■10月24日、491407ブロックでハードフォーク実施
これから起きそうなビットコイン(BTC)のハードフォーク(分裂)は、記者の知る限り2つ。そのうち1つは、香港のマイニング企業が主導するビットコインゴールド(BTG)と呼ばれるもので、10月25日(水)にハードフォークすると宣言しているみたいだと、先日、当コーナーでお伝えしました。
【参考記事】
●70万円目前! ビットコインが大暴騰中!! 原因はビットコインゴールド誕生予定にあり!?
いよいよ明日だなぁなんて悠長に構えていましたが、どうやら前倒しされたようで…本日、日本時間10月24日(火)午前10時20分頃にハードフォークされました。
(出所: https://btcgpu.org/)
以下は、ビットコインのブロック高をリアルタイムで閲覧できるbitFlyer(ビットフライヤー)のコンテンツ、chainFlyerの画像。491407ブロックに到達したところで本家ビットコインのチェーンからハードフォークされたそうです。
(出所:ビットフライヤー)
■ビットコイン価格は60万円台前半まで下落!
こうなると、気になるのは本家ビットコインの価格ですが、10月24日(火)午後3時30分現在、ビットコインゴールドによるハードフォークを受けて、ズルズルっと下落しています(その後、徐々に戻してきたみたい)。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/円 1時間足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ビットコイン/米ドル 1時間足)
一時は、ハードフォークへの期待などを背景に、対円で70万円を超え、対米ドルで6150ドルあたりまで上昇していたビットコインですが、その後、いったん調整していました。
それが、本日のビットコインゴールドのハードフォークを受け、材料出尽くし感も手伝ってか? 一時は、対円で60万円台前半まで、対米ドルでは5600ドル台あたりまで、一気に下げたというワケ。
株トレーダーなどの間で有名なツイッターアカウント、岡三マン(@okasanman)さんは、「ビットコイン"オールド"急落 分割材料出尽くしで」なんてつぶやいていました。
「ゴールド」に引っかけて「オールド」だなんて、うまいこと言う…。
ビットコイン"オールド"急落 分割材料出尽くしで
— 岡三マン (@okasanman) 2017年10月24日
■ビットコインゴールドは付与されるのか?
それはそうと、2017年8月1日(火)に起こったビットコインキャッシュ(BCH)によるハードフォークでは、基本的に、以前からビットコインを保有していたユーザーに対して、同量のビットコインキャッシュが付与されましたよね?
【参考記事】
●ビットコインは、8/1のハードフォーク後に最高値更新! ビットコインキャッシュとは?
今回のビットコインゴールドのケースで、そのあたりのことはどうなっているのでしょうか?
ビットコインゴールドのウェブサイトにあるFAQでは、「How can I get Bitcoin Gold?」(ビットコインキャッシュを手に入れるにはどうしたらいいの?)という質問に対して、以下のとおり、ビットコインと同量のビットコインゴールドが付与されることが述べられています。
原文(一部抜粋)
All Bitcoin holders who possess BTC private keys on October 25 (block 491 407) will receive Bitcoin Gold on the rate of 1 BTC = 1 BTG (If you have 20 BTC you will receive 20 BTG).
意訳
すべてのビットコイン保有者は、10月25日(ブロック491407)でハードフォークしたら、1ビットコイン=1ビットコインゴールドでビットコインゴールドを受けとることができます。
ハードフォークの日時は、本日10月24日(火)に早まりましたが、ビットコインゴールドの生みの親としては、いずれかのタイミングで、ビットコインを持つすべての人に同量のビットコインゴールドを付与します、という姿勢みたいです。
とはいえ、ただ持っていてもダメなようで、ビットコインゴールドをもらうためには、ビットコインゴールドにも対応したウォレット(仮想通貨のお財布)を作る、または、ビットコインゴールドを付与すると宣言している仮想通貨交換所(仮想通貨取引所ともいう)に、あらかじめビットコインを預けておく必要があります。
たぶん、一般のユーザーにとって、もっとも簡単なのは、取扱いを宣言している仮想通貨交換所にビットコインを預けておくことだと思いますので、日本国内の主要仮想通貨交換所がどのような対応を発表しているのか? 少し紹介していきたいと思います。
■問題なければ、付与するとしている業者は多いが
仮想通貨交換業者に登録している業者を含め、ざっと思いつく限りを列挙しました。
【参考記事】
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(3) 徹底比較! 資本金の多い会社はどこ?
