日本株高、円高のキーポイントは高市政権の基盤が盤石になったこと。財政悪化懸念後退で債券価格が急騰し、円高に
西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。
MC叶内 衆議院選挙(衆院選)を受けた日本株の上昇は想定以上で、先週(2月9日~)は5%近く急騰しています。
トレーダー西原 それは想定以上でしたが、これまで高市トレードと言われた「株高、債券安、円安」の流れが変わっています。今週(2月16日~)はなぜ、株高かつ円高なのかにフォーカスしようと思っています。
それでは叶内さん、まず先週の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 米国株はまちまち。NYダウは2月10日(火)に最高値を更新しています。一方、S&P500は前週末比1.39%安で2週連続での下落。ナスダック総合指数は2.1%安。
指数を押し下げたのはビッグテックで、アップルは週間で8.03%安、アマゾンが5.48%安、アルファベット(GOOGL)が5.31%安などとなっています。
前の週に続いて「AI脅威論」が吹き荒れています。ソフトウェア以外にも金融・不動産などさまざまな企業が影響を受けるとして急落する銘柄がありました。これに対して、AIに代替される懸念が小さい「HALO(※)」株に注目が集まっているそうです。たとえばコカ・コーラやマクドナルドのような銘柄です。
(※「HALO(Heavy Asset Low Obsolescence)」とは、価値の高い資産を持ち、事業の陳腐化のリスクが低い企業のこと)
注目された米国雇用統計は予想を上回る雇用者数と失業率の低下で、米労働市場の底堅さを示しました。小売売上高は年末商戦が低調で予想を下回りました。
CPI(消費者物価指数)は伸びが鈍化しており、総じてみればFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ期待は強まっています。
日経平均は前週末比2688円(4.96%)高の5万6941円と、2週連続で上昇しました。TOPIXも+3.24%で2週連続上昇です。
2月8日(日)の衆院選で、自民党が予想を上回る全体の3分の2超の議席を獲得。歴史的大勝利を受けて一気にリスクオンの流れになりました。先物主導で値がさ株が上昇、高市政策銘柄にも買いが目立ちました。日経平均は取引時間中に初の5万8000円台に乗せ、終値で最高値を更新しています。祝日をはさんで週後半はスピード調整。米国ハイテク株安を受けて大きく下げる場面も見られました。また、円高進行を嫌気した向きもあったようです。「高市政権の基盤が盤石になるならそれほどばらまきの必要はない、財政悪化懸念は後退」という見方で超長期金利の上昇が落ち着き、為替が円高方向に動くのなら、むしろ好材料だと思いますが。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 叶内さんにご指摘いただいたとおり、日本株高、円高のキーポイントは高市政権の基盤が盤石になったこと。それほどのばらまきは必要ないとマーケットは判断し、財政悪化懸念が後退して、債券価格が急騰しています。
日本40年債利回りを見てみると、1月20日(火)に4.231%まで急騰しましたが、先週は3.684%まで反落しており、債券価格は急速な落ち着きをみせています。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
衆院選までは長期債の急落(=利回りは急騰)が円安を加速していた要因の一つでしたので、債券価格が急騰(=利回りは急落)することによって円高が進むのはわかります。
ただ、海外勢が日本株を買い続ければ、海外勢のヘッジは再開します。このあたりは展望で述べますね。
それでは叶内さん、今週の注目イベント、そして株式市場の展望をお願いします。
米ドル/円は短期で戻り売り。当面は「日本株高、債券高、円高」が続きそう。147円レベルから買いを検討したい
MC叶内 ゴールドマン・サックスが日本株の投資判断を「マーケットウエート」から「オーバーウエート」に引き上げたそうです。政治の安定が追い風になるとみています。
一方、過熱感や割高感を指摘する声もあがっています。また、ボラティリティは高く、日経平均VIは30台と高水準です。
今週は2月18日(水)に特別国会が召集されます。2月20日(金)には総理大臣の施政方針演説など政府4演説が行われます。高市政権が何をどんな規模感で、どんなスケジュールで進めていくのか、「責任ある積極財政」を見極めたいとして関心が高いです。近く提示されるとみられる日銀審議委員の人事案も気になります。
日本金利急騰の不安は後退していますが、2月17日(火)に5年債、2月19日(木)に20年債の入札があります。
経済指標では、日本の10~12月期GDPが発表されました。市場予想を下回っています。そのほか、2月18日(水)に1月貿易統計、2月19日(木)に12月機械受注、2月20日(金)に1月CPIが発表されます。
米国では、2月17日(火)に米2月ニューヨーク連銀製造業景気指数、2月18日(水)に米1月鉱工業生産、1月開催分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録、2月19日(木)に米12月貿易収支、米2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、2月20日(金)に米10~12月期GDP速報値、12月のPCEデフレータ、2月のPMI速報値などが発表されます。
決算発表は、国内ではブリヂストン、トレンドマイクロ、横浜ゴムなど。米国では2月18日(水)に半導体関連のアナログ・デバイセズ、2月19日(木)にウォルマートなどがあります。
2月16日(月)の米株式市場はプレジデンツ・デーの休日です。中国は2月15日(日)から2月23日(月)が春節(旧正月)の祝日です。
為替市場の見通しはいかがですか?
トレーダー西原 衆院選の自民党大勝は、海外から好意的にみられており、日本への投資を喚起する可能性が高まっています。
たとえば、FT(フィナンシャル・タイムズ)の東京支局長、レオ・ルイス(Leo Lewis)の記事は以下のようになっています。
投資助言会社アストリス・アドバイザリー・ジャパンの日本ストラテジスト、ニール・ニューマン氏は、今回の勝利は自民党が再び主導権を握り、経済を支えるために投資を加速させることを意味すると語った。
「日本はもはや中国の貿易の脅しにおびえたり耐えたりせず、その影響を相殺するために投資する。投資家としては、月曜(2月9日)から再考しなければならない真新しい日本がある」と付け加えた。
(出所:FT)
「投資家としては、月曜(2月9日)から再考しなければならない真新しい日本がある」と付け加えていることが、日本への投資を喚起する表現となっています。
一方、Bloombergは次のように報道しています。
高市早苗首相の衆院選勝利は、中国の習近平国家主席にジレンマを突き付けている。戦後最も強い支持を得た日本の指導者と関係を構築するのか、それともアジアにおいて米国の最も重要な同盟国との深刻な冷え込みを続けるのかという選択だ。
(出所:Bloomberg)
衆院選の自民党大勝は、戦後もっとも強い支持を得た日本の指導者との関係を再考するのかどうかを中国に迫るほどの影響があると報じるなど、欧米メディアはさまざまな視点から高市政権を見ています。
この点においては、買われすぎによる調整は起こるのでしょうが、日本株の上昇基調は変わらず。そして問題は債券高、円高も続くのかどうかになります。
米系の友人によれば、米系は選挙明け当初、日本株買いに伴って円売りを持ち込んだものの、三村財務官が「高い緊張感を持って注視」とのコメントを出したことから、ヘッジの円売りを続けていないようです。
事業法人担当の友人も、債券価格が落ち着いているため、米ドル買いのレベルを150円へと下げているようです。
結果として、当面は「日本株高、債券高、円高」が続きそうです。視点を変えれば、他通貨での米ドル安トレンドに米ドル/円も追随といった展開。
ただ、中長期での円安トレンドは変わらないため、高市トレードのスタートで窓開けした147円レベルあたりから、米ドル/円の買いを検討したいところですが、短期では米ドル/円は戻り売りでしょうか。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今月も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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