今週、ジャクソンホール会議開催。マーケットはパウエル議長のタカ派的な講演を織り込む動きに
直近の動きは、為替市場は米ドル高、株式市場は軟調な展開となっています。
これは、8月25日(木)~27日(土)まで開催されるジャクソンホール会議(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)を意識した動きになります。
【参考記事】
●ジャクソンホール会議が行われる建物はジャクソンホール? なぜ、ジャクソンホールは世界中のトレーダーの注目を集めるのか?(2021年8月23日公開)
ジャクソンホールは米国西部、ワイオミング州にある地域の名称。マーケットは8月25日(木)~27日(土)まで開催されるジャクソンホール会議を意識した動きになっている (C)ullstein bild/Getty Images
特に8月26日(金)23時に予定されているパウエル議長の講演がタカ派的な内容になるとの思惑から、それを織り込みにいく動きとなっています。
年に1度のイベントでもある、ジャクソンホール会議は非常に重要なイベントです。
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パウエル議長の講演、9月の利上げ幅への言及はないか。ファンダメンタルズからユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルは売り方向が続きやすい
その前に、8月23日(火)は各国のPMI(購買担当者景気指数)の発表もあります。
多くの国の中銀が、今後の金融政策はデータ次第としているため、最近の値動きは経済指標での内容に大きく反応しやすくなっています。
毎年行われるジャクソンホール会議では、中長期の経済や金融政策についての発言が出てくることになります。
市場参加者は、9月のFOMCで0.50%か0.75%の利上げに注目していますが、パウエル議長は中長期の内容を発言することや、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)までには多くの重要な経済指標も発表されるため、9月の利上げ幅への言及はないと思います。
ジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演では、9月FOMCでの利上げ幅への言及はないのではないか (C)Bloomberg/Getty Images News
中長期の見通しとしては、米国は雇用が良く、インフレ率が高いままになります。
そのため米国の要人からの発言は、タカ派になりやすいように思います。
それに対してユーロ圏では、インフレ率は高く、景況感が悪いため、悲観的な発言になりやすいと思います。
英国もCPI(消費者物価指数)は前年同月比で10%を超えており、今後は13%になるとの見通しもあります。景況感は悪いため、こちらもスタグフレーション(※)懸念があり、悲観的な発言になりやすいと思います。
(※編集部注:「スタグフレーション」とは、景気後退が進む中で同時にインフレーションが進むこと)
上記の内容程度であれば、目新しい材料でもなく、織り込みも進んでいることもあり、講演が終われば手仕舞いの動きで、米ドルは一時的な反転もあると思います。
ただファンダメンタルズとしては、ユーロ圏や英国は弱く、それと比較すると米国は強いことから、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは売り方向が続きやすいことになります。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
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ユーロ/米ドルの下値めどは、下降チャネルの下限となる0.97ドル台。まずは、ジャクソンホール会議の内容を確認
ジャクソンホール会議ではFRBの要人や、欧州の要人の発言には注目で、その違いがはっきりしているようであれば、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下降トレンドが続くことになります。
下降トレンドが続く場合、テクニカル分析からはユーロ/米ドルは7月19日(火)から1.01~1.03ドルのレンジが3週間続き、レンジを一時的に上に抜けて1.0368ドルまで上昇しましたが、下降チャネルを抜けることはできず、再度レンジ内に戻りました。
超長期の1.03ドル台半ばのサポートラインを下抜けてから、その水準に戻れていないため、まだ下げが続く可能性があることになります。
(出所:TradingView)
下値めどとしては、下降チャネルの下限が現在は0.97ドル台にあり、今はその水準を目指す動きとなっています。
今週(8月22日~)はジャクソンホール会議があり、中長期の見通しが示されるため、まずはその内容を見る必要があると思います。
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