■英ポンド急落は昨日までの英ポンド高に対する「報復」か
ところで、今回の英ポンドの急落は、ある意味では昨日(6月23日)までの英ポンド高に対する「報復」だと思う。何しろ、事前予想では残留派優勢だったので、英ポンド/米ドルは1.5000ドル、英ポンド/円は160円まで買われていた。それが裏目に出れば、英ポンド暴落は当然の結果だと言える。
が、ここで注意していただきたいのが、昨日(6月23日)までの英ポンド上昇の主な原因は、ショート筋の踏み上げだと推測され、ミセス・ワタナベの逆張りがうまくいったとしても、その筋道が正しかったかどうかは不明瞭だということだ。
何しろ、英ポンドが十分安かったといった視点でロングを仕掛けた者が多いとされるから、どうやらただの逆張り、といった要素が強かったと思われる。
■昨日(6月23日)は英ポンド売りの好機だった
ところで、昨日(6月23日)は英ポンド売りの好機だったと思う。根拠は昨日のレポートに書いたから、以下に開示する。
■ポンド/ドル 賭けるならこの方向へ
(出所:CQG)
明日英国民投票の結果が出る。同結果次第、世界金融市場が大きく揺れると想定されるだけに、目先ポンドの取引を安易に手掛けるべきではないが、賭けるならショートのほうが有利だと思う。
何しろ、ポンド/ドルは1.4関門割れ寸前から上昇しばなしで、1.48台と年初来高値に迫っている。これは英議員殺害事件を受けた残留派勝利の予想がショート筋を踏みあげた結果にすぎず、ポンドのブルトレンドとして説明するには無理がある。
ゆえに、仮に残留が決められたとしても、足元のレート、その結果の大半を大分織り込んでいると思われ、更なる大幅な上昇余地があっても限定されよう。ポンド/ドルの日足を鑑み、同じ示唆を読み取れると思う。
上のチャートの指示通り、二本の抵抗ライン(黄&緑)が交錯、目先の高値を制限している模様。RSIの弱気ダイバージェンスの構築も確認され、ロングよりショートのほうがリスク大分少ないことが暗示される。ちなみに、2015年1月のスイスショックほどではないが、離脱が決定された場合、ポンドが大きなギャップを付けて下落する可能性があるので、ロング筋のストップオーダーが無効になる可能性も念頭におきたい。
■この先、英ポンド安が進むには別の材料が必要か
ところで、英ポンドはすでに約10%安になっているから、前回コラムの結論は正しくなかったことが証左された。
【参考記事】
●織り込み済みか。英国がEUを離脱しても英ポンド暴落、欧州株暴落はない!?(2016年6月17日、陳満咲杜)
実は、先に開示したレポートのように、先週(6月17日)コラムを提出したあとで、筆者は考え方を変えていた。
ただし、ここから英ポンド安が進むとしても、おそらく別の材料が必要になってくるだろう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)
同じ意味合いにおいて、米ドル/円の100円大台割れはリスクオフの結果として当然の成り行きであるが、ここからさらなる下値打診がすんなりいくかどうかは不透明だ。
理論上、米ドル/円は95円手前の下値ターゲットを射程圏に収めるが、他の材料待ちといったところではないかと思う。
(出所:ヒロセ通商)
ただいま聞いているウワサでは、オランダでもEU離脱の国民投票を行う予定だという。本当なら、もう一段の円高も想定されやすいが、変動率がさらに拡大していくと、G7の協調市場介入が想定される。
となると、一方的に動くのではなく、波乱万丈の市況となろう。このあたりの可能性は、また次回にて探りたい。
(PM2:00執筆)
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