■ユーロ/円、英ポンド/円のブルトレンドは継続される公算大
米ドル高基調を確認する、また加速させる材料として、現時点でもっとも考えられるのはトランプ政権の大型減税、また、大型財政出動であろう。が、この両方とも議会では安易な承認を得られにくいから、仮に何らかの形でまとめられても、時間がかかる見通しだ。
したがって、当面、米ドル全体は保ち合い継続を覚悟しておきたい。
となると、結論から申し上げると、ユーロ/円、英ポンド/円のV字反騰、また、一直線な上値打診には行きすぎた感があるものの、これはトレンドとして継続される公算が高い。
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この意味では、これからかなりのスピード調整があったとしても、それはブル基調を修正するどころか、ブル基調をより健全化させることになるだろう。スピード調整を経て、両通貨ベアの上昇トレンドがより確認され、またしばらく継続される公算が大きい。
■ドル/円は113円打診でまず一服、調整の可能性ありだが…
もちろん、米ドル/円の堅調なしでは両クロス円のブル基調は維持できない。
米ドル/円とユーロ/円に共通したテクニカル上のサインで、もっとも強烈なのは先々週の週明け(4月24日)に形成された「ギャップ」であるが、トレンドを転換させる重要なサインとして、これからしばらく、これは「埋められず」に強気トレンドを維持していく可能性が大きい。
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言い換えれば、米ドル/円の113円の節目打診をもってまず上昇一服、何らかの形でスピード調整を図る可能性はあるものの、それが先々週(4月24日~)安値109.60円以下の押しになるかどうかは疑わしい。押しがあっても「深押し」を回避できれば、米ドル/円の地合いは一層堅調になってこよう。
そして、すでに昨年(2016年)高値を更新したユーロ/円は、先々週(4月24日~)安値118.91円からずいぶん上昇してきただけに、同安値以下に押されるリスクは当面低いのではないだろうか。
米ドル/円もユーロ/円も、「ギャップ」を残したまま再度高値トライしていく、といったシナリオを念頭におきたい。
ところで、英ポンド/円の方はやや違った構造を見せる。4月25日(木)にいったん安値打診してから大幅上昇していたから、厳密にいうと、「ギャップ」をつけなかったと言える。
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この意味では、英ポンド/円の上昇はより「健全」で、昨年(2016年)年末高値148.45円のブレイクは必至、また、高値更新後も上値余地を拡大するだろう。もちろん、スピード調整なしという話ではないので、ご注意を。
■出遅れている豪ドル/円は、このまま出遅れか?
ところで、主要クロス円のうち、豪ドル/円のパフォーマンスが著しく「出遅れ」ている。
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原油、金など商品相場が芳しくないことが、豪ドルの頭を押さえる要素として明らかであり、ユーロ/豪ドルなど豪ドルクロスでの大幅な豪ドル安につながっている。
こういった場合、よく考えられるロジックの1つ、すなわち「出遅れ」を拾うことが好まれがちだが、それには慎重なスタンスを取りたい。
為替マーケットにおいて、強いものはさらに強く、弱いものはさらに弱くなっていく。同様に「出遅れる」からこそまた「出遅れる」という法則が効くから、円売りトレンドが続く中、「王道」として引き続き英ポンド/円の押し目狙いをお勧めしたい。
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