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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

ヘリコプター・ベンの会見に、ニュースなし。
ドル安一服で、対ユーロなどでは急反騰も

2011年04月28日(木)19:53公開 (2011年04月28日(木)19:53更新)
陳満咲杜

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■注目されたバーナンキ議長の会見だったが「ニュースなし」

「ニュースなしとは、グッドニュースだ」

 これはウォール街の格言であるが、現地時間4月27日(水)に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)と、FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長の記者会見は、ドル安派にとって、まさに格言どおりの内容となった。

 ひと言でいえば、事前予想どおりの展開だっただけに、米ドルはさらに売られた。現執筆時点、ドルインデックスは節目の73.00に迫る水準まで下落している。

FRBは計画どおりに「QE2(追加的量的緩和政策)」を6月に終了させ、その後もしばらく低金利政策を維持する方針だ

 バーナンキ議長は量的緩和策の効果を「自画自賛」するほど肯定し、インフレをさほど問題視せず、景気見通しに慎重な姿勢を堅持した

 議長の記者会見は「筋金入り」のハト派ともいえる内容だったが、「ヘリコプター・ベン」のニックネームがあるバーナンキ議長であるだけに、発言自体を「ニュースなし」ととらえる市場関係者は多かっただろう。

 つまり、「米国株買い」「米ドル売り」を行う投資家に、安心感を与える内容だ

米ドル安が一服して、「織り込み済み」による反動がありそう

 ところで、会見におけるバーナンキ議長の発言がほぼマーケットのコンセンサスに沿ったものだっただけに、「米ドル安トレンド」がさらに続くかどうかは興味深いところだ。

 テクニカルの視点では、最近の米ドル安はオーバーシュートである。したがって、FOMCとバーナンキ議長の会見というイベントを通過して、「材料出尽くし」で米ドルがいったん反発してもおかしくはない

 言い換えれば、「ニュースなし」となったからこそ、米ドル安が一服してくるのではないかと思っている。

 「ウワサで売り、事実で買い戻す」とまではならなくても、「織り込み済み」による反動はありそうだ

 実際、米ドルは先週からオーバーシュートを深めており、足元では、その動きが一段と進んでいる。

 しかし、前述のように、テクニカルの視点から単純にみれば、そろそろ米ドル安が一服してくる時期に入ってくるだろう。

■米ドル安はオーバーシュートの様相を深めている

 わかりやすく説明するため、先週21日(木)に会員向けに書いたレポートの一部を引用させていただく。

 下記のドルインデックスの日足チャートと併せて、ご覧いただきたい。

ドルインデックス 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM)

 本日(21日)ドルインデックスは2009年11月安値(74.17)を下回り、急落しているが、オーバーシュートの様子を深め、近々下落一服し、反発してもおかしくないと見る。

 根拠は以下のとおりである。

1、昨年12月安値と今年1月高値から引かれた「下落ウェッジ」の下限を打診(トライ)しているが、フォーメーションの指示どおりなら、反騰する機運が高まる。

2、オシレーター系指標は半年以上に「強気ダイバージェンス」を構築し、19日からの急落をもってクライマックスを示唆。

3、2009年11月安値を中心に、サイクル論における「相擬性」が強まる。2008年12月安値から2009年11月安値までの期間を、そのまま2009年11月安値から推移すると、2010年11月の安値を計算できたように、2008年7月安値から2009年11月安値まで要する期間から計算すれば、足元では安値のピークをつけやすい時間帯にある。

4、ただし、2009年11月の安値を下回った事態を過小評価すべきではなく、リバウンドがあっても従来のように力強い反騰ではなく、オーバーシュートの状態を3カ月~4カ月の期間をもって解消した後、また安値をつけていく可能性もある。この辺の分析は今後の課題となる。

 以上、4月21日(木)時点での判断だったが、足元の状況に照らしても、1番目の「下落ウェッジ」というフォーメーションを再描写する必要がある以外、大きな修正はないと思う。

 特に、3番で提起したサイクル論に基づくアプローチでは、足元で米ドル安のトレンドが加速しているように見えるものの、そろそろ、いったん底打ちとなる時間帯に入っていると思う。

■米ドルは「ダイバージェンス」の状況となっている

IMM通貨先物における米ドルのポジション動向を見ると、引き続き、米ドルの売り越しは先週時点でも高い水準を示しており、市場関係者の多くがさらなる米ドル安に賭けている様子がうかがえる

米ドルのポジション動向

 しかし、米ドルが急落してきたとはいえ、2008年につけた安値まではなお距離があるのに対して、売り越しの水準は、2008年に安値をつける前のレベルをすでに超えていた。

 つまり、「ダイバージェンス」の状況を露呈している

 これは、多くの市場関係者の予想どおりに米ドル安が進まなければ、マーケットに多くのショート・ポジション(売り持ち)が積み上げられているため、その反動は大きいということである。

 レベル的には、ユーロや豪ドルで対米ドルのロング・ポジション(買い持ち)が増えており、要注意だ

■日本の格付け引き下げは、短期的には材料視されない

 さて、格付け機関のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)が4月27日(水)に、日本のソブリン(国家に対する信用)見通しを格下げしたが、目先、その影響は限定されるだろう

 今回の震災と原発事故の深刻さは世界中に知れわたっており、やはり市場関係者の予想の範囲内であるため、すぐには円売りの材料とならないだろう。

 本格的な円安局面となるには、なお時間が必要だ「『円キャリー』再来との見方は正しいのか?最近の円下落が『悪い円安』であるリスクも」を参照)

 もっとも、ユーロ/米ドル、豪ドル/米ドルの連日の高値更新に対して、円の反騰は限定的である

 ゆえに、ユーロ/円、豪ドル/円などクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)相場が強くても、4月の高値を更新できていない。

 また、最近の米ドル安は対ユーロや対豪ドルで顕著になっているが、その反動があれば、ユーロ/円や豪ドル/円にも波及してくる可能性はある。

 この点を考慮すれば、S&Pの見通し変更があっても、短期的には市場に無視され、円売りの材料とはならないだろう。

円高のピークはすでに過ぎ去った

 テクニカルの視点でこの問題を解釈するならば、最近の米ドル/円とドルインデックスとの相関関係を見るべきだろう。

 言い換えれば、米ドル安のトレンドが強いから、円サイドの材料が無視されがちなのだ。

 この意味では、ドルインデックスの反騰なしでは、米ドル/円の本格的なリバウンドは難しいとも言えるだろう。

 下に示した「ドルインデックスと米ドルの比較図」をご覧いただければ、最近の両指数の相関性の高さを、より鮮明に読み取っていただけると思う。

ドルインデックス 週足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM)

 本格的な「円安トレンド」となるには時期尚早だが、さらなる「円高トレンド」への逆戻りでもない。この意味では、クロス円も含めて、円高のピークはすでに過ぎ去ったという判断をなお堅持しておきたい「東日本大震災と為替の動きを読み解く。円高のピークは過ぎたというシナリオも…」を参照)

 当然のように、ドルインデックスがこのまま市場最安値を更新していくのであれば、このような見方は修正する必要が出てくるだろう。

 だが、現時点では、あくまでサプライズシナリオとして対応したい。

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今井雅人