米ドル安と米国株高が進行。12月10日(水)FOMCでの利下げ織り込み度が90%で
西原宏一(以下、トレーダー西原) みなさん、こんにちは。
12月に入ると、翌年のテーマを意識しての動きが見られるようになるのですが、今年(2025年)もそうした動きがあり、今週(12月8日~)取り上げたいと思っています。
それでは叶内さん、まず先週(12月1日~)の株の振り返りからお願いします。
叶内文子(以下、MC叶内) はい、今週もよろしくお願いします。
米国株はじわじわ高いというイメージでした。S&P500は前週末比で0.31%高、NYダウは0.50%高、ナスダック総合指数は0.91%高。S&P500は5日続伸のあと1日下げて、再び4日続伸して最高値に迫っています。利下げ期待に支えられ、ビッグテックが買われ、半導体関連も銘柄が変わりながら堅調な展開でした。ただ、勢いには欠けるという見方もありました。FOMC(米連邦公開市場委員会)前に動きにくい面もあったかもしれません。
日経平均は前週末比237円(0.47%)高の5万0491円と、2週連続で上昇しました。週初は下げて始まり、日銀利上げ観測の高まりをきっかけに下げ幅を拡大、一時1000円安しました。国内長期金利が18年ぶりの水準まで上昇し、海外金利にも影響を及ぼす場面もありました。個人的には、0.25%の利上げは12月か1月にはあると市場もすでに予想している気もするのですが。その後、木曜日(12月4日)には1000円高するなど、日経平均は振れの大きな展開です。米国株高に後押しされ、寄与度の高い半導体・AI関連が上がれば日経平均も上がるという構図でした。内需やバリューは堅調で、TOPIXは4日に最高値を更新しています。
テーマになったのは「フィジカルAI」。ファナック、安川電機などロボット関連が注目されました。
先週注目した小型株は失速。グロース250は4.58%安で4月以来の安値を更新してしまいました。
為替市場はいかがでしたか。
トレーダー西原 まず主要通貨の値動きをチェックします。先週の主要通貨の対米ドル騰落率を見てみましょう。

米ドルは想定どおり、スイスフラン以外の主要通貨に対して下落。
これは今週、12月10日(水)FOMCでの利下げ織り込み度が90%にまで高まっているのが要因です。
これを受けて、米国株も続伸。S&P500は最高値に接近しており、突破する可能性も高まっています。
こうした環境下、今週末(12月12日)のメジャーSQ(特別清算指数)に向け、日経平均も上昇する可能性が高まると考えています。
叶内さん、今週のSQはどう見ていますか?
MC叶内 5万円台の着地との見方が多いようです。11月SQ値が5万323円でした。この前後であれば波乱なしでしょう。オプション市場はやや上を見ているようです。日経平均は半導体関連に左右されやすいので、米国株次第のところもあります。
トレーダー西原 ありがとうございます。
先週はリスクオンで豪ドル/米ドルがもっとも値を上げる展開となっており、効率が良かったのは豪ドル/米ドルや豪ドル/スイスフラン、そして豪ドル/円のロング。
豪ドル円も続伸し、一時103.26円と年初来高値を更新。米ドル/円も一時154.35円まで米ドル安が進行するも、株高によりNY市場は155.33円に戻して引けています。

(出所:TradingView)
メルマガでご紹介したモルガン・スタンレーのように、来年(2026年)注目の通貨として豪ドルをピックアップする意見も増えてきました。豪ドルに関しては、展望で触れます。
それでは、今週のイベントと株の注目点をお願いします。
パウエル議長辞任の噂は根拠のない憶測に過ぎない。FOMCでの会見は引き続き注目
MC叶内 なんといっても、12月9日(火)、10日(水)のFOMCが注目です。
NY連銀総裁の発言や労働市場の弱さを示す民間の経済指標から、3会合連続の利下げがほぼ確実視されています。ここでやらなかったらマーケットはびっくりでしょう。
焦点はドットチャートで、来年以降の利下げペースがどうなるのかを経済見通しから探ります。着地点はどこか、中立金利は上がるのかも気になります。前回9月時点のドットチャートでは2026年に1回、2027年にも1回、2028年は0回の利下げを見ていました。
先週はパウエル議長辞任の噂が出ましたが、西原さん、パウエル議長の会見はどの程度注目されるのでしょうか?
