(「【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(9) ビットコインの値動きの要因は何だろう?」からつづく)
■ビットコイン取引で得た利益の税金は?
「【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(8)ビットコインはどうやって手に入れるの?」で、ビットコインへの投資は、現物取引、FX、信用取引、先物取引、積み立てなど、いろいろな方法があるということをお伝えしましたが、ビットコインへの投資で得た利益に対しては、どのように課税がなされるのでしょうか?
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2017年9月に国税庁から「ビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。(中略)原則として、雑所得に区分されます」とのお達しがありました。
雑所得は原則として、給与所得などのほかの所得と合算し、総所得金額に応じて所得税を納めることになります。いわゆる「総合課税制度(※)」の対象になる、ということですね。そして、ビットコインへの投資で得た利益も総合課税制度の対象となります。
(※総合課税制度における所得税の税率は、所得金額ごとに5%~45%の7段階設けられている)
え? 一律20%(※)じゃないの?とFXやCFD、日経225先物などで確定申告をしたことがある方は思われるかもしれません。そう、FXやCFD、日経225先物の取引で生じた損益は、「申告分離課税制度」の対象となり、他の所得金額と合計せずに一律で20%の課税(所得税と住民税の合計)がなされますよね?
(※平成25年から平成49年の期間は2.1%の復興特別所得税が加算されるため、所得税・住民税合計で20.315%となる)
しかし、ビットコインへの投資で得た利益は、たとえそれが「ビットコインのFX」や「ビットコインの先物取引」によって得た利益であっても総合課税制度の対象となります。
なお、ビットコインのまま持っていて含み益が拡大しているだけなら、まだ課税対象にはなりません。売却して円に換え、確定利益となった場合は課税されます。また、ビットコインで買い物をした場合も、ビットコインの取得価格と購入した商品価格の差額分が「利益」とみなされ、課税対象になります。
■「ビットコインで儲かる!」的な詐欺話に注意!
このほか、ビットコインの話題性につけこんで、詐欺っぽい話がちょくちょくありますので、十分にお気をつけください!
たとえば、ICO(Inicial Coin Offering)にまつわる詐欺も散見されているようです。IPO(Inicial Public Offering・新規公開株)の仮想通貨版とも言えるICO。IPO関連の詐欺は、国内でも「未公開株詐欺事件」として過去にニュースになったこともありますよね? 仮想通貨でも似たような(?)詐欺が起こっているようなんです。
また、ICOに限らず、高利回りを謳って仮想通貨への出資を募る怪しげな団体があるなんていうことも聞きますが…。いくら右肩上がりの仮想通貨といえども「絶対」はありませんし、異常な儲け話は、怪しいと思ってまず間違いないでしょう。
【参考記事】
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国民生活センターなどでも、「『必ず儲かる』という言葉は信じないで!」などといった言葉で、たびたび仮想通貨の購入トラブルに関して注意を促しています。十分気をつけるようにしてくださいね。

■不正アクセスによるビットコイン盗難は国内でも起こっている
詐欺話だけでなく、サイバー犯罪に対しても警戒が必要です。国内でも多発していると言われるのは、不正アクセスによるビットコインの盗難。
オンライン上にあるビットコイン取引所の口座に不正アクセスし、そこに預けられているビットコインなどの仮想通貨を外部に送付することで奪い取ってしまうという盗難事件です。
「【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(7)ビットコインアドレスはなぜ匿名性が高い?」でも紹介したように、ビットコインアドレスは非常に匿名性が高く、個人を特定することは、通常ほぼ不可能です。ですから、知らないアドレスに勝手に送付されてしまうと、取り戻すことができないと思った方がいいです。
もちろん、取引所を運営する仮想通貨交換業者も不正アクセスに対する対策を講じています。たとえば「二段階認証」などは、その1つ。
二段階認証では、仮想通貨交換業者の口座にログインする際、ログインIDとパスワードに加えて、ワンタイムパスワード形式の確認コード(セキュリティコード)が必要になります。そして、これがログインや取引の際などに利用できるようになっているのです。
仮想通貨交換業者に限らず、AmazonやGoogleなどへのログインにも二段階認証の設定が可能となっていますし、セキュリティ対策として一般的になってきていますよね。
2回パスワードを入力するのは、手間ではありますが、最低限のセキュリティ対策として二段階認証はきちんと設定しておいた方が良さそうです。ちなみに、bitFlyer(ビットフライヤー)などは、仮想通貨を外部へ送付する際は、二段階認証が必須になっています。
■高額のビットコインはオフラインで保管しているケースも
二段階認証を設定しておけば、未設定より安全性はかなり向上しますが、それでもインターネットにつながっている限り、100%安全とは言い切れません。仮想通貨取引所全体がサイバー攻撃に見舞われたり、個人のパソコンが乗っ取られたりすることも考えられるからです。
結局、オンライン上にある取引所の口座やウォレット(「ホットウォレット」とも呼ばれる)にあるビットコインは、大なり小なり盗難のリスクにさらされていることになります。
こうