3月CPIは前月比5.46%増。インフレ上昇の背景にエネルギーと食料品価格の上昇がある
TUIK(トルコ統計局)は今週(4月4日~)、3月のCPI(消費者物価指数)を発表しました。3月のCPI上昇率は前年同月比で61.14%となりました。前月比で5.46%、昨年(2021年)12月比で22.81%でした。
(出所:TUIK)
年間ベース(年率換算)でもっとも物価が上昇率が高かったのが99.12%の交通、70.33%の食品・ノンアルコール飲料で、価格上昇率がもっとも少なかったのは15.08%の通信でした。
トルコ公式のインフレが記録的な上昇を見せている背景には、エネルギーと食料品価格の上昇があるのがわかります。
(出所:TUIK)
付加価値税減税がなければ、インフレはもっと上昇していたか。一部独立系機関の調査では、すでに100%超との見方も
トルコ中銀はインフレの加速を地政学な要因に結びつけています。電気料金など一部の項目で付加価値税の減税が行われていて、それがなければインフレがもっと上昇していた可能性が高いです。
また、一部の独立系調査機関によれば、インフレはすでに100%を超えています。現地ではTUIKがエルドアン大統領の命令でインフレの数字を操作しているとの見方が多いです。
確かに、TUIKの局長が過去にインフレの数字を大きく発表したことで更迭された歴史もあるので、トルコのCPIがすでに100%を超えていてもおかしくないです。そう思っている根拠はPPI(生産者物価指数)の高さです。3月のPPIは114.97%増です。
PPIとCPIの乖離がずっと続いていますが、長期間にわたっ
(出所:TUIK)
トルコ貿易省の発表では、3月の経常赤字は前年同月比で76%増となり、82億ドルに達しました。経常赤字が拡大した背景にもやはり原油価格の上昇があります。
エネルギーの輸入金額は前年同月比で156%増となっています。1-3月期全体でみれば188%増というとてつもなく大きい伸び率です。
(出所:TradingView)
外貨準備高減少は、トルコリラを買い支えていることを意味している。一方、トルコ国民の外貨預金は増え続けている
今週(4月4日~)のトルコリラは、米国の長期金利上昇を受け、対米ドルで下がったものの、円安進行の影響で対円では底堅く推移しています。
(出所:TradingView)
米ドル/トルコリラは14.70リラを超えましたが、トルコリラ/円は先週(3月28日~)と変わらない水準で、8.40円前後で推移しています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
トルコ中銀の外貨準備高は、3月25日の週で1080億ドルに減りました。純外貨準備高も前週の172億ドルから160億ドルに下がっています。外貨準備高の減少はトルコリラが下がらないように介入をし続けていることを意味しています。
一方でトルコ国民の外貨預金は一時期の勢いはないもののまた増え続けています。3月25日の週で14億ドル増えて、2176億ドルに達しました。
エミン・ユルマズ
<内容紹介>
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