10月24日(火)午前中に、記者が各業者のウェブサイトなどで確認したビットコインゴールドの対応状況について、「付与予定」、「売買対応予定」、「預入・送金対応予定」の3項目を一覧にしています。
右端には各社がビットコインゴールドに関するお知らせを発表した最新の「告知日」を記載していますが、今後、各社から対応方法に関して新たな告知が行われる可能性もありますので、最新情報については必ず各仮想通貨交換業者のウェブサイトやSNSなどで確認するようにしてください。
仮想通貨交換業者のBTG対応予定一覧
仮想通貨 交換業者名 |
BTG付与 予定 |
BTG売買 対応予定 |
BTG預入・送金 対応予定 |
告知日 |
bitFlyer (ビットフライヤー) |
○ (問題なしと判断した場合) |
○ (11/1以降) |
○ (ブロックチェーンの状況を見ながら判断) |
10/24 |
bitbank (ビットバンク) |
○ (問題なしと判断した場合) |
未定 | 未定 | 10/19 |
GMOコイン | ○ (問題なしと判断した場合) |
未定 | 未定 | 10/21 |
Bit Trade (ビットトレード) |
○ (問題なしと判断した場合) |
未定 | 未定 | 10/19 |
BITPOINT (ビットポイント) |
○ (問題なしと判断した場合) |
未定 | 未定 | 10/24 |
BTCボックス | ○ (11/1以降) |
未定 | 未定 | 10/24 |
Zaif (ザイフ) |
× | × | × | 10/20 |
フィスコ 仮想通貨取引所 |
× | × | × | 10/21 |
QUOINE (コイン) |
× | × | × | 10/20 |
coincheck (コインチェック) |
○ (問題なしと判断した場合) |
未定 | 未定 | 10/19 |
※最新情報は、必ず各業者のウェブサイトやSNSなどで確認してください
※「仮想通貨交換業者名」には、業者名またはサービス名を記載
上の表のとおり、各業者の告知内容を見ると、まず、ビットコインゴールドを付与する予定があるところ(○)とないところ(×)に分かれることがわかります。
そして、各業者で若干、表現に温度差はあるものの、おおむね、問題ないと判断した場合、ビットコインゴールドをユーザーに付与することを表明している業者は、bitFlyer(ビットフライヤー)やbitbank(ビットバンク)をはじめ、多数派であることがわかりますね。
しかし、そのあとの売買対応や預入・送金対応については、未定である業者が多いようです。
Zaif(ザイフ)やフィスコ仮想通貨取引所にいたっては、10月19日(木)に公開された告知で、さまざまなリスクを考慮し、「現時点ではBTGの付与・入出金・取引は行わない」と表明しています。
これは、10月19日(木)時点の判断ですので、もしかしたら、今後の状況次第で取扱う可能性があるのかもしれませんが、今のところ、その予定はないようです。
■売買、預入・送金も表明しているのはビットフライヤーだけ
そんな中、唯一、付与から売買対応や預入・送金対応についても、問題がなければ対応すると表明しているのがビットフライヤー。
(出所:ビットフライヤー)
付与についても、顧客資産保護の観点から問題ないと判断してからとのことですので、実施タイミングについては、まだわかりませんが、少なくとも、ここならビットコインゴールドをもらったあとも、そのままビットフライヤーの仮想通貨取引所で売買できる可能性が高い、ということが言えます。
ビットコインゴールドが付与された場合、とりあえず持っておこうという人もいれば、早めに売却してしまいたいと考えている人もいるでしょう。状況次第ではありますが、ビットフライヤーなら、いずれの要望にも応えてくれることになりそうです。
ちなみに、売買対応予定が11月1日(水)以降となっているのは、ビットコインゴールドのブロックチェーンが正式に稼働する日が11月1日(水)からだから、ということみたい。ビットフライヤーの告知によると、10月24日(火)時点では、ビットコインゴールドはまだ開発中なんだそうです。
