米国のM2が3月に急落、データ導入以来の減少率
みなさん、こんにちは。
ちょっと中長期の話になりますが、友人達と話題になっているM2マネーサプライについてご紹介させていただきます。M2とは、貨幣の流通量、マネーマーケット・ファンドの残高、普通預金など、マネーサプライを示す重要な指標です。
現在、米国のM2マネーサプライの前年比マイナス成長が米金融業界で注目されています。
FRB(米連邦準備制度理事会)が発表した最新のデータは、この重要な流動性指標が崩壊を加速させていることを示し、3月には過去最大の減少を記録したのです。
このデータによると、3月の米国のM2マネーサプライ(季節調整なし)は20.8兆ドルで、前年同月比マイナス4.05%と大幅減少。これは1959年にデータが導入されて以来、最大の前年比減少率で、前月のほぼ2倍。同指標は4カ月連続で前年比マイナスとなっています。
信用収縮の可能性が拡大
現在一部のエコノミストの目には、M2マネーサプライは米国のインフレの方向性や中央銀行による今後の金利決定に関する重要な手がかりになると映っています。
業界では実際にM2マネーサプライが3月にさらに減少する可能性があると予測していた人も多数いました。
例えば、モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイク・ウィルソン氏は今月初め、銀行部門に対する最近の圧力を考えると、M2は "急激に減少する "かもしれないと予測。
実際、この3月のM2データは、銀行部門の混乱以来、初めてのマネーサプライの指標であるため、それ自体が重要な意味を持つことになります。
銀行危機がもたらす大きな影響として、まず信用収縮の可能性。
このM2マネーサプライの急減少が、FRB のピボット(政策転換)を早め、米金利安、米ドル安に転じるのではないか?との観測も拡大しています。
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4月も米ドル/スイスフランは主要通貨の中でもっとも上昇した通貨に!
今週で今月も終了です。
ここで今月の主要通貨の騰落率をチェックしてみます。
下図は今月の対米ドルの主要通貨の騰落率。
今月も全ての主要通貨に対して最も上昇した通貨はスイスフラン。次はユーロ。
下落した通貨は、ニュージーランドドルや豪ドル、そして日本円が上げられます。
このコラムでは続伸するゴールド(金)の代替としても考えているスイスフランに対して、引き続き強気なスタンスを継続します。
【※関連記事はこちら!】
⇒スイスフラン/円を押し目買い! ゴールドの続伸に追随するのはスイスフラン、ゴールドが2075ドルを上抜けるようなら、スイスフラン/円は159円へ向けて上昇か
スイスフランは、対米ドルでは8年ぶりの高値水準(米ドル/スイスフランでは下落を意味する)。
(出所:TradingView)
スイスフラン/円も一時151.53円まで暴騰しています。
(出所:TradingView)
スイスフランは、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])が「外貨売り/自国通貨買い」の為替介入を実施しているとの報道もスイスフラン高の要因となっています。
輸入インフレの抑制が目的だと想定されますが、スイスフラン安是正に向けて当局が自ら買いの「実弾」を撃ち込んでいる影響は大きいと考えています。
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1.1500ドルへと続伸するユーロ/米ドルにも注目
スイスフランに加え、ユーロ/米ドルにも注目しています。
(出所:TradingView)
マーケットの注目は5月3日のFOMC(米連邦公開市場委員会)。
コンセンサスは0.25%の利上げ。そしてそれが最後の利上げになる可能性もあります。
一方、翌日の5月4日にはECB(欧州中央銀行)も控えています。
コンセンサスは0.25%の利上げですが、0.50%の利上げ予測も増えています。
このFRBとECBのスタンスの相違がユーロ/米ドルの上値余地を拡大させているといえます。
SNBが「外貨売り/自国通貨買い」の為替介入を実施している米ドル/スイスフランは戻り売り継続。
(出所:TradingView)
ECBの利上げも控え、1.1500ドルへと続伸するユーロ/米ドルの動向にも注目です。
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