■FXの利益(所得)に対する税率は、一律20.315%!
続いて、もっとも大きな変更点を押さえたところで、ここからはFXの税金に関わる基本点なポイントをざっと確認していきましょう。
FXに関しては、2015年(平成27年)分の確定申告から税制自体に変更はありませんので、確定申告が始めてではないという方は復習のつもりで読み進めていただければと思います。
みなさんが気になるのは、結局のところ、「自分は確定申告が必要なのか?」という点と、「FXで発生した利益には、いったいどのくらいの税金がかかってくるのか?」という点ではないでしょうか?
順に確認していきますが、先に、後者の「FXで発生した利益にはいったいどのくらいの税金がかかってくるのか?」という点を簡単に確認しておくと、これは法律で一律20.315%(所得税15.315%・住民税5%)(※)と定められています。
(※本来は所得税15%・住民税5%で一律20%だが、2013年~2037年は、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が課されるため、期間中の税率は所得税・住民税合計で20.315%となる)
FXで発生した利益は申告分離課税という課税方式が適用されますので、ほかに所得があろうとなかろうと一定の利益が発生した場合は、誰でも等しく確定申告する必要があるという点を、まずは確認しておいてください。
■確定申告が必要となるのはどんな人?
では、いったいどのくらいFX取引で利益が出たら確定申告が必要になり、20.315%の税金を支払わなければならないのでしょうか?
以下に、納税対象者の例を挙げながら、確定申告が必要になる水準を紹介していきますので、「自分は確定申告が必要なのか?」を考えるうえで参考にしていただければと思います。まずは、「自営業・自由業」、「主婦(夫)・学生」のケースから見ていきましょう。

「自営業・自由業」の場合は、FXトレーダーであるなしに関わらず、確定申告するケースが多いと思います。基本は、FXを含め基礎控除38万円超の所得がある場合、確定申告が必要です。
また、「主婦(夫)や学生」など個人としての収入があまりない場合も、FXを含め基礎控除38万円超の所得がある場合は、確定申告が必要となります。
ただし、「主婦(夫)や学生」でもパートやアルバイトをしており、源泉徴収を受けている場合は、会社員と同じ扱いとなります。給与所得以外の所得が20万円超であれば確定申告が必要となりますので注意してください。
なお、詳しくは税務署などで確認が必要ですが、FX取引を事業として行っている場合は、取引で出た利益が雑所得ではなく、「事業所得」になる可能性もなくはないようです。とはいえ、本格的に事業として取引する場合は法人を設立するでしょうし、ウワサレベルではありますが、FXで得た所得を事業所得として申告しても、税務署に認めてもらうのは難しいなんて話も聞きます…。
でも、もし事業所得と認められれば、雑所得では使えない制度が使えたりしますので、場合によっては支払う税金の額に大きな違いが出てくるかも。気になる方は、一度、管轄の税務署や税理士などの専門家に相談してみると良いのではないでしょうか。
■「会社員」や「年金生活者」の場合は?
続いて「会社員」や「年金生活者」のケースを見ていきましょう。

「会社員」の場合は、勤務先からの給与支払い時に源泉徴収が行われ、さらに年末調整が実施されることで税の過不足が調整されますので、基本的に自分で確定申告をする必要はありません(給与収入額が2000万円を超える場合は、そもそも確定申告が必要)。
ただし、FXを含め給与所得以外で20万円超の所得があれば確定申告が必要ですので、忘れないようにしてくださいね。
最後に、「年金生活者」の場合は、「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下」で、かつ「公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額が20万円以下」なら確定申告が不要となる制度が設けられています(確定申告不要制度)。
これは、年金生活者の確定申告の負担を減らすために設けられた制度で、この制度によって多くの年金生活者は、基本的には確定申告をする必要がなくなりました(公的年金等の収入金額が400万円超の場合は確定申告必要)。
ただし、「公的年金等の収入金額が400万円以下」の年金生活者であってもFXを含め「公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額」が20万円超の場合は確定申告が必要となります。忘れず、申告するようにしてください。
なお、FXの場合、1年間の利益がまるまる確定申告の対象金額となるのではなく、利益から一定の必要経費(取引手数料やセミナー受講費、書籍代金など)を差し引いた金額に対して、最終的な納税額を算出することができます。
紹介したいずれのケースも、大元の利益全額ではなく、必要経費を差し引いてどのくらいの金額になるのかを算出し、確定申告が必要かどうかを考える目安にしてください(※)。
(※経費の範囲には具体的な定めがないため、実際に申請する際には管轄の税務署などに経費に該当するか否かを確認することをおすすめします)
【参考記事】
●あの投資家たちのFX確定申告の実態(1)ひろぴーさんが必要経費に入れたものは?
さて、若干、小難しい話になって…
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