米ドル/円の介入は165円程度まで入らない印象。神田財務官の任期満了で吹き上がったところに介入もある
米ドル/円は160円手前まで上がってきちゃいましたね。
9.7兆円の介入でも戻ってきました。
介入が入った4月29日(月)のように、スピード感のある上昇ではないので、介入は入らないでしょうし、水準的にも165円程度までは入らないんじゃないか、という印象です
(出所:TradingView)
介入はもう出来ない、と見る向きもあるようですね。
度重なるイエレン財務長官からの「介入は稀であるべき」との発言や、米国が半期に1度公表する為替報告書で、日本が再び為替「監視国リスト」入りしたことで、そのような見方が出ているようです。
ただ、神田財務官は「米為替報告書の影響、断言して言うが全くない」「為替、過度な変動あれば適切に行動」などと発言しており、介入できないということはありません。
もっとも、「どこで入るのか」ですね。4月のように米ドル/円が噴き上がるようなボラティリティの上昇があればわかりやすいのですが、果たしてそのきっかけが何なのか。
任期満了(※)が近い神田財務官の交代が発表されれば、噴き上がるとの声もありますね。
(※編集部注:財務省は2023年6月27日(火)、神田財務官の3年目の留任を発表した。本コラム執筆時点で、神田財務官の4年目の留任は発表されていない)
そこで介入が入る、なんていうシナリオも考えられます。
きっかけがなんにせよ、介入があるとすれば、海外の投機勢が円売りアタックを仕掛けて跳んだときでしょうね。
スイスフラン/円をスイス政策金利発表前に利益確定し、スイス利下げで下げたところを買い戻せた
先週(6月17日~)は、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の利下げがサプライズ的に受け止められました。
先週のコラムでお伝えしたとおり、利下げ織り込みは70%まで上がっていましたから、そこまでの驚きはありません。
スイスフラン高の見通しは変わりませんし、メルマガでお伝えしていたとおり、金利発表直前にスイスフラン/円を179円付近で利益確定し、利下げで急落した178円で買い戻す戦略がうまくワークしてくれました。
西原宏一の「トレード戦略指令!」
2024年6月20日(木)16:19の配信メールより一部抜粋
スイス円
SNBを前にしてスイス円のlongを0.3@178.92円でスクエアにしました
New orderとして0.3の買い注文を178.00円でだしました。
stopは176.00円
西原宏一の「トレード戦略指令!」
2024年6月20日(木)16:41の配信メールより一部抜粋
SNBは0.25%利下げ
SNBは0.25%利下げを発表。
政策金利は1.25%に。
いったんスイスは下落。
スイスが下落したため、new orderのスイス円の@178.00円の買い注文ができています。
Stopは176.00円のまま
SNBの発表で米ドル買いとなり、米ドル/円の上昇にはずみをつけましたね。
SNBの利下げで米ドル/スイスフランを中心に米ドル高となるとの見通しを、ゴールドマンサックスが出していました。
「安全通貨の天秤」はスイスフランから米ドルへ傾いた
米ドルもスイスフランも安全通貨として買われる通貨ですが、スイスの利下げ以降は天秤が米ドルに傾いた、ということでしょうか。
そうでしょうね。
フランスリスクが台頭し、スイスフランが買われやすくなったことで利下げできた、という側面もあると思います。利下げしてもそこまでスイスフラン安が進まないでしょうから。
今がスイスフラン買いのチャンスということですね。
今週は月末、四半期末、半期末ですから調整が入るかもしれませんが、スイスフラン買いの方針は変えていません。
スイスフランを対円、対ユーロで買い継続! フランス総選挙、仏国債の動向に注目
今までなら、フランスが混乱したりすればVIX指数が上がりましたが、今回は動いていまんね。安全資産である金が買われるわけでもないですし。
そういう意味では、ユーロが暴落するようなことはないのかもしれません。
今週は月末要因によるユーロ買いもあり、月初になればすっと下がるかもしれず、月末要因は引いて考える必要がありますが。
今週(6月24日~)は、6月28日(金)に米PCEデフレータが発表されます。
予想ではインフレ鈍化ですが、それだけに強い数字が出ると米ドル/円が噴き上がるリスクもないわけではありません。
週末に控えたフランス総選挙(※)を前に、フランス国債がまた売り込まれるようだと、ユーロ/米ドルが急落して米ドル高となり、米ドル/円が噴き上がるということも考えられます。
(※編集部注:フランス総選挙は6月30日(日)に第1回投票、7月7日(日)に決選投票が実施される)
フランス総選挙の結果は、来週月曜日(7月1日)の早朝から伝わりそうですね。
右派が大勝するのがリスクシナリオですが、「ハング・パーラメント(どの勢力も過半数に達しない状態)」となっても不透明感が高まります。
中途半端な結果がいちばん危ういかもしれませんね。
そうなればスイスフランが買われるでしょうし、対円、対ユーロでスイスフランを買っていく方針は変わりません。
【※関連記事はこちら!】
⇒スイスフランを対ユーロ、対円で買い! 欧州議会選挙でフランスのマクロン大統領率いる政党が大敗し、解散総選挙へ。フレグジットある!? 欧州の混乱はスイスフラン買い!(6月17日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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