8月26日(金)23時、ジャクソンホール講演が焦点
今週(8月22日~)は、とにかくジャクソンホールですね。
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演は8月26日、金曜日の23時からです。
コンセンサスは、タカ派的なメッセージが出て市場に広がる楽観に冷や水を浴びせるのでは、という感じですね。
【参考記事】
●ジャクソンホール会議が行われる建物はジャクソンホール? なぜ、ジャクソンホールは世界中のトレーダーの注目を集めるのか?
7月分の米CPI(消費者物価指数)は予想を下回りましたが、米雇用統計は予想を上ブレ。
パウエルさんとしては、タカにもハトにも寄せづらい状況ではあります。
ただ、昨年(2021年)のジャクソンホールでパウエル議長は「インフレは一時的」とあなどる発言をして、政策対応が遅れました。
ジャクソンホールかどうかはともかく、タカ派へ寄っていくのでしょう。
7月の利上げでFFレート(※)は2.5%まで上がってきました。
ほぼ中立金利(景気を熱しも冷ましもしない水準)ですから、ここがゼロライン。この先、どれだけ利上げできるか、ということにもなりますね。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
年末時点の織り込みは3.5%。ここまでは織り込まれています。
米2年債利回りが4%なら、米ドル/円は140円超え
「FFレートを反映する鏡」となる米2年債利回りは先週(8月15日~)、3.3%台まで上昇しました。
3.5%まで上がっても不思議はないですし、パウエル議長がジャクソンホールでタカ派的になれば、3.5%を超えてくるかもしれませんね。
(出所:TradingView)
米セントルイス連銀総裁のブラードさんは、年内3.75~4%への利上げを示唆しています。
今の米ドル/円は米金利につれて動いていますから、米2年債利回りが4%を超えてくれば、1米ドル=140円を超えることになるでしょう。
(出所:TradingView)
FRBのタカ派修正がどのタイミングでやってくるのか――。ジャクソンホールでその可能性がありますから、要注意ですね。
逆にいえば、「ジャクソンホールでタカ派になる」との期待感が高まっているため、少なくとも8月26日(金)を過ぎるまでは株安・米ドル高になりやすいでしょう。
もしもハト派的だと、株式市場が急騰する可能性もある。どちらに転ぶのか、注目です。
ユーロ/米ドルが再びパリティを割ってくるとターゲットは0.97ドル。この先の材料次第では、さらに下もありそう
ジャクソンホールがどうなるにせよ、3%台の米金利は悪くない水準。
モルガン・スタンレーは「キャッシュが今、比較的魅力的に見える」と分析しています。
キャッシュとはすなわち米ドル。この米金利水準だと米ドル高は続くのでしょう。
ユーロ/米ドルは再びパリティ(1ユーロ=1.00米ドル)に接近していますね。
ロシアへ依存する資源の不安定さは変わりませんし、ドイツではライン川の水位低下で船舶の運行にも支障が出ています。
ユーロ圏から聞こえてくるのはネガティブな材料ばかりで、ユーロ/米ドルが再びパリティを割ってくるとターゲットは0.97ドル。この先の材料次第では、さらに下もありそうです。
(出所:TradingView)
ロシアの資源大手ガスプロムは8月31日(水)から9月2日(金)まで、ノルドストリーム1によるヨーロッパへの天然ガスの供給を停止すると発表しました。メンテナンスのためだそうです。
資源価格は全般下がってきていますが、欧州向けの天然ガスだけは高値を更新しています。
ガス価格が上昇すれば、LNGやスポット取引で買わないといけないですから、決済のためのユーロ売り・米ドル買いが出てくる。ユーロ/米ドルの下落要因ですね。
対スイスフラン、対米ドルでのユーロ売りを継続。米ドル/円の押し目買いも検討
今年前半は「円を売っていれば儲かる相場」でした。
後半はここまで「ユーロを売っていれば儲かる相場」が続いています。
見方を変えれば、前半も後半も「米ドルを買っていれば儲かる相場」だったとも言えます。
終わってみれば、2022年は米ドル高の1年だったということになるかもしれませんね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 月足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 月足)
欧州通貨では英ポンドも弱いですね。
英金利は上がっているのに、英ポンドは怖いくらいに買われません。
(出所:TradingView)
対スイスフラン、対米ドルでのユーロ売りは継続ですが、ユーロ/英ポンドだけは別ですね。
それとともに、米ドル/円の押し目買いも検討したいと思います。
【参考記事】
●ユーロの下落に引き続き注目! ユーロ/円、ユーロ/スイスフラン、ユーロ/豪ドルの売りで! 米ドル/円は130~135円程度のレンジか(8月15日、西原宏一&大橋ひろこ)
●ユーロ/スイスフランの売りを継続。深刻なユーロ安と、リスクオフや円高への警戒感も高まっている8月は、ユーロ/円の売りも良いか(8月1日、西原宏一・大橋ひろこ)
●ユーロ売りが基本戦略、ユーロは「好材料のない夏」に。おすすめはユーロ/スイスフランの売り! ユーロ/円の売りも良さそう(7月25日、西原宏一&大橋ひろこ)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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