(「ザイFX!で振り返る2010年(2) 【為替・経済の動き 後編】」からつづく)
2010年を振り返るこのシリーズ。【為替・経済の動き 前編】、【為替・経済の動き 後編】に続き、今回は【FX業界編】をお送りします。
2010年、最大の話題はレバレッジ規制
2010年のFX業界で最大の話題といえば、レバレッジ規制だろう。
これまでは400倍ものレバレッジがかけられるFX会社もあったのだが、それが2010年8月から最大50倍までに制限されたのだ。
これにより、FXの取引量は減少するだろうと予想されていたが、実際、8月の取引量(出来高)は取引所FXの「くりっく365」が12.4%、店頭FXXが32.6%の減少となった。
その後、取引量は増加に転じているが、店頭FXは規制前の状態を取り戻せていない状況にある(社団法人 金融先物取引業協会の発表による)。
2010年のFX業界では、このレバレッジ規制を意識した動きがいろいろあった。
レバレッジ規制により、取引所FXは店頭FXと比べてレバレッジの差がなくなるか、または小さくなることになる。
そのため、クリック証券やサイバーエージェントFXなど、店頭FXの人気会社が取引所FXの「くりっく365」へ新たに参入したり、大和証券と岡三オンライン証券が「くりっく365」で“仁義なき手数料値下げ競争”を繰り広げたりした。
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また、より少ない証拠金で取引できるよう、1000通貨単位で取引できるFX会社が増えたり、レバレッジ規制の対象外となる法人口座を充実させるFX会社も出てきた。
ちなみに8月のレバレッジ規制に先んじて、2月からは顧客の証拠金をすべて金銭信託すること、ロスカット・ルールを整備し、遵守することがFX会社に義務づけられている。
なお、2011年1月からはCFDでもレバレッジ規制が実施される。
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業界再編の動きは意外と加速しなかった?
100社以上もある日本のFX会社。数が多すぎて業界再編は不可避というのが、ここ数年のFX業界でずっと言われてきたことだった。
「レバレッジ規制によってその流れが加速するのでは…」という見方もあったのだが、終わってみれば、それほど業界再編の動きは大きくなかった2010年だったように思える。
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店頭FXも一律20%の申告分離課税へ!
年末になって入ってきたビッグニュースが店頭FXの税制が変更される見込みとなったこと。
12月16日、政府は「2011年度税制改正大綱」を閣議決定したが、そこにFXの税制改正が盛り込まれていたのだ。
これまでのFXの税率は、取引所FXが申告分離課税で一律20%、店頭FXはその他の所得と合わせた総合課税となり、最大50%という形になっていた。
これに対して、「基本的には同じ為替の取引をしているのに、税制が大きく異なっているのはおかしいのではないか」という声に応えたのか、2012年から店頭FXも取引所FXと同じ一律20%の申告分離課税になる見込みとなったのである。
また、取引所FXと店頭FXの損益通算、店頭FXにおける損失の3年間の繰越控除も可能となる見込みだ。
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外為どっとコムが為替レートを誤配信、業務停止に
外為どっとコムが7月と9月に為替レートの大幅な誤配信を行った。これにより、外為どっとコムは10月の1カ月間、金融庁から全面的な業務停止の処分を受けている。
同社はFX業界最大手の会社。業界最大手で信頼性が高いとされてきただけに、これは非常に残念な2010年の重大ニュースだった。
これにより、外為どっとコムは「FXステージ」、「外貨ネクスト」という2つの口座のうち、システムに問題のあった「FXステージ」を終了させることとなった。
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iPhoneアプリが続々登場した2010年
FX会社の新サービスでは、iPhoneアプリなどiPhone(アイフォーン)に関するものが目立った2010年だった。
みなさんご存じのとおり、iPhoneはアップル社製のスマートフォン。日本ではソフトバンクモバイルが取り扱っている。
iPhone人気が高まり、iPhoneユーザーが増えるにつれて、各FX会社もiPhone関連のサービスに力を入れるようになっている。この傾向はまだ続きそうだ。
⇒サイバーエージェントFX「外貨ex」の詳しい情報はこちら!
スマートフォンにはiPhoneのライバルとして、Android(アンドロイド)携帯もある。ザイFX!ではiPhoneを中心にAndroid携帯も含めた各FX会社の対応状況を「FX会社のiPhone対応を徹底比較!」というコンテンツでまとめている。
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システムトレードも徐々に盛り上がってきた
あらかじめ設定した一定のルールに基づき、自動的に売買を行うシステムトレード(シストレ)への注目も徐々に高まってきた2010年だったのではないだろうか。
シストレのうち、たくさん用意されているシステムの中から自分がいいと思うものを選ぶタイプでは、4月からひまわり証券が「エコトレFX」というサービスをスタートさせている。
また、同タイプのサービスとしては、FXCMジャパンの「らくちんFX」があったが、こちらは7月にサービスを一新し、「シストレステーション」という名称になった。
⇒FXCMジャパン「シストレステーション」のスペック詳細はこちら
以上2つが今のところ、比較的カンタンに取り組めるシストレ口座の代表格と言えるだろう。
また、シストレといえば、高機能のチャートソフト「メタトレーダー」(Meta Trader4、MT4)も有名だ。「メタトレーダー」では自分でシステムを組んだり、検証したりすることもできる。ザイFX!ではこの「メタトレーダー」の入門記事も掲載した。
その他、FXトレード・フィナンシャルの「オートFX」、GFT東京支店の「DealBook360」などでもシストレは可能だ。
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・「らくちんFX」より楽になった!? FXCMジャパンの「シストレステーション」(7月14日)
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・FX会社おすすめ比較:ひまわり証券「エコトレFX(シストレ口座)」
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・FX会社おすすめ比較:GFT東京支店
10分後の為替変動幅を予想するサービスも登場
まだ、それほど大きな動きとはなっていないが、オプションを組み込んだサービスが少しずつ目立ってきたのも2010年の特徴だっただろうか。
1月にスタートしたFXプライムの「選べるHIGH・LOW」は月曜日からその週の金曜日までの為替変動幅を予想するもの。
また、9月にスタートしたフォレックス・トレードの「外為LaLaLa」は申込締切時刻の10分後までの為替変動幅を予想するものだ(当初は30分後だったが、その後10分後に変更)。
⇒フォレックス・トレードのスペック詳細はこちら
その他では、FXトレード・フィナンシャルの「HIGHLOW」、FXオンラインジャパンの「バイナリーオプション」、サクソバンクFX証券の「FXオプション取引」といったオプション関連のサービスがある。
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取引所CFDの「くりっく株365」がスタート!
FXではなくCFDの話題だが、11月22日から「くりっく株365」がスタートしている。
これは「くりっく365」でおなじみの東京金融取引所が提供する取引所取引のCFD。2010年12月現在では、日経225、FTSE中国25など4つの株価指数を取引することができる。
なお、ザイFX!では「NYダウや金にも直接投資できるCFD取引会社を徹底比較!」というコンテンツで、店頭取引も含めた各社のCFDのスペックを比較することができる。
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・NYダウや金にも直接投資できるCFD取引会社を徹底比較!(2009年12月29日以降、随時更新)
(「ザイFX!で振り返る2010年(4) 【ザイFX!の動き編】でお年玉をゲット」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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