詳しいしくみはよくわかりませんが、何かしらの部分がまだ開発中なのにハードフォークしちゃうんですね。これにはちょっと驚きました…。やれるものなのね…。
ビットフライヤーでは、こうした状況を考慮して、ビットコインゴールドのブロックチェーンの稼働を確認し、分岐が恒久的であり、かつ、先ほどもお伝えしたとおり、顧客資産の保護に問題がないと判断してから、付与や売買の対応を行うとのこと。
具体的な対応時期や判断については、ビットフライヤーから発表されるまで、少し待っている必要がありそうです。
ビットコインゴールドは、すでにハードフォークを迎えてしまったので、今から…というワケにはいきませんが、今回の件を通して、ビットフライヤーは、ハードフォークによって誕生する新たなアルトコインについても、比較的、積極的に門戸を開いているのかな、という印象を受けました。
今回のハードフォークについても、ビットフライヤーでは、どんな問題や懸念があるのか? こんな場合やあんな場合はどうするのか? など、関連情報の告知をとても詳しく行ってくれていますので、対応には安心感を持てる印象です。
これから仮想通貨取引をしようと考えている人は、この機会に、一度チェックしてみてはいかがでしょうか?
■ビットコインの受入れなどを停止する業者は少なかった
なお、8月1日(火)のビットコインキャッシュによるハードフォークの際は、ハードフォークが実施される前後でビットコインの受入れや引出しを一時停止する旨を告知する業者が多かったと記憶していますが、今回は、GMOコイン(※)やQUOINE(コイン)などを除くと、そういう対応をとる業者は、あまり見当たらなかったように思います。
(※GMOコインのビットコイン受入れ・引出し停止は、10月24日(火)午前9時から13時まで実施され、17時現在は再開しているようです)
ビットコインキャッシュの時と何が違うのか…よくわかりませんが、とりあえず、前回の時よりも、各仮想通貨交換業者もユーザーも、あとメディアも、落ち着いて対応できているようには感じます。
騒ぎまくって情報が錯綜し、何が真実だかわからなくなってしまいそうだった前回(8月1日)に比べると、なんだか全体的に、大人になった印象。この表現が適切かどうかは、わかりませんが…。
認定自主規制団体有力候補(?) の日本仮想通貨事業者協会(JCBA)のウェブサイトには、特にこれといって、ビットコインゴールドのハードフォークに関する告知はありませんでした。
今回も前回同様、基本的には各社の対応に任せるというスタンスなんでしょうか。たしか前回は、ビットコインの受入れや引出しの一時停止措置を会員各業者に要請していたようでしたが、今回はなかったのかも?
もしかしたら、これから何かしらの情報が発表されるかもしれませんので、念のため同協会のウェブサイトについても、各仮想通貨交換業者のウェブサイトと併せて、チェックしておきたいところです。
【参考記事】
●ビットコインがマネパカードにチャージ可能へ!? 認定自主規制団体の件って決着ついたの?
(出所:日本仮想通貨事業者協会)
■11月にもビットコインのハードフォークがありそう
さて、当記事では、前倒しで実施されたビットコインゴールドのハードフォークに関する情報をお届けしてきましたが、現在、来月11月にもビットコインのハードフォークが実施される可能性が高いと言われています。
【参考記事】
●70万円目前! ビットコインが大暴騰中!! 原因はビットコインゴールド誕生予定にあり!?
そうなると、また新しいアルトコインが誕生するワケで、今回と同じように付与されるのか? とか、売買や送金の対応をしている業者はどこだ? といったことで右往左往する可能性もあります…。
ザイFX!でも引き続き、ビットコインのハードフォークなどに関して何が動きがあれば、随時情報をお届けしていきたいと思いますが、すでにビットコインを取引中のみなさんについては、取引している仮想通貨交換所からの情報などをこまめにチェックし、見逃すことがないよう、注意してくださいね。
(ザイFX!編集部・向井友代)
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