昨日は重要なアメリカの経済指標がたくさん出る予定であった。しかるに、きっとそれぞれに対して一喜一憂の相場展開になることが予想された。特にエンパイア指数やフィリー指数といった景況感を見ていく上で大切なセンチメント指数がいかにも悪そうだ。それを期待して、私はどこかでユーロ円を売ろうと思っていたのだが、欧州時間に入ると短期的な上値レジスタンスになっていた105.50台を越え、105.70くらいまで上がってきてしまった。こうなるとちょっと様子を見るしかない。米国時間がはじまるまでは、待つことにした。
欧州時間は総じてドル安の流れであって、ユーロドルも1.38台に乗せてきたりした。しかし昨日の相場の行方を決定したのは、経済指標などではなく、金融当局による協調行動だった。ECB(欧州中銀)とFRB(米連銀)が、つまりアメリカとヨーロッパが協力して、マーケットにドル資金を潤沢に供給し続けるというものだ。たしかにいつくかの欧州の銀行がドル資金が手当てできずに困っている。
それらの銀行を救済する目的であるのは明らかだが、しょせんは金融的な側面を補完するだけに留まるものだ。それでもマーケット大いに好感を示して、欧州株は大きく上昇に向かった。為替相場でもリスクテークの動きが顕著になり、ユーロ円は急上昇して、瞬間的に107円台まで戻しきった。
いっぽうで、アメリカの経済指標は雇用もインフレも景況感も、おしなべて悪いものは並んだ。このため米国株が始まっても、好材料と悪材料にはさまれて、株価上昇に弾みがつきかねる感じでいた。ユーロ円も106円台でしっかりとしているし、ドル円も上にシュートして77円台をつけにいったが、すぐに76円台に逆戻り。これでは売るのも躊躇われる。今晩はもう取引するのを止めようと思い、早めに寝た。
その後のニューヨーク市場では、米国株がさらに一段高したようである。しかし為替相場には反映されていない。ドル円も76円台だし、ユーロドルは1.39台を見た後に1.38台まで押し戻されているが、形の上ではドルの全面安。ユーロドルが1.40から1.45のレンジを下抜けしてきて、今のレンジに切り下がったと考えれば、現状は1.35から1.40のバンドにシフトしたことになるだろう。
たしかにユーロドルは上がったが、レンジの上限に近づいたというだけで、特にトレンドに変化はないものと見ている。ユーロ円は売りにくくなったので、次はユーロドルの売り場探しに励みたいと思う。1.38台の後半から1.39台の前半までで作りたいのだが。
今晩の注目は、ミシガン大学の景況感くらいだろう。昨日に出たふたつも景況感の数字では、足もとのセンチメントが悪化していることが示された後でもあるので、あまり反応しきれないかもしれない。週末にかけてのポジション調整が主体となりそうだ。
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