米ドル/円は9.7兆円の円買い介入でも、日本の長期金利1.1%でも下がらない
先週(5月27日~)は月末でしたが、24時のロンドン・フィックス直前、23時30分ころから米ドル買いとなりました。リバランスの影響だったのでしょうか?
(出所:TradingView)
大手外銀が「月末リバランスは米ドル売りでは」との分析を出していたため、トレーダーのコンセンサスは米ドル売りに傾いていました。
そうした米ドル売りポジションが、24時を前にして手仕舞われたのではと思います。
最近の傾向として、月末リバランスなどのイベントでは、手仕舞いの入るタイミングが以前より早まっています。
ただ、米ドル/円はレンジですね。
9.7兆円の円買い介入を行い、日本の長期金利(10年債利回り)も1.1%まで上がって、それでも米ドル/円は下がらない。あとは米金利低下くらいしか、下落要因が思いつきませんね。
スイスフランに注目! スイス中銀総裁がスイスフラン安に対して強い懸念を示した
ということは、米ドル/円は上目線ですか?
米ドル/円というよりも、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)ですね。
注目はスイスフランです。SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])のジョーダン総裁は先週、スイスフラン安に対して強い懸念を示しました。
前回3月会合で利下げを敢行したスイスですが、6月20日(木)会合での利下げ織り込みは43%へと急低下しています。
(出所:TradingView)
ジョーダン総裁の発言の背景には何があるのでしょうか?
インフレが思ったよりも下がらないためです。
これはスイスに限った話ではないですし、インフレがしつこく続くならば、ゴールドが強いのでしょう。
6月6日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会では利下げがほぼ確実ですが、ジョーダン総裁の発言を聞く限り、ECBは次回以降の連続利下げは難しいのかもしれません。
米国の消費が鈍化する一方、インフレは高止まりで、スタグフレーションへの懸念も
ECB理事会では、今後の利下げ見通しについて注目が高まりそうですね。
米国では今週(6月3日~)、製造業とサービス業のISM、それに雇用統計が発表されます。米金利の反応に注目ですね。
最近の経済指標を見ていると、消費が鈍化しているようですね。
先週発表されたPCEデフレータでも、個人消費が鈍化しているということで、米金利が低下しました。
米国のマクドナルドやバーガーキングでは、節約志向の消費者に向けて5ドルセットが計画されているそうです。
消費関連の数字が弱まる一方、インフレは高止まり――スタグフレーションへの懸念が高まりますね。
スイスフラン/円やニュージーランドドル/円を押し目買い
日本では、オレンジ果汁の高騰による「オレンジショック」が騒がれています。
価格自体は天候要因などで昨年(2023年)から上昇していましたが、在庫などもあり、今になって価格に転嫁されてきました。
今年(2024年)はラニーニャの影響で小麦やコーンが不作となり、価格が上がるのではと懸念されています。
インフレは簡単には収まりそうもないですね。
今週の戦略ですが、先週も話したとおり、利下げが来年(2025年)後半以降に遠のいているニュージーランドドル、あるいは中銀総裁が通貨安に対して警告を発したスイスフランを、いずれも対円で押し目買いでしょうか。
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(出所:TradingView)
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(構成/ミドルマン・高城泰)
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