■米ドル/円の下落トレンド継続を覚悟すべき理由とは?
円安トレンドに対する修正に関して、前回のコラムでGMMAチャートを見たので、今回も再点検してみよう。まず豪ドル/円から。
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●先行指標の豪ドル/円が上昇トレンド終了。GMMAチャートは円高の流れを示唆!(2013年5月31日、陳満咲杜)
(出所:アイネット証券)
豪ドル/円は依然リード役となり、2013年年初来の安値に迫っている。ユーロ/円との役割交代が筆者の想定より遅れているだけに、GMMAチャートにおける鰯軍団と鯨軍団の距離も拡大したわけだ。
次に米ドル/円とユーロ/円、英ポンド/円。
(出所:アイネット証券)
(出所:アイネット証券)
(出所:アイネット証券)
前回のコラムで指摘したとおり、米ドル/円は豪ドル/円に追随し、現在GMMAチャートにおける鰯軍団が完全に鯨軍団の下に抜けてきたから、一段と調整の余地があることを示している。
鰯と鯨の逆転は2012年10月中旬以来初めてだから、しばらく鰯が鯨からできる限り遊離していくので、ベア(下落)トレンドの継続を覚悟すべきだ。
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ユーロ/米ドル、英ポンド/円では、鰯と鯨の打診とクロスがまだ途中で、こちらはこれから米ドル/円に追随してこよう。
ちなみに、日銀緩和の日の安値は、米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円がそれぞれ、92.76円、119.15円、140.38円であるから、同安値を中期スパンのターゲットとみなすなら、これからユーロ/円と英ポンド/円にはより大きな下落余地がある。
もっとも、6月6日(木)の米ドル/円の急落は、米ドル全面安の一環として受け止めなければならない。ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルともに5月高値を更新しており、このことがクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落を阻止している側面が大きい。
■今夜の雇用統計の結果はだいぶ織り込みずみ?
米ドル全体の話では、最近の米ドル全面安は、主に米ドルロングポジションの偏りによるポジション整理や米FRB(連邦準備制度理事会)政策を巡る思惑に起因していると思う。
具体的な分析は次回に譲るが、結論だけ申し上げると、米ドルの全面安はもう最終段階に来ているのではないかと思う。それには今夜(6月7日)の米雇用統計が、検証材料と成り得る。
ちなみに、同統計が良くないといった観測がだいぶ織り込まれているから、本当に悪くなったとしてもドルインデックスの下値余地は限定されるのではないかと思う。
あと、豪ドルの話だが、一時の買われすぎから今度は極端に売られすぎにあることを記しておきたい。WSJ(ウォールストリートジャーナル)紙が、ヘッジファンドの大物が豪ドル売り準備という記事を取り上げている。ご親切に感謝するが、鵜呑みにしてはいけないことだけを最後に記しておく。では、よい週末を。
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