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FXの「税金」と「確定申告」を詳しく解説! FXの税金
の基本情報、確定申告のやり方や申告に必要なもの、
知っておきたい節税対策についてもまとめて紹介!

2020年09月10日(木)14:00公開 (2024年02月16日(金)09:05更新)
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(※本記事に掲載している情報は、FXを個人口座で取引している人が対象となります。FXを法人口座で取引している人は対象としていません)


 FXを始めたばかりの人やこれから始めようと考えている方にぜひ知っておいてもらいたいのが、「税金・確定申告」に関すること。

FXの税金・確定申告のイメージ

 年末調整(※)が実施されることで基本的に確定申告を必要としない会社員を含め、FXで一定の利益が出た場合は誰でも確定申告が必要です(※「年末調整」とは、給与などから源泉徴収された所得税の過不足金額を計算し、余分な徴収があった場合はその差額分を還付、徴収額が不足していた場合はその差額分を徴収する制度)。

利益を申告せずに放置すると、あとで無申告加算税や重加算税などのペナルティが科される可能性もあるため、「知らなかった」では済まされません。
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 また、損失が出ている場合も確定申告を行うことで、翌年以降の節税対策ができる可能性があります。「負けているから関係ない」なんてことはないのです。

 本記事ではFXトレーダーなら誰もが無関係ではいられない税金・確定申告に関して、「FXの税金について」「確定申告のやり方」「知っておきたい節税対策」の3項目に渡り、最低限、知っておきたい情報をわかりやすくまとめています。ぜひ、参考にしてください!

【このページの目次】(クリックで各項目に移動します)
■ FXの税金について
- FXの利益は「雑所得」。税率は一律20.315%
- いくら儲かったら確定申告が必要?
- 納税額の算出方法と必要経費
■ 確定申告のやり方
- 確定申告で税務署への提出などが必要な書類
- 確定申告書を作成する方法
■ 知っておきたい節税対策
- 損益通算
- 3年間の繰越控除
- 年内に含み損を決済
■ FXの税金・確定申告関連記事

FXの税金について

 ここでは、FXの税金に関する基本情報を紹介します。FXの利益が雑所得であること、税率が一律20.315%であることに加え、確定申告が必要となる基準や利益から差し引くことができる必要経費の例も紹介します。

・FXの利益は雑所得。税率は一律20.315%

 FXでは売買で発生した為替差益や、ポジションの保有によって受け取るスワップポイント(スワップ金利)で利益を得ることができます。これらで得た利益は課税の対象となり、一定以上の利益が出た場合、自ら確定申告を行って納税する義務があります。
【※関連記事はこちら!】
FX取引で利益を上げる方法:FX初心者のための基礎知識入門
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 ただし、決済して確定した利益が課税対象となるため、未決済ポジションの含み益やスワップポイントなどは課税対象にはなりません(※FX会社によってはスワップポイントが日々、現金化されるケースがあり、その場合はポジションが未決済であってもスワップポイントは課税対象となる。詳細はFX会社で確認してください)。

 確定申告とは、毎年1月1日~12月31日までに得た所得を計算して申告・納税する一連の手続きのことで、例年、翌年の2月中旬~3月中旬が申告期間となります。FXで一定の利益があった場合だけでなく、確定申告の必要がある場合は原則として、この申告期間中に年間の所得を計算して申告します。

 ちなみに、FXの利益に限らず、すべての所得は税法上、以下の10種類に分類されます。

■10種類の所得の分類一覧
NO 所得の種類 概要
1 利子所得 預貯金や公社債の利子、公社債投資信託などの収益の分配に係る所得
2 配当所得 株主や出資者が法人から受ける配当や投資信託の収益の分配などに係る所得
3 不動産所得 土地や建物などの不動産や借地権など不動産の上に存在する権利による所得
4 事業所得 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得
5 給与所得 勤務先から受ける給料、賞与などの所得
6 退職所得 退職によって勤務先から受ける退職手当や厚生年金保険法に基づく一時金などの所得
7 山林所得 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得
8 譲渡所得 土地や建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得
9 一時所得 懸賞や福引の賞品・賞金、競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金などによる所得
10 雑所得 1~9のどこにも属さない、その他の所得
国税庁タックスアンサー「No.1300 所得の区分のあらまし」を参考に、ザイFX!編集部が作成

