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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

英国人はEU離脱決定を後悔(=Bregret)。
英中銀が公式サイトで英ポンド安を容認!?

2016年06月30日(木)16:49公開 (2016年06月30日(木)16:49更新)
西原宏一

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■英ポンド/米ドルは1.32~1.33ドルがいったんサポートに

 今週(6月27日~)は英ポンドもいったん調整中。

 フィボナッチ・エクスパンション(fibonacci expansion)で見てみると、英ポンド/米ドルの最初のターゲットは1.3304ドル(100%)でした。

 英ポンドのボラティリティが示すとおり、英ポンド/米ドルはオーバーシュート。今週(6月27日~)は1.3188ドルの安値をつけており、前述のターゲットレベルまで到達しています。

英ポンド/米ドル 週足
英ポンド/米ドル 週足

(出所:CQG)

 英国国民投票前の大手銀行の予測では、仮にBrexitという結果になれば、英ポンド/米ドルのターゲットは、まず1.3200ドルレベルとされていました。このことからも1.32~1.33ドルはいったんのサポートであることがわかります

■英中銀が英ポンド安を容認? 英国では「Bregret」が話題に

 ただ、英国の混乱は継続。

 金融関連ビジネスで英国のGDPの約1割を稼ぎ出す、金融街シティから金融機関の離脱がウワサされています。

「第二次世界大戦後で最も重大な事態だ」。米金融大手モルガン・スタンレーのケルハー社長は米メディアに離脱への懸念を示し、欧州の本拠を現在のロンドンから、アイルランドのダブリンか独フランクフルトに移す可能性を明らかにした。

出所:毎日新聞

 そして、今週(6月27日~)英国で話題になっている言葉は「Bregret(BrexitとRegret(後悔)を合わせた造語)」

 ロンドンの友人とBrexitについて話したところ、英国国民投票への大方の意見はRegret(後悔)。

 国民投票で離脱という結論が出るとはまったく想定しておらず、国民投票を実施したことをRegretしているという内容。この状態を「Bregret」と表現しているようです。

 一方、今週(6月27日~)、市場関係者の間で話題になっているのは「英国は通貨安(英ポンド安)を容認するだろう」という観測。

 その背景となっているのが、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])のウェブサイトにある以下のページです。

BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])公式ウェブサイト
BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])公式ウェブサイト

(出所:BOEウェブサイト「EU referendum: your questions answered」より)

 そして、もっとも注目したいのが以下の文言。

What do any financial market movements after the vote mean?
(投票後の金融市場の動きが意味していること)

The economy will need to adjust to whatever new trading relationships are put in place in the future. These decisions will influence the UK’s long-term economic prospects. Financial markets can be expected to adjust in anticipation of these changes.
 
The Bank of England cannot (and should not) stand in the way of these necessary adjustments. But we will work to ensure the financial system can function effectively as they take place, so that any effect on jobs and growth is not magnified.

出所:BOE

 この中で、話題になっているコメントをまとめると以下のとおり。

これからのイギリスの貿易関係がどのようなものであれ、金融市場はそれに対して調整する必要がある。そして、BOEは必要な調整を阻止することはできない

 つまり、Brexitを受けての英ポンド急落について、BOEはそれを受け入れる必要があるということになります。

英ポンド/米ドル 週足
英ポンド/米ドル 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足

 そのため、Brexit後、一部のマーケット参加者の間で話題になっていた英ポンド/円介入などの憶測は、このBOEのスタンスから考えると、的はずれな考え方であるとも言えます。

 実際、1992年の「ポンド危機」のステージでは、英ポンドが急落。その通貨安の恩恵もあって、翌年以降、英国経済は持ち直しています。

【参考記事】
ポンド危機:中央銀行がヘッジファンドに敗れポンドが暴落した「ブラックウェンズデー」

■英ポンド安は英国にとって恩恵をもたらす

 英ポンド安の恩恵については、すでに以下のような報道もあります。

ロンドンに観光客が殺到、爆買い-EU離脱選択ショックにも恩恵あり英国が欧州連合(EU)離脱を選んだことは、バーバリーやハロッズ、リバティといった英国の高級品店やメーカーと、そこで買い物をしたい旅行者にとっては恩恵かもしれない。

23日の国民投票で英国がEU離脱を選んだことでポンドが下落し外国人にとっては英国のモノやサービスが安く買えることになった。消費者は直ちに反応した。Cトリップ・ドット・コム・インターナショナルによれば、同社の旅行予約アプリケーションでは中国国民からの英国旅行についての検索が「急増」した。中国のニュースサイト、フェニックスはロンドンに行く旅行者に「買いまくれ」と促した。

出所:Bloomberg

 ゴールドマンサックスは英国経済は1年以内にリセッション入りするとのレポートを出している模様。

 そのリセッションを避ける意味においても、株さえ急落しなければ、通貨安(英ポンド安)は英国に恩恵をもたらします。

 日本も(急落さえしなければ)通貨安(円安)を志向していることも同様。

 英国の「政治的、経済的」な混乱とそれを回避する意味もある通貨安は始まったばかり…。英ポンド/米ドルは1.2000ドルへ向けて下落局面入り。


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