昨日の海外市場でドル円は、低調な本邦の10-12月期実質国内総生産(GDP)速報値を受けて日銀の早期利上げ観測が後退するなか、東京市場での円安の流れが欧州市場でも継続し一時153.64円まで上値を伸ばした。ユーロドルはドル買い圧力に押される形で一時1.1846ドルまで下げた。
本日の東京時間のドル円は、円高・円安双方の思惑が交錯する綱引き相場になり、方向感に乏しいまま、振幅を伴う展開となりそうだ。ドル円は11日以降、4営業日連続で152円台まで水準を切り下げたが、下押しのモメンタムは加速せず、売りも一巡感が漂う。よほどの新規材料が出ない限り、目先の下値余地は限られよう。一方、米国市場はプレジデンツデーの休場明け。フロー回帰による値動きの活性化は見込まれるものの、トランプ政権を巡る不透明感がくすぶる中、ドルを積極的に積み増すだけの強いドライバーは見当たらない。戻しても伸び切れず、売られても崩れない、そのような均衡状態が続きそうだ。
昨日公表された10−12月期実質GDP速報値は、前期比・前年比ともに市場予想を大きく下回り、前回値も下方修正。辛うじてテクニカルリセッションを回避したに過ぎない内容だった。これを受けて相場はやや円安方向へ振れたものの、反応は限定的だった。
本来であれば、経済指標との整合性を見極めながら政策判断を行うのが中央銀行の役割だ。しかし足元では、日銀の政策運営が政府の意向により敏感になっているとの見方も根強い。そうした中で昨日行われた高市首相と植田日銀総裁の会談は、市場に少なからず波紋を広げた。会談後、植田総裁は「具体的なことについては特にお話しできることはない」とコメントした。「話すことはない」ではなく、「話せることではない」と表現した点を重く見る向きもある。そこに首相サイドからの政策スタンスに関する“要請”や圧力の存在を読み取る参加者もいるからだ。今後は、日銀関係者の発言の一つ一つが、これまで以上に精査される局面に入るだろう。政策の独立性と政治との距離感、およびそのバランスが、円相場の次のトリガーになりかねない。
市場がいったん様子見に傾きやすい背景には、目前に迫る政治イベントの多さもある。明日18日には特別国会が召集され、20日には首相の政策方針演説が予定されている。相場は、政権の基本スタンスと財政運営の方向性を見極める構えだ。さらに、来週24−26日には衆参両院で各党代表質問、27日からは衆院予算委員会で2026年度予算案の実質審議が始まる。政策論戦が本格化する中で、市場の関心は高市政権が国債増発に依存せず財源を確保できるのか、それとも追加発行に踏み込むのかという一点に集約される。財政規律が意識されれば円の下支え要因に、拡張色が強まれば債券売り・円売り圧力が再燃する可能性もある。政治日程が詰まる今月後半は、為替市場にとっても目を離せない局面が続きそうだ。
ドル円以外では、本日は2月2−3日開催分の豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表される点に注目が集まる。RBAは同会合で2023年以来となる利上げを決断しており、市場はその背景と今後の政策スタンスを探っている。議事要旨の内容が声明文以上にタカ派色を帯びたものであれば、追加引き締めへの含みが意識され、豪ドルは一段と上値を試す展開も想定される。逆に、利上げはあくまで一時的対応とのニュアンスがにじめば、材料出尽くしで反落する可能性もある。豪ドルは「次の一手」を読む神経戦に入る。
本日は中国に続き、香港、シンガポール、韓国といったアジアの主要市場が休場となる。市場参加者の減少により、流動性は一段と低下する公算が大きく、薄商いの中で値が振れやすい地合いが警戒される。加えて、米国とイランの高官協議が予定されている点も無視できない。協議を前に、米空軍および海軍が中東地域に戦力を増強していると米メディアが報じており、緊張感はむしろ高まっている。協議の内容やトーン次第では、中東情勢が再び不安定化し、原油や金などの商品市場を通じて為替市場にも波及する可能性がある。流動性の低下と地政学リスクの両者が重なる局面では、思わぬ値動きにも備えておく必要がありそうだ。
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