 FXの利益は、この中の「雑所得」に分類されます。ただし、ただの「雑所得」ではなく、特例によって「先物取引に係る雑所得等」というカテゴリーに分類されています。このため、一般的な「雑所得」とは異なる課税制度や税率が適用されます。

 一般的な「雑所得」には総合課税という課税制度(他の所得と合算して納税額を計算する制度)が適用され、その場合、税率は所得税・住民税を併せて15%~55%になります(※復興特別所得税は含まず)。

 一方、FXの利益には、他の所得と切り離して納税額を計算する「申告分離課税」という制度が適用され、税率は一律20.315%と定められています。

 一律なのでFXでどれだけ利益が出ても、税率は等しく20.315%(※)。仮に年間の利益が100万円でも1億円でも、適用される税率は同じ20.315%ということです(※本来は所得税15%・住民税5%で一律20%だが、2013年~2037年は所得税に対して、さらに2.1%の復興特別所得税が課されるため、期間中の税率は所得税・住民税合計で20.315%となる)。

 FXの利益に対する税率
・所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%

・いくら儲かったら確定申告が必要?

 FXで利益が出たら確定申告が必要とはいえ、年間のトータルで1000円や2000円の利益…といった超微量な利益まで必ず申告しなければならない、ということではありません。

 具体例を挙げると、たとえば会社員の場合ならFXの利益を含めて給与や退職所得以外に20万円を超える所得がある場合、主婦(主夫)や学生ならFXなどで得た所得が48万円を超えた場合に確定申告が必要となります。

■対象者別の確定申告が必要となる条件の例
自営業
(フリーランスなど)
FXなどで得た所得が48万円を超える場合
主婦・主夫、学生
(主婦・主夫、学生、家事手伝いといった扶養家族の場合など)
会社員
(給与所得額が2000万円以下の給与所得者など)
給与所得や退職所得以外の所得(FX含む)で、20万円を超える所得がある場合
年金生活者
(公的年金等の収入金額が400万円以下の場合)
公的年金等に係る雑所得以外の所得(FX含む)で、20万円を超える所得がある場合
※「会社員」でも、給与を2カ所以上から受け取っていたり、給与収入額が2000万円を超える場合、各種所得控除の申請をする場合などは、そもそも確定申告が必要
※「年金生活者」には、「公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下」で、かつ「公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額が20万円以下」なら確定申告が不要となる確定申告不要制度が設けられている

 自営業や自由業の場合、FXをしていようがいまいが通常は確定申告をすると思いますが、会社員や主婦(主夫)・学生などの場合、確定申告の手続き自体になじみが薄いかもしれません。対象となる場合は、余裕をもって手続きを行うようにしましょう。

 なお、FXの年間損益は、FX会社が発行する「年間損益報告書」(※)で確認できます。例年1月頃になると、各FX会社の会員ページやマイページなどから取得できますので、それをもとに年間損益を確認してください(※FX会社によって名称が異なる場合がある)。

複数のFX会社(FX口座)で取引している場合は、すべてのFX口座の年間損益を合算しなければならないので、注意が必要です。

 ちなみに、年間で損失が出ていたという場合も、確定申告を行うことで翌年以降の節税対策になる可能性があります。詳細は後述しますが、たとえ損失でも確定申告と無関係ではないということは、覚えておきたい点です。
【※損失が出ていても確定申告することで、翌年以降の節税対策に!】
FXの知っておきたい節税対策:損益通算

・納税額の算出方法と必要経費

 確定申告の際は、利益から必要経費を差し引いた金額を所得として算出します。そのうえで、その所得に対して一定の税率を乗じて、最終的な納税額を算出するのが一般的です。

 納税額の算出方法の概要
・年間利益 - 必要経費 = 所得金額
  
・所得金額 × 税率 = 納税額
実際には各種控除が適用される場合もあるが、ここでは省略

 利益から差し引くことができる必要経費とは、簡単に言えばその所得を得るためにかかった費用のこと。

 ただし、必要経費の定義については、法令などで具体的に定められていません。したがって推測の域は出ませんが、たとえばFXの場合は以下のようなものが必要経費として認められるとされています。


