間企業のコスト増が深刻な状況になっています。
トルコリラの実質実効レートは史上最安値を記録
トルコ中銀の発表によると11月にトルコリラの実質実効為替レートは54.33となり、1994年から計算されている実質実効為替レートの歴史でもっとも低い水準が記録されました。
(出所:トルコ中銀のデータを元にメルマガ事業部が作成)
11月に米ドル/トルコリラは40%以上上昇しましたが、トルコリラは米ドルだけではなく主要な通貨すべてに対して大きく価値を失ってしまいました。
(出所:TradingView)
原油高の恩恵を受けている産油国が、トルコへの直接投資を増やす可能性も
今週(12月6日~)のトルコリラは対米ドル、対円で上昇に転じましたが、依然として米ドル/トルコリラは13.50リラ前後で推移し、トルコリラ/円も8.50円を越えていません。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
インフレ指標の結果を受け、トルコ中銀は「これ以上の利下げは難しい」とコメントしたことが好感されています。
トルコ中銀はコアCPIが低いことを利下げの口実にしていましたが、そのコアCPIも政策金利である15%を大きく超えているので口実がなくなっています。
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】トルコリラが15%を超える暴落! 政権交代がなければ乱高下を繰り返すか。投資家に重要なのはリスク管理(11月24日、エミン・ユルマズ)
トルコリラの急落を受け、トルコ政府がアラブ首長国連邦とカタールに助けを求め、両国からトルコに直接投資が行われるとの報道も好感されました。
両国からの経済援助はどれくらいの規模でどこまで為替に影響を与えるのかはっきりわかりませんが、原油高の恩恵を受けているオイルマネーがトルコリラの急落をチャンスと見て、トルコでの資産購入を増やす可能性はあります。
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