ベッセント米財務長官の訪日、訪中は結果的に、金融市場の動きにあまり関係なかった
今週(5月11日~)は、まず米国関連のニュースについて取り上げてみます。
5月11日(月)、米国のベッセント財務長官が来日して、高市総理や片山財務大臣と会談をしました。
ベッセント財務長官は片山財務大臣との会談後、SNSに「日米間の強固な経済パートナーシップを改めて確認できたことをうれしく思う。為替市場における望ましくない過度な変動に対処する両国の意思疎通と連携は今後も揺るぎない」と書き込んでいます。
これをどう評価するかということですが、結論から言えば可もなく不可もなくということです。
確かに、急激な円安を止めたい日本の立場を尊重する姿勢を見せている一方で、現時点が円安すぎるという認識も示していません。事実、この会談は為替相場にほとんど影響を与えませんでした。
次に、トランプ米大統領の訪中についてです。金融市場に影響があるということでは、イラン情勢についてどういう協議がなされるかという点が注目でした。
両国はホルムズ海峡の封鎖が望ましくないという認識を共有しました(それを現在海上封鎖している米国が言うのかとちょっと笑ってしまいましたが)。しかし、それ以上の具体的な内容に踏み込んだ様子は見られません。こちらも、金融関係者にとっては、肩透かしに合った状態です。

トランプ米大統領は2026年5月14日(木)、習近平中国国家主席と中国で会談した。両国はホルムズ海峡の封鎖が望ましくないという認識を共有したが、それ以上の具体的な内容に踏み込んだ様子は見られなかった。写真は2017年11月の米中首脳会談時のもの (C)Bloomberg/Getty Images
結果的にどちらのイベントも、金融市場の動きにあまり関係はなかったということになりました。
介入時は絶好の円売りチャンス! 財務省は160円超えを防ぎたい意図が見え、介入資金は十分にある
次に為替介入についてです。
GW(ゴールデンウィーク)中に日本政府は10兆円規模の米ドル売り円買い介入を実施したとみられています。
その結果、米ドル円は一時155円台前半まで下落しましたが、また158円台に戻ってきています。恐ろしい買い需要です。

(出所:TradingView(トレーディングビュー))
その背景は色々ありますが、そのうちの1つは、高市政権が日銀の早期利上げについて圧力をかけていることです。その影響が出ている1つの例を紹介します。
現在、日本の企業は国内経済が今後伸び悩むことを予想して、海外の企業の買収を積極的に行っています。その際、買収資金に関しては、円の金利が米ドルなどに比べてかなり低いため、円で資金を調達して、それを外貨に替えて買収資金に充てるケースが目立ちます。これは、まさに金利が上がっていかないことで起きている現象です。
積極財政や低金利政策など円安を誘導する政策を日本政府がとっているのですから、介入だけで円安を止めようとしても無理があると思います。
ただ、高市総理の性格を考えると、意地でもこれ以上の円安は阻止したいと考えていると推測します。
財務省の本音は、こういう政策をとっている以上円安になるのは当然と思っているのではないかと思いますが、それは、表では言えません。とにかく、円安を阻止しろという至上命令に従うしかありません。今の財務省の動きを見ると、160円を超えるのを防ぎたいという意図を持っているように見えます。
これからも、円安傾向が強くなると米ドル売り介入をしてくると考えておいたほうがよいと思います。
ちなみに、日本の外貨準備は金など為替介入には使えないものを除くと180兆円ほどです。つまり、まだ介入資金は十分あります。
当面はマーケットの円売り圧力と、当局による円安阻止行動のせめぎあいになる展開を想定しています。介入があったときは、絶好の円売りのチャンスですので、逃さないようにしたいと思います。

(出所:TradingView)
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