【FXの必要経費として認められそうなものの一例】

・ セミナー受講料
・ 関連書籍の代金
・ 有料メルマガの購読料
・ 外枠の取引手数料


 有料メルマガも経費として申告できるなら、ザイFX!の有料メルマガ「ザイ投資戦略メルマガ」を購読している場合は、その購読料も必要経費としてFXで得た利益から差し引くことが可能と思われます。

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 「外枠の取引手数料」について補足しておくと、現状、ほとんどのFX口座で取引手数料は無料なので、外枠の取引手数料がかかるFX口座自体が非常に少数派です。しかし、外枠の取引手数料がかかるFX口座を利用している場合は、その手数料分が必要経費として認められる可能性は高いと考えられます。該当する方は、FX会社の「年間損益報告書」で1年間に支払った手数料の金額を確認するようにしてください。

 ちなみに、FXの実質的な取引コストにあたるスプレッドは、あらかじめ売買損益に反映されているため、確定申告の際に必要経費として算入することはできません
【※関連記事はこちら!】
FXのスプレッドとは?:FX初心者のための基礎知識入門

必要経費になるのか?ならないのか?判断が難しい場合は、近くの税務署で相談するか、税理士などの専門家に意見を仰ぐのが良いでしょう。

 以下の【関連記事】では、FXの専業トレーダーらが確定申告の際、必要経費としてどんなものを入れたのかを根掘り葉掘り聞いたことをまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてください。
【※関連記事はこちら!】
あの投資家たちのFX確定申告の実態(1)ひろぴーさんが必要経費に入れたものは?

確定申告のやり方

 ここでは、FXで利益が出て確定申告が必要となった場合に用意しなければならない書類(マイナンバー確認書類や年間損益報告書)や、確定申告の方法などについて簡単に紹介します。

・確定申告で税務署への提出などが必要な書類

 確定申告は、毎年1月1日~12月31日までに得た所得を計算して申告・納税する一連の手続きです。例年、申告期間は2月中旬~3月中旬で、確定申告の必要がある人は、原則、この間に前年の年間の所得を計算して申告します。

 FXで利益が出て確定申告が必要になった場合、税務署へ提出する必要のある書類、もしくは税務署への提出は不要だけれども用意する必要のある書類は以下のとおりです。


【確定申告にあたって必要な書類と入手方法】

●税務署へ提出が必要な書類
・確定申告書→国税庁の公式サイトから入手
・本人確認書類→自分で用意

●税務署への提出は不要だが、用意する必要がある書類
・年間損益報告書→取引しているFX会社のマイページなどから入手
・源泉徴収票(会社員などの場合)→勤務先から入手(通常12月か1月に発行される)


確定申告書については、国税庁の「確定申書等作成コーナー」からウェブ上で必要事項を入力していけば、自動的に必要な書類がすべて揃いますので、あまり心配はいらないでしょう。

 少し注意したいのが、自分で用意する必要がある「本人確認書類」です。

 確定申告書の提出にあたっては、基本的に毎回、書類へのマイナンバーの記載と本人確認書類(マイナンバー確認書類+身元確認書類)の提示、または写しの添付が必要(※)ですが、以下のとおり、利用できる本人確認書類は、マイナンバーカードを持っているかどうかで異なります
(※e-Taxで送信すれば、本人確認書類の提示又は写しの添付は不要!)

確定申告に必要な本人確認書類一覧画像

※表は、国税庁の公式サイトを参考にザイFX!編集部が作成
※e-Taxを利用する場合は、マイナンバーとマイナンバーの持ち主であることが確認できる本人確認書類、またはその写しの提出は不要

 マイナンバー確認書類の1つである「通知カード」は2020年(令和2年)5月25日に廃止されましたが、通知カードに記載されている住所、氏名などが住民票と一致していれば、通知カードは引き続きマイナンバー確認書類として利用できます。

 ただし、引っ越しや結婚などで住所や氏名が変わった場合は、通知カードをマイナンバー確認書類として利用することはできません廃止によって通知カードの記載内容を変更することが不可能となり、住所や氏名の変更を反映できなくなっているためです。

 このようなケースでは、マイナンバーカード、あるいはマイナンバー記載の住民票の写し、住民票記載事項証明書などを別途用意しなければなりません。

 この他、FX会社から取得する「年間損益報告書」は確定申告時に税務署へ提出する必要はありませんが、FX取引による年間損益が記載された書類なので、必ず確認する必要があります。

