トルコGDPの上昇率は前年同期比7.3%。過去4四半期でもっとも低い成長率に
TUIK(トルコ統計局)は2022年1-3月期のGDP(国内総生産)のデータを発表しました。1-3月期のGDPは前年同期比で7.3%の上昇となりました。高く見えるものの過去4四半期でもっとも低い成長率になります。
データの中身を見ると、GDPにもっとも貢献した項目は個人消費でした。個人消費は前年同期比で11.6%の上昇となりましたが、長年トルコ経済を引っ張ってきた建設セクターは7.2%の低下となり、不動産・建設セクターの冷え込みが激しくなっているのがわかります。
(出所:TUIK)
先週(5月23日~)、同じくTUIKによって発表された5月の経済信頼感指数は2ポイント上昇し、96.7になりました。経済信頼感指数は100を超えた時に経済に対する楽観的な見方が多くなったことを表し、100を割った時には悲観的な見方が多いことを表しています。トルコの経済信頼感指数が緩やかな上昇を見せているものの、経済の見通しは依然としてネガティブです。
(出所:TUIK)
トルコ中銀は5カ月連続で政策金利を据え置き。利上げをしない真の理由とは?
今週(5月30日~)のトルコリラは対米ドル・対円で大きく動かず、米ドル/トルコリラは16.40リラ水準、トルコリラ/円は7.80円前後で推移しています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
トルコ中銀は5月26日(木)に行われた金融政策決定会合で政策金利を変えず、5カ月連続で14.00%に据え置きました。
トルコ中銀はインフレがすでにピークアウトしていて、ロシアとウクライナの戦争も長引かないから利上げの必要がないと説明していますが、真の理由はエルドアン大統領が利上げを許可していないからです。
通常の総選挙までの期間があと1年に迫っていて、一部では秋に解散総選挙が行われるとのウワサも広がっています。エルドアン大統領は何とかして利上げせずに選挙戦を行いたいと考えています。
【参考記事】
●【トルコリラ見通し】トルコリラへのスタンスを弱気に変更。大統領にとって重要なのは、インフレへの対策ではなく選挙(5月11日、エミン・ユルマズ)
トルコ中銀に外貨準備高なく為替介入はできない。外国人投資家がリラ建て資産を売り始め、リラ売りが加速
5月20日週におけるトルコ中銀のスワップを含む純外貨準備高は96億ドルとなり、1月以来の低水準になりました。スワップを含まない純外貨準備高はマイナス551億ドルで、前週比で6億ドル下がっています。
これはトルコ中銀に外貨準備高はほとんど残っておらず、為替介入を行えないことを意味しています。外国人投資家は直近ではトルコ株とトルコ債を大きく売り越していますが、その背景にあるのはエルドアン大統領がスウェーデンとフィンランドのNATO(北大西洋条約機構)加盟に反対し続けていることです。
外国人投資家はトルコと欧米諸国の関係悪化を懸念して、トルコリラ建て資産を売り始めたのがトルコリラの下落を加速させました。
(出所:TradingView)
エミン・ユルマズ
<内容紹介>
今後の世界経済はどのように展開していくのか?すべてがバブルと思われるほど価格が上昇したいま(2022年春)、リーマンショック以上の世界経済の崩壊(!)が近づいていることを、著者は深く懸念している。さらにサイバーセキュリティへの懸念や暗号通貨の広がりなど、グローバル化、デジタル化した世界経済ならではの、新しい問題についても警鐘を鳴らしている。
著者は、こんなときだからこそ、日本に世界の資金が集まるチャンスとも言う。投資をする人も、そうでない人も、世界経済の大転換期に入った今、是非読んでおきたい一冊である。
⇒Amazon.co.jpで『エブリシング・バブルの崩壊』を見る
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)