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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

北朝鮮が韓国を砲撃した本当の理由と
メルケル独首相の「失言」について

2010年11月26日(金)15:59公開 (2010年11月26日(金)15:59更新)
陳満咲杜

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■11月23日に発生した2つの「突発的な事件」

 金融マーケットにはいろんなリスクが常に付きまとう。そのうち、いちばん厄介なのは「突発的な事件」で、事前にまったく予測できないのだから、一時的だとしても、インパクトは強くなることが多い。

 今週、11月23日(火)に、2つの「突発的な事件」がマーケットに衝撃を与えた。1つは北朝鮮による軍事行動で、もう1つはメルケル独首相の「ユーロの状況は異例なほど深刻」という発言だ。

 前者については、地政学リスクが高まったことによって、有事の米ドルと有事の金(ゴールド)が同時に買われる展開となり、ユーロなどの通貨を押し下げることとなった。

 そして後者については、さらなるユーロの暴落を誘導した。そのインパクトは北朝鮮の砲弾より強かったとも言える。
ユーロ/米ドル 日足
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ユーロ/円 日足
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 みなさんもご存知のように、EU(欧州連合)の中核であるドイツの支持なしでは、EUやECB(欧州中央銀行)が抱えるあらゆる問題を解決することはできないと言っても過言ではない。

 その分、メルケル独首相の弱気発言が、市場関係者に大きなショックを与えたことは想像できる。

 ましてや、独首相のこの発言は、アイルランド政府がEUとIMFからの支援受け入れを表明して、わずか48時間しか経っていないタイミングで行われたものであり、投資家心理を冷やすには十分すぎるほどのものとなった。

■独首相の発言は失言にすぎず、スタンスは変わらない

 もっとも、メルケル独首相の発言の背景には、2013年で期限切れとなる欧州金融安定化基金(EFSF)の後に発足する「欧州版IMF」を念頭に、「今後の危機発生時には、民間投資家にも支援や負担を求める」というドイツの構想を支援しようとする思惑がある。

 マーケットはこのようなドイツの不満を見透かしており、2013年より前倒しで民間投資家が負担を強いられるのではないかと、疑心暗鬼になっている矢先でのメルケル独首相の発言であった。

 当然のように、ユーロ/米ドルは急落し、ユーロ/円やユーロ/英ポンドといったユーロのクロス相場も巻き込まれる形で下落し、ユーロは全面安となった。まさに「言葉は砲弾より強し」である。

 しかし、マーケットが懸念しているのは、アイルランドの財政問題よりも、アイルランドより規模の大きいポルドガルやスペインといった国々に「伝染」していく可能性である

 もちろん、ドイツを含めて、ユーロ圏の各国首脳やECBもこのことをよく知っているはずだ。

 したがって、メルケル独首相の発言はあくまでも「失言」であり、ユーロそのものに対するドイツのスタンスが変わったと判断するのは大げさすぎる

 ドイツの中央銀行総裁による強いユーロへの支持表明と、必要があれば現在のEFSFの資金枠(7500億ユーロ)をさらに増資する用意があるといった発言は、このような市場の懸念を払拭する狙いのものであり、ドイツ政府のスタンスを強調したものと受け止めている。
 その上、スペインなどの経済規模を考慮すると、本当にソブリンリスク(国家に対する信用リスク)が高まった場合、ドイツはいずれ、国債借り換えだけでなく、新たに発行される国債の引き受けを含め、大がかりな金融支援を行わざるを得ないだろう。

 もし、ユーロという共通通貨がなくなると、EUそのものが骨抜きになってしまう。それは、他のどの国よりもドイツの国益が損なわれることになり、ドイツがユーロの崩壊に対して何も手を打たず、座視しているはずはない

 要するに、EUのソブリンリスクでユーロが崩壊するといった見方は間違っている上、メルケル独首相発言に対するマーケットの反応は行き過ぎているということだ。

■北朝鮮が韓国を砲撃した背景にあるのは?

 このような経済問題と同じように、地政学リスクに関する解釈の多くも正しいとは限らない。

 今回の北朝鮮の「軍事冒険」について、多くのマスコミは米韓に向けた挑発だと報じているが、本質的には、米韓の両国よりも北京に向けたメッセージだと思っている。

 北京、すなわち中国政府は、金政権の世襲に以前から難色を示してきた。だが、「北朝鮮が改革開放政策に転換した場合は大目に見る」といった意見が多数であると聞いている。

 一方、北朝鮮は、経済開放に転換すると中国の経済圏に飲み込まれ、富を得た一般国民が金政権の世襲に反対してくるとわかっているから、経済改革を行うどころか、親中派の一掃さえ計画しているそうだ。

 しかし、親中派の一掃は中国の怒りを買い、支援を今後取りつけるのが難しくなるということも同時に予測される。

 だから、軍事衝突によって中国の動きを封じ込み、同盟という大儀名分で中国を「人質」とし、支援せざるを得ない状況を作り、政権交代を図っていく謀略なのだろう
米ドル/円 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 したがって、本格的な朝鮮戦争は起こらないし、戦争になった場合に自らの命を絶つことになるのは、金正日・正恩の親子こそよくわかっているはずだ。

■ユーロの急落に対する修正は、これから徐々に進む

 北朝鮮の「軍事冒険」に関する金融マーケットの反応は激しかったが、すぐに織り込み、現在は冷静さを取り戻している。市場関係者の多くが、前述したシナリオを見透かしているかのようだ。

 韓国株式市場のハンセン総合指数は、衝突の翌日に前日比で0.2%しか下落しておらず、欧米株が堅調であることも、そのあたりの影響を最小限にとどめているように見える。

 以上、総括すると、今週起きた2つの「突発事件」に関しては、総じて為替市場よりも株式市場のほうが健全な値動きを見せているし、為替市場においては、北朝鮮の軍事行動よりもメルケル独首相の発言に対して、より反応していたように見える。
日経平均株価 日足
(出所:株マップ.com

 だが、株式市場が北朝鮮の問題を早々に片づけたように、為替市場も独首相の失言を無視し、やがて落ち着きを取り戻すだろう。ユーロの急落に対する修正は、これから徐々に進んでいくだろう。

 また、マーケットに嵐が吹き荒れる中で、11月23日(火)の日本時間深夜に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録のインパクトは薄かった印象がある。

 けれど、今回の議事録では、FRB(米連邦準備制度理事会)の理事の見方がさまざまに分かれていることが明らかになった上、大幅に下方修正された来年の経済見通しと、さらなる大規模量的緩和の可能性が検討されたことが読み取れる。

 この材料については、奇しくも同じ日に発生した「地政学問題」にその重要性が隠されていたのだが、それがこれからジワジワ効いてくると見ている。米ドル全体のリバウンドは自ずと限界があるだろう。

 このあたりの話はまた次回に。
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