 FX会社の「年間損益報告書」は、例年、1月頃に各FX会社のマイページなどから前年分が閲覧できるようになります。

例:SBI FXトレードの「年間損益報告書」
例:SBI FXトレードの「年間損益報告書」

 複数のFX口座で取引している場合は、取引しているすべてのFX会社から「年間損益報告書」を取得して、合算したうえで年間損益を算出してください。

 また、会社員が確定申告する際は、「源泉徴収票」も必要です。

 源泉徴収票は2019年4月1日以降、確定申告時に税務署へ提出する必要はなくなりました。しかし、確定申告書を作成する際に源泉徴収票の内容を記載しなくてはならないため、手元に置いておく必要があります。会社員などの場合、源泉徴収票は通常12月か1月頃に勤務先から発行されますので、保管しておきましょう。

・確定申告書を作成する方法

 確定申告書の作成は、国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、パソコンからでもスマホからでも、ウェブ上で簡単に作成することができます

 「確定申告書等作成コーナー」の案内にしたがって必要事項を入力していけば、納税額などの計算も行ってくれ、自動的に必要書類が揃います。手計算や手書きの必要は一切ありませんし、確定申告は初めてという方でも安心です。

国税庁 確定申告書等作成コーナー(パソコン版)
国税庁 確定申告書等作成コーナー(パソコン版)画像

(出所:国税庁)

国税庁 確定申告書等作成コーナー(スマホ版)
国税庁 確定申告書等作成コーナー(スマホ版)画像

(出所:国税庁)

 確定申告書の作成が完了したら印刷して、本人確認書類とともに管轄税務署に郵送、または管轄の税務署に持参して提出すれば完了です。

 なお、「e-Tax」を利用すれば、申告期間中はおおむね24時間、自宅のパソコンからいつでも確定申告書を提出することができます。e-Taxを利用するための準備の段階で本人確認が完了するため、改めて本人確認書類を提出する必要もなく、とても便利です

 ただし、e-Taxを利用するには、事前に利用者識別番号を取得する必要があります。

 利用者識別番号の取得にはいくつかの方法があり、それぞれの方法によって必要なものは多少異なりますが、基本的にインターネットに接続できる環境があれば、パソコンやスマートフォンから簡単に取得することができます。

e-Taxを利用しようと考えている方は、先に利用者識別番号の取得を済ませるようにしてください。

【利用者識別番号の主な取得方法】
1. WEBからマイナンバーカードを使ってアカウントを登録する
2. WEBから届出書を作成して取得する
3. マイナポータルの「もっとつながる」機能からe-Taxを利用する
4. WEBからID・パスワード方式の届出を作成・送信する
5. 税務署に行ってID・パスワード方式の届出を作成・送信する
6. 書面で利用者識別番号を取得する
7. 税理士に依頼して利用者識別番号を取得する

※e-Tax(国税電子申告・納税システム)の内容を参考にザイFX!編集部が作成

知っておきたいFXの節税対策

 ここでは、誰でもできるFXの節税対策について紹介します。FXで損失が出たからといって、確定申告とは無縁というわけではありません。損失を申告することで、将来的な節税効果を得られる可能性があります。

・損益通算

「損益通算」とは、一定の範囲内で利益と損失を相殺することを言います。これによってトータルの所得金額が小さくなり、納税額を抑えられる可能性があります。

 FXの利益は「先物取引に係る雑所得」に分類され、他の雑所得とは区別されていますので、他の雑所得はもちろんのこと、雑所得以外の9種類の所得とも損益通算することはできません。

 しかし、FXと同じ「先物取引に係る雑所得」に分類される一部の金融商品となら損益通算することができます

 FXと損益通算できる主な金融商品は、以下のとおりです。

【FXと損益通算できる金融商品の例】
・ バイナリーオプション
・ 日経225先物
・ TOPIX先物
・ 日経225オプション
・ 商品先物
・ CFD

※上記はあくまで例。このほかにもFXと損益通算可能な金融商品はある
※取引所FXの「くりっく365」と通常の店頭FXは損益通算が可能

 他の代表的な金融商品としては株式などが挙げられますが、株式は所得の種類がFXとは異なるため、損益通算することができません。FXに加えて株取引なども行っている場合は、間違って損益通算しないよう注意してください。

