日銀の総裁の会見では、やはり「時間的な余裕」がやり玉にあげられた。プレーヤーならば誰でも気になるところ。日銀が利上げをしたのでドル円が140円台まで下がり、それだから時間的な余裕ができたのだろうと誰もが考えている。どうせまた160円に近づいてくれば「時間的な余裕」などと言っていられなくなるに違いないと感じていたからだ。要は時間の問題ではなく、相場のレベルの問題だろうと総裁に言わせたいのである。
その「時間的な余裕」はいくらか氷解したようである。直接の相場の水準ではなくて、米経済がスローダウンしそうなので回避が確認できてからという意味合いのようだ。8月初旬の雇用統計発表時のマーケットのクラッシュを念頭においてのことだ。米指標が回復するまでは利上げを敢行するのは控えるといった程度のものである。よって総裁は今後は「時間的な余裕」という言葉を使わないと明言した。
ここ1ヶ月ばかりは米指標はすこぶる良いものが並んでいる。生産、消費、雇用などどれをとっても経済が好調と言うしかないほどだ。おまけにインフレ指標も落ち着いてきている。そうなると日銀の12月利上げが前もって宣言されたようなものである。
米景気が悪いと言うことになると日銀は時間的な余裕ができてFEDは利下げする。反対に米景気が良いとるとFEDは利下げを様子見して日銀は利上げする。これではどちらに米景気が向いても、ドル円は下がるだけではないのか。その波紋は昨日のドル円の下げに現われている。もっと円高方向に進むのかどうかは、日銀総裁の意図を市場での消化具合による。
さて今晩は雇用統計である。就業者数は10万人程度の増加が見込まれているが、先日のADPではかなり上振れもしたので、良い結果が出ることに構えておいた方が無難なようだ。仮に雇用統計が悪くても、それがFEDの利下げ幅を増幅させるだけの材料にはならないだろう。
日本時間 15時45分
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