市場のテーマにリセッション懸念も加わる。米国GDPの結果が悪ければ、米ドル高トレンドも止まりそう
7月22日(金)は各国のPMI(購買担当者景気指数)の発表がありました。
フランス、ドイツ、ユーロ圏、英国、米国と多くの国のPMIが発表されましたが、ただほとんどの国で予想値よりも低い数字となり、さらに景気悪化の分かれ目となる50を下回る国もあります。
市場のテーマは、これまではインフレや金融政策が中心となっていましたが、リセッション(景気後退)懸念もテーマになっています。
米国がここまで一強でしたが、米国のサービス業PMIも予想値52.6に対して、47.0と、悪い数字が出て、米ドル安にも反応しました。
今週(7月25日~)木曜日には、米国のGDPの発表があり、悪い数字が出るようであれば、ここまで続いた米ドル高トレンドも止まりそうです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
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クロス円を見ると円安トレンドが止まっている。ECBは0.50%利上げでユーロは瞬間的に上昇も限定的
7月21日(木)は日銀金融政策決定会合とECB(欧州中央銀行)理事会がありました。
日銀金融政策決定会合では金融政策は現状維持で、緩和政策が継続となっています。
ただ7月最初(5日)のコラムでも書きましたが、円安トレンドはすでに止まっており、多くのクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)では、6月8日(水)前後の高値を更新できずにいます。
【参考記事】
●米ドル/円の今週の予想レンジは133.70円~136.70円。米ドルは、米ドル高が継続するか反転するかの、重要な水準に(7月5日、バカラ村)
日銀が金融緩和政策を継続していることや、米ドル/円は7月14日(木)に139.39円まで上昇していたため、円安トレンドが続いているように感じてしまいますが、米ドル高トレンドは続いていたものの、クロス円を見ると円安トレンドは止まっている状態です。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
ECB理事会に関しては、0.50%の利上げとなり、マイナス金利政策も解除となりました。
事前には0.25%の利上げ予想も半分程度あったため、その瞬間ユーロは上昇しましたが、ただ金利の最終的な到達点は変えないということが示されました。
それを受けて、ユーロは「行って来い」の動きとなりました。
ユーロ/米ドルに関しては1.0130~1.0280ドルのレンジを往来していることになりますが、ここを超えたとしても1.0350ドルはレジスタンスラインとなりやすく、ユーロ圏の各国のPMIも悪いため、上がったところは売られやすいように思います。
【参考記事】
●ユーロ/米ドルは反発しても上昇トレンドにはならないか。中長期的に戻り売り相場継続へ。大きな流れとしての米ドル高は変わらない(7月19日、バカラ村)
(出所:TradingView)
8月25日~27日にジャクソンホール会議開催。FRBだけでなく、ECBや日銀などを含めて重要な局面で、今年も暑い夏に
今週(7月25日~)は27日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)があります。
すでにブラックアウト期間(※)に入っていますが、それまでにタカ派のFRBの要人が0.75%を示唆していることから、今回は0.75%の利上げになる可能性が高いと思います。
(※編集部注:「ブラックアウト期間」とは、中央銀行のメンバーが金融政策決定前の一定期間に金融政策に関する情報を外部に発言することを禁じる期間のこと)
今回のFOMCが終われば、次回のFOMCは9月となりますが、ただ8月25日~27日はジャクソンホール会議があります。
【参考記事】
●ジャクソンホール会議が行われる建物はジャクソンホール? なぜ、ジャクソンホールは世界中のトレーダーの注目を集めるのか?
FRB(米連邦準備制度理事会)だけでなく、ECBや日銀なども含めて重要な局面のため、今年(2022年)も暑い夏となりそうです。
ジャクソンホール会議が行われるジャクソンホールは全米でも有数の観光地で、観光客が1年を通して押し寄せてくるという (C)ullstein bild/Getty Images
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米ドル/円はしばらくもみ合い、ユーロ/米ドルは引き続き戻り売り相場
市場の注目は米国などでのリセッション懸念です。
その影響もあり、米ドル/円は139.39円から135.56円まで下がっています。
(出所:TradingView)
円安トレンドは止まっているため、米ドル次第の動きになると思いますが、ここまでの上昇トレンドが下降トレンドに変わることはないと思うため、しばらくはもみ合いに入るのではないかと思います。
ユーロ/米ドルに関しては、今週(7月25日~)も引き続き戻り売りの相場だと考えています。
【参考記事】
●ユーロ/米ドルは反発しても上昇トレンドにはならないか。中長期的に戻り売り相場継続へ。大きな流れとしての米ドル高は変わらない(7月19日、バカラ村)
米国よりもユーロ圏や英国の方がリセッションになる可能性は高いと思いますので、ユーロ/米ドルが上昇トレンドになるとは考えにくく、反発したところでは売りでいいのではないかと思います。
反発の水準としては、下降チャネルの上限は1.04ドル台後半とまだ遠いですが、近いレジスタンスラインとしては1.0350ドルがあり、ここは売られやすい水準だと考えています。
(出所:TradingView)
ユーロはECBが0.50%の利上げをしても上昇が続いていないこともあり、反発したところは戻り売りの相場だと考えています。
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