 また、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の取引で生じた損益も、FXとの損益通算はできませんので、あわせて注意してください。暗号資産取引にも「FX」の名称がつくサービスがありますが、暗号資産取引の利益は雑所得には分類されるものの、FXのように「先物取引に係る雑所得」には分類されていないからです。

 さらに、同じFXでも海外のFX業者で取引して発生した為替差益やスワップポイントは、国内のFX会社で発生した利益とは異なる所得に分類されます。海外のFX業者で発生した利益は暗号資産取引と同様、雑所得には分類されますが、「先物取引に係る雑所得」には当てはまりません。総合課税が適用され、最高税率は所得税・住民税を併せて55%(※復興特別所得税を含まず)になります。

 ザイFX!では安全性や信頼性の観点から、そもそも海外のFX業者での取引は推奨していませんが、もし、当記事を読んでいる読者の中に海外のFX業者で取引している方がいれば、金融商品のジャンルとしては国内のFX会社のサービスと同じFXでも税金の取り扱いは異なるという点に注意してください。

・3年間の繰越控除

「繰越控除」とは、損失を翌年以降の利益と相殺して、将来の納税額を抑制することができる制度です。

 FXを含む複数の金融商品と損益通算して損失となった場合、繰越控除を利用できます。

損失は、向こう3年間に渡って繰り越すことができますが、繰越控除を利用する場合、繰り越し期間中は取引の有無にかかわらず、毎年必ず確定申告する必要があります。

3年間の「繰越控除」の例

 年間の損益がマイナスなので、FX取引に関連して確定申告を行うことは義務ではありませんが、少し面倒でも手間を惜しまず損失を申告しておけば、翌年以降に利益が出た場合、節税効果が期待できます

 誰でも使うことができる節税対策ですので、対象となる方は、ぜひ申告を検討してみてください。

・年内に含み損を決済

 損益通算や3年間の繰越控除は確定申告を行う際の節税対策ですが、確定申告の対象となる年の年内にできる節税対策もあります。

 それは、「年末までに含み損を抱えたポジションを決済」することです。

 FXで確定申告の対象となるのは決済して確定した利益となり、未決済ポジションの含み益や含み損は対象にはなりません。

 つまり、すでにその年にFXの確定利益が十分にある一方、FX口座に含み損を抱えたポジションが残っていたら、年末までに含み損を抱えたポジションを決済することで、確定申告で申告しなければならない年間の利益が減り、その結果、納税額を抑えることができます

 また、FXでは利益が出ているけれど、CFDでは含み損を抱えたポジションがあるといった場合も、CFDの含み損を抱えたポジションを年末までに決済すれば、確定申告の際にFXの利益とCFDの損失を損益通算することで、申告対象となる利益が減って節税できるというわけです。

FXの税金・確定申告関連記事

 ザイFX!では、毎年、FXの税金・確定申告に関する記事を公開しています。ここ数年の記事は以下のとおりです。ぜひ、参考にしてください。

【最新版:FXの税金・確定申告に関する記事はこちら!】
【2020年版】FXの税金・確定申告を解説!パソコンやスマホからさくっと申告できる
【2021年版】2020年分のFX確定申告開始。感染防止の面でもe-Taxや郵送を活用したい
【2022年版】FXの確定申告は、スマホやパソコンで。今回は申告書作成から提出まで、オンラインで完結できる人がかなり増えそう
【2023年版:FXの税金と確定申告】2月16日開始! 確定申告はスマホやパソコンから簡単にできる! 注意点やe-Taxを利用したオンラインでの申告方法などを紹介!
【2024年版・FXの税金と確定申告】2023年分の確定申告が2月16日(金)に開始! 今年もスマホやパソコンからの申告がおすすめ、注意点や申告方法を紹介!


※当記事は、ザイFX!編集部が各FX会社や国税庁のウェブサイトなどを参考に作成しています。記載内容に不備がないよう注意していますが、確実性や完全性を保証するものではありません。不明点がある場合は、必ず税理士などの専門家、税務署、FX会社などで確認、相談するようにしてください

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