トレーダー西原 先週出た「パウエル議長辞任の噂」は、12月1日(月)にSNSで流れた根拠のない憶測に過ぎません。
実際、パウエル議長は11月のFOMC後の記者会見で、トランプ氏から辞任を求められても「NO」と明言し、法律上、大統領にはFRB議長の解任権限はないと強調しています。
そのため、今週のFOMCにおけるパウエル議長の会見は、引き続き注目度が高くなりそうです。
MC叶内 注目度は高いのですね。
パウエル議長は10月、利下げペースをめぐってFOMCメンバーの意見が割れていることを強調し、市場が不確実性を意識することになりました。今回はどうでしょうか。
そのほかには、FOMCの最中、12月9日(火)にJOLT求人件数(9月と10月)が発表されます。米10年債の入札もこの日です。
また、12月10日(水)にオラクル、12月11日(木)にGoogleと提携している半導体のブロードコムの決算発表が予定されています。株式市場への影響は大きい企業です。
国内では、12月8日(月)のGDP改定値、景気ウォッチャー調査、12月9日(火)の工作機械受注、日銀植田総裁がイベント登壇、12月11日(木)の10~12月期法人企業景気予測調査に注目しています。12月12日(金)がメジャーSQ算出ですから、それに向けてやや荒れることも想定されます。
海外ではそのほか、中国で12月8日(月)に発表される11月貿易収支、12月10日(水)のCPI(消費者物価指数)、PPI(卸売物価指数)も見ておきたいところです。また、12月9日(火)に豪州、12月10日(水)にカナダ、ブラジル、12月11日(木)にスイス、トルコが政策金利を発表する予定です。
為替はいかがですか?
米ドル/円、ユーロ/米ドルで米ドル安継続か。12月米ドル安の流れは過去10年で確率アップ。来年の豪ドル上昇を見込む金融機関も
トレーダー西原 先週の「ヘッジファンドの思惑」コラムでご紹介したように、12月は米ドル安の流れになることが多く、過去10年間はその確率が上がっているので要注意です。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円はいったん調整局面入り。12月FOMCは利下げ日銀は利上げをマーケットはほぼ織り込む! 次期FRB議長有力候補にハト派のハセット氏浮上も米ドル売り材料(12月4日、西原宏一)
そして12月に入ると、徐々に2026年のテーマを織り込みにいく動きもでてきます。金融機関によって意見はわかれるところですが、2026年の注目通貨に豪ドルをピックアップするところが増えてきました。
その筆頭はモルガン・スタンレー。彼らは2026年を「Risk Reboot(リスク再始動の年)」と見ているようです。
基本的にAI投資は続き、来年もリスクオン環境で、コモディティ需要(特に銅・アルミ・電力資源)も高まるため、RBAは比較的タカ派であると想定。現在の誘導目標金利は3.60%ですが、2026年末までに4.00%近くまで引き上げられることが先物市場で織り込まれつつあり、それが豪ドルを押し上げるのではないかとしているようです。
こうしたことから豪ドルは、2026年のFXでもっとも恩恵を受ける通貨のひとつとして、彼らは考えているようです。
過去数年に渡って、スイスフラン/円を筆頭に欧州通貨のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が大きく伸びているのが目立ちました。
今年もスイスフラン/円は30円近く急騰しましたが、オセアニア通貨のクロス円の上昇は緩慢。来年は豪ドル/円やニュージーランドドル/円の注目度が高まるのかもしれませんね。
今週はFOMCの結果がサプライズでなければ、米ドル/円、ユーロ/米ドルでの米ドル安継続と見ています。来年の動きを先取りする形で、豪ドルの上昇にも注目ですね。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
トレーダー西原 MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんでいきましょう!
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