外国人投資家が、日銀の金融政策に変更がないことを確認して、新たに円売りをしてきた
先週末(6月16日)開催された日銀の金融政策決定会合で、これまでの金融緩和政策を維持することが決定されました。
これまでの植田総裁を始めとする、日銀のメンバーからの発言からしても、この決定は当然の結果で、何も驚きはなかったにもかかわらず、発表後、急激に円安が進みました。
ここまで円安になるとは、正直やや驚きました。
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しかし、これは私が日本人だからで、外国人投資家は「ひょっとすると日銀は政策を変更するのではないか」と思っていて、変更がないことを確認して、新たに円売りをしてきたのだと思います。
こうした感覚の違いも、今後の参考にしなければと実感しています。
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日銀は、当面金融政策を変更するつもりはまったくないことが読み取れる
その日銀ですが、当面金融政策を変更するつもりはまったくないということが、植田総裁らの発言から読み取れます。
彼らの現在の認識を整理してみます。
まず、最近物価の上昇の一方で、賃金も上昇傾向にあることが、日本経済にとって非常にいい方向に向かっていると考えています。
そして、今後この流れを継続的なものにしていくためには、現在の金融緩和政策を維持する必要があると考えています。
また、足元で物価は、日銀の目標としている年率2%の上昇を上回っていますが、これは一時的な現象で、世界的にインフレが収まってくる中で、また自然に目標値を下回ってくると予想しています。
だから今、金融政策を引き締め方向に転換する必要はないと考えています。
こういう認識であることが、はっきりしています。
そうなると、当面現在の金融緩和政策は維持されると考えて間違いないと思います。
諸外国はいずれも金融引き締め方向であるため、日本とのコントラストがより鮮明になり、円全面安に
一方、諸外国は先週のコラムでご紹介したとおり、想定以上にインフレが低下してこないため、
(1)今後の利上げを継続する国(英国、EU(欧州連合)など)
(2)いったん利上げを停止していたが、再び利上げし始めた国(豪州、カナダなど)
(3)いったん利上げを停止したが、今後また利上げ再開が見込まれる国(米国、メキシコなど)
の、大まかに言って3つのグループに分かれています。
【※関連記事はこちら!】
⇒クロス円中心の円安はまだまだ続く! 日本以外の各国がまだまだ利上げをする可能性が高く、円全面安は極めて当たり前! 米ドル/円の動きが鈍く、介入リスクも低い(6月16日、今井雅人)
しかし、いずれも金融引き締め方向であるため、日本とのコントラストがより鮮明になってきていて、円全面安になっているという状況が続いているということです。
そして、その状況は当面変わりそうもありません。
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クロス円のチャートの形はかなりいびつで、調整が入ってもおかしくない状況
ただ、チャートの形はかなりいびつになってきています。
例えば、ユーロ/円や英ポンド/円などを見ると、一目均衡表の雲から大きく乖離し、MACDもかなり買われ過ぎ水準に入っています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
チャートだけをみると、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の調整が入ってもおかしくない状況になっています。
このことが少し気になっていて、ここからの円売りをあまり深入りしないように慎重にやっています。
逆に、いったん調整の円買いが起きてくれれば、クロス円も買いやすくなってくるのではないかと期待している面もあります。
米ドル/円は140.00円前後、ユーロ/円は154円台、英ポンド/円は179円台あたりを買いの目途に、押し目買い
今週(6月19日~)は、鈴木財務大臣、西村経産大臣から円安を懸念するけん制発言が出てきています。
状況的には、政府の為替介入のリスクは警戒注意報程度ですが、ひょっとすると、マーケットの警戒感が少し高まる可能性があるのではないかと思っています。
【※関連記事はこちら!】
⇒クロス円中心の円安はまだまだ続く! 日本以外の各国がまだまだ利上げをする可能性が高く、円全面安は極めて当たり前! 米ドル/円の動きが鈍く、介入リスクも低い(6月16日、今井雅人)
中期的な円安方向の見方は維持しながら、押し目を待って買うというスタンスで臨んでいます。
米ドル/円は140.00円前後、ユーロ/円は154円台、英ポンド/円は179円台あたりを買いの目途としていますが、下がらないようであれば、様子をみながらそれより上で買うつもりです。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
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