■米ドル/円は105円、ユーロ/米ドルは1.30ドルへ
前回のコラムで、米ドル高の環境が整ってきたという見通しを示しましたが、1週間経ってみて、よりその状況に確信が持てるようになってきました。
【参考記事】
●米ドル買いに絶好と言える2つ要因とは?上昇中の米ドル/円は105円が当面のメド(8月21日、今井雅人)
当面の目標として、米ドル/円は105円、ユーロ/米ドルも1.30ドルあたりと予想しましたが、その見方を今回のコラムでも維持しておきたいと思います。

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■米ドル高の要因は、米国の利上げ期待の高まり
一番の要因は、やはり何と言っても米国の利上げ期待が高まってきていることでしょう。
FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録(7月29日~30日分)などをみても、雇用環境がより良くなってくれば利上げを前倒しするというようなニュアンスの表現がありました。
もちろん、これからの経済指標を見てからということなのですが、それでも以前よりFOMCはタカ派になってきたような印象を受けます。これに市場関係者が反応しているということです。
今のところ、利食いができなかった個人投資家などが104円台で利食いの米ドル売りをしていることなどから、なかなか上がらない状況にありますが、それをこなせば再び動き出すかもしれません。

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■ユーロに下落圧力がかかる背景は?
また、米ドル高は、対ユーロではさらにはっきりしてきました。
ここのところ、国際機関などがユーロ圏の2014年の経済見通しを下方修正する動きがみられています。思ったほど、景気が良くなってこないということなのですが、その要因の1つは、ウクライナ情勢の混乱にあるのではないでしょうか。
ロシアとの経済制裁合戦は、ユーロ圏にとってはボディーブローとなって効いてきます。
ECB(欧州中央銀行)は、マイナス金利を採用した思い切った緩和策を実施したものの、その効果は十分表れていない状況で、市場では追加緩和の観測すら出始めています。
となれば、当然ユーロには下落圧力がかかるわけで、ユーロ安・米ドル高が、さらに進みやすい環境にあるということは、誰の目にも明らかです。

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相場に絶対はないので、必ずとは言えませんが、今の市場では、「ユーロ/米ドルが下がる」というシナリオが一番わかりやすいのではないでしょうか。
■利上げ観測があるのに米国の長期金利は低下傾向にある
ただし、1つ謎があります。それは利上げ観測があるのにもかかわらず、米国の長期金利が一向に上昇してこないことです。
というより、むしろ低下傾向にあります。
直近の米国の10年物国債の利回りは2.3%台半ばとなっており、ここ1年で見ても、最低水準です。どうして上がってこないのか、実に不可思議。

(出所:CQG)
これが米ドルの上昇を邪魔する可能性があり、米ドルの上昇スピードは緩やかなものとなってしまうかもしれないという認識は、持っておく必要があるかもしれません。

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■豪ドル/円はじりじりと98円を目指す動きに
最後に、毎回、毎回言い続けてきた豪ドルが、ようやくじりじりではありますが、目に見える形で上昇してきました。
対円で見ると、97円台に乗せる局面も出てきています。
これも、一気に突き抜けるというような様子ではありませんが、世界中の株価も安定してきたので、比較的金利の高い通貨にお金が流れやすい状態となっています。

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当面は細かい上げ下げを繰り返しながら、ゆっくりと98円を目指していく動きになってくるのではないかと考えています。
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