トルコの消費者信頼感指数は依然として歴史的低水準。インフレの加速が消費者マインドを大幅に悪化させている
TUIK(トルコ統計局)とTCMB(トルコ中銀)が共同で発表している5月の消費者信頼感指数は前月比で0.4%上昇し、67.6になりました。上昇は歓迎できるものの、依然として歴史的に低い水準で、インフレの加速が消費者のマインドを大幅に悪化させていることに変わりありません。
(出所:TUIK)
ありとあらゆるセクターで物価高が発生していますが、不動産価格の高騰が激しく、トルコ中銀の発表によると3月の住宅価格指数は前年同月比で110%へ上昇となりました。2月に比べても9.3ポイント上昇となっています。ウクライナ情勢の影響もあり、イスタンブールの住宅価格の前年同月比は122%を超えました。
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】トルコリラは反発があっても限定的か。NATOとエルドアン政権の政治的摩擦が、トルコリラの売りに拍車(5月18日、エミン・ユルマズ)
(出所:TCMB)
同じくトルコ中銀の発表によると、5月の市場参加者アンケートでは年末のインフレ予想は57.92%、米ドル/トルコリラの予想は17.57リラとなっています。
前回のアンケートでは年末のインフレ予想は46.44%でした。ウクライナ戦争の長期化が避けられなくなって、インフレが今年(2022年)中に収まらないとの見方が多くなりました。
トルコリラは下げが加速。エルドアン大統領からスーパー国債の発表はなし
今週(5月23日~)のトルコリラですが、対米ドル・対円でともに下げが加速していて、米ドル/トルコリラは16.00リラを超え、トルコリラ/円は8.00円を割ってしまいました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
今週(5月23日~)に入ってから、エルドアン大統領はインフレ連動のスーパー国債を発表するというウワサが流れました。その期待感からトルコリラが買われる場面もありましたが、エルドアン大統領からスーパー国債の発表はありませんでした。
イスラエル中銀利上げでトルコの世界からの孤立が目立つ。短期対外債務は過去最高レベルに増加で、トルコリラ圧力が強まる
イスラエル中銀は5月23日(月)に政策金利を0.40%引き上げて0.75%にしました。市場予想であった0.25%の利上げよりも積極的な引き締めですが、その理由は4月にインフレ率が10年ぶりに4%を超えたことです。
イスラエル中銀の利上げでトルコの金融緩和継続スタンスがますます世界から孤立して目立ってしまっています。
5月26日(木)にTCMBの金融政策決定会合が予定されていますが、市場のコンセンサスは政策金利の据え置きです。選挙に向かって利下げするのではないかとの見方もありますが、個人的にも据え置きの可能性が高いと考えています。
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】トルコリラへのスタンスを弱気に変更。大統領にとって重要なのは、インフレへの対策ではなく選挙(5月11日、エミン・ユルマズ)
3月にトルコの短期対外債務は2021年末比で9.9%増加しました。合計1841億ドルで過去最高のレベルです。短期対外債務の高さは国内の米ドル需要を高め、トルコリラの売り圧力を強めています。
(出所:TradingView)
エミン・ユルマズ
<内容紹介>
今後の世界経済はどのように展開していくのか?すべてがバブルと思われるほど価格が上昇したいま(2022年春)、リーマンショック以上の世界経済の崩壊(!)が近づいていることを、著者は深く懸念している。さらにサイバーセキュリティへの懸念や暗号通貨の広がりなど、グローバル化、デジタル化した世界経済ならではの、新しい問題についても警鐘を鳴らしている。
著者は、こんなときだからこそ、日本に世界の資金が集まるチャンスとも言う。投資をする人も、そうでない人も、世界経済の大転換期に入った今、是非読んでおきたい一冊である。
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