■米ドル/円のサインは有効、強気変動を維持できるだろう
対照的に、米ドル/円におけるサインは有効であったため、米ドル/円は続伸できた。
6月14日(水)のチャートが示していた「フェイクセットアップ」のサインが効いてきたわけで、昨日(6月29日)113円の節目手前に迫り、GMMAチャートにおける「トビウオ」(短期移動平均線と長期移動平均線のゴールデンクロス)サインも点灯しているため、これからも強気変動を維持できるだろう。
(出所:FXブロードネット)
■米ドル/円上昇の理由でもある円全面安、背景にあるのは…
もっとも、前述のようにクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)としてユーロ/円の強気変動がユーロ/米ドルと米ドル/円の値動きから形成された結果と言える同時に、ユーロ/円の高騰が米ドル/円の堅調をもたらしたとも言える。
実際、米ドル/円が米ドル全体のパフォーマンスに追随していない背景に、円の全面安が見られたところは見逃せない。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
円全面安について、あえて後づけの理由を言うなら、ファンダメンタルズ上では日銀のスタンスを主な背景として指摘できるのではないだろうか。
日銀は、少なくとも公の場ではいわゆる「出口」政策の早期実施を否定している一方、ほかの主要国中銀の政策は引き締め方向にあったり、それを示唆していたりしている。両者は「ダイバージェンス」を示しているのだ。
その上、今まで米利上げ後に円高になっていた市場の反応パターンが、今回は一転して米ドル/円買いの「バイ・ザ・ファクト」(要するに米利上げ後、円売りとなった)となったわけで、これも円売りの「安心感」につながったと思う。
いずれにせよ、ファンダメンタルズ上の理由は事前に解釈できないところが多いが、テクニカル上、円安のサインが効いているなら、それに従うしかない。
■当面、米ドルの軟調が続く見込み。英ポンドは…
ユーロ/円の目先の高騰は、実は6月15日(木)のチャートに点灯したサインがもたらした結果であるから、同サインの意味合いを6月16日(金)のレポートをもって説明したい。原文は以下のとおり。
(出所:FXブロードネット)
ユーロ/円の日足をみると、昨日の罫線が重要なサインを点灯していたことが分かる。昨日5月18日安値を一時下回ったものの、一転して高く大引き、「リバーサル」の陽線をもって5月高値を起点とした調整波の終焉を示唆した。
もっとも、5月16日、25日の高値を形成した「ダブル・トップ」のフォーメーション、同18日の安値をもって「ネック」を形成したとみなされ、同安値の打診をもってトレンドの転換さえ想定されるが、昨日の安値打診が「ダマシ」であったが分かり、目先の続伸につながったわけで、昨日の「ダマシ」は上昇をもたらす「フェイクセットアップ」のサインに化したわけだ。
更に、5月18日、6月7日安値が重要なサポートゾーンを形成していただけに、昨日の安値打診は「フォールス・ブレイクアウト」のサインでも解釈できる。同見方、目先8日(b)高値のブレイクをもって証左され、これから2日(a)高値の更新につながっていくでしょう。ブレイクがあれば、ブルトレンドの継続を示唆するので、4月安値を起点とした上昇波が延長されることを有力視。
前記プライスアクションの視点に加え、GMMAチャートにおける「鰯喰い」のサインが点灯され、調整一服、またブルトレンドへ復帰することを示している。整合性をもつアプローチでは、ユーロ/円のロングポジションを試すべきであろう。
ゆえに、当面、クロス円がリードする形で円安トレンドが進行する公算が大きい。またそのため、主要通貨ペアにおける米ドルの軟調が継続されよう。
前回述べた英ポンド安の可能性は、「頼りにならない彼氏」こと、カーニー英中銀総裁にいったん否定されたが、英ポンドは主要通貨のうち、最初に頭打ちのサインが点灯しやすいとみる。
【参考記事】
●2017年内は英利上げなしと思った方がよい。英国発のブラックスワンを再度警戒!(2017年6月23日、陳満咲杜)
このあたりの話は、また次回詳説したい。
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