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田向宏行
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第1章 FXをはじめるには

FXで利益を上げる方法。買うだけじゃなく、
下がると思えば売りからもはじめられる

2019年01月08日(火)12:55公開 (2021年03月19日(金)17:11更新)
ザイFX!編集部

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このページの概要
FXでは買った値段と売った値段の差が利益や損失になります。為替レートの値動きだけを利用するので、買いから入って買った値段より高い値段で売り決済するだけでなく、売りから入って売った値段より安い値段で買い決済して利益を狙うことも可能です。

まずはポジションを建てる

 FXの取引でまず必要なのは、「ポジション」を建てることです。ポジションとは、新規の取引で建てた持ち高のことを指す相場用語。FXに限ったことではなく、投資ではポジションを建て、そのポジションを反対売買によって決済することで、最終的な損益を確定させるのが基本です。

 この先、米ドル/円のレート(価格)が上昇しそうと予測して、1米ドル=100円のときに米ドル/円を買ったとします。これが、100円で米ドル/円の買いポジションを持った状態です。このポジションを、最終的にどこかの時点で売り決済することで、取引が完結して損益が確定します。

買ったあと、上昇すれば利益

 米ドル/円のレートが上昇しそうだと予測して、1米ドル=100円で米ドル/円の買いポジションを建てたとします。

 思ったとおりに米ドル/円が上昇したので、1米ドル=110円になった時点で売りで決済したとしましょう。これで取引が完結し、建てた(買った)レートと決済した(売った)レートの値幅の差が、トレードで獲得した値幅として確定します。

 つまりこの場合だと、買ったレートの100円と、売ったレートの110円の差となる10円が、取引で得た利益の幅になります。

取引のイメージ1

 この10円幅は、1米ドルあたりの利益となり、最終的な損益は取引量によって変わります。

 FXでは1回の取引で建てるポジションの量は、1000通貨や1万通貨単位が主流ですから、1000通貨で取引していたら1万円、1万通貨で取引していたら10万円の利益になるということです。

【損益の計算方法=1通貨あたりの利益✕取引量】
・1000通貨取引なら…10円×1000通貨=1万円
・1万通貨取引なら…10円×1万通貨=10万円

買ったあと、下落したら損失

 取引がうまくいけば良いのですが、為替レートが思った方向と反対に動いてしまうと損失が発生します。米ドル/円が上昇すると予測して、1米ドル=100円で買いポジションを建てたあと、90円まで下落してしまい、その時点でポジションを決済すると、どうなるでしょう?

 100円で買って90円で売ったわけですから、1米ドルあたり10円の損失が確定します。1000通貨取引なら1万円、1万通貨取引なら10万円のマイナスです。

取引のイメージ2

 つまり、為替レートが上昇すると予測して買いポジションを建てた場合、建てた値段よりも高い値段で決済できれば利益、建てた値段よりも安い価格で決済することになれば損失となります。これがFXの取引の基本です。

下落すると思ったら、売りからはじめられる

 FXでは、為替レートが上昇しそうだと予測したときに買いポジションを建て、売り決済で損益を確定させる取引だけではなく、為替レートが下落すると予測したら最初に売りポジションを建て、買い決済で損益を確定させることも可能です。

 買っていないのに売るという取引に、違和感を覚える方は多いかもしれません。たとえば、米ドル/円を売るということは、米ドルを売って円を買う(米ドルを円に換える)のと同じ意味です。米ドルを持っていることが前提になりそうですし、外貨預金なら外貨を買う方向でしか取引をスタートさせることができませんから、そう思うのも無理はないと思います。

 でも、FXは為替レートの動きのみを対象にして、建てたレートと決済したレートの差を利益や損失としてやり取りするしくみなので、為替レートが下落すると思えば先に売って、買い決済で取引を完結させることができます。

 もし、米ドル/円が下落すると予測して、1米ドル=100円で売りポジションを建て、思ったとおりに90円まで下落したところで買い決済すれば、1米ドルあたり10円分の利益を得ることができます。1000通貨取引なら1万円、1万通貨取引なら10万円の利益です。

取引のイメージ3

 反対に、米ドル/円を100円で売ったあと、レートが110円まで上昇してしまい、その時点でポジションを買い決済すると、1米ドルあたり10円分の損失が発生します。1000通貨取引なら1万円、1万通貨取引なら10万円のマイナスです。

取引のイメージ4

 為替レートが上昇すると思えば買い、下落すると思えば売りのポジションを建てて取引をはじめる。これが株式の個別銘柄取引や投資信託などにはない、FXの大きな特徴で魅力のひとつです。

外貨同士の損益の計算方法

 ここまで米ドル/円でご紹介しましたが、米ドル/円以外の通貨ペアでも、取引のしくみはまったく同じです。米ドル以外の通貨と円との通貨ペアであるクロス円なら、損益の計算方法も米ドル/円と変わりません。

外貨同士の通貨ペアは、取引で生じた為替レートの差額分を日本円に換算する必要があります。一般的には、取引した通貨ペアの右側(あと)に表示される通貨と円を組み合わせた通貨ペア(クロス円)の、決済時の為替レートを使って計算されます。

 たとえば、ユーロ/米ドルなら右側に表示されるのは米ドルですから、米ドルと円の組み合わせとなる米ドル/円のレートを使って、差損益を日本円に換算します。ユーロ/豪ドルなら豪ドル/円、ユーロ/英ポンドなら英ポンド/円、米ドル/トルコリラならトルコリラ/円…といった感じです。

 もし、ユーロ/米ドルを1.10ドルで買って1.12ドルで売り決済した場合、1ユーロあたりの利益は0.02ドルです。1000通貨取引なら20ドル、1万通貨取引なら200ドルになります。

取引のイメージ5

決済時の米ドル/円のレートが100円なら、1万通貨取引の確定利益は2万円になります。ところが、決済時の米ドル/円のレートが110円なら、同じ取引でも確定利益は2万2000円になります。

【ユーロ/米ドルを1万通貨取引して、200ドルの利益が出た場合】
・決済時の米ドル/円が100円なら…200ドル×100円=2万円
・決済時の米ドル/円が110円なら…200ドル×110円=2万2000円

 このように、外貨同士の取引の場合、取引で生じた値幅の差が同じでも、米ドル/円やクロス円のレートによって日本円ベースの確定損益額が異なってきます。

 外貨同士の通貨ペアを取引した場合、損益の計算方法が少し複雑になりますが、FXの取引自体は差金決済なので、外貨を用意する必要は一切なく、すべて日本円で取引できます。

(最終更新日:2021年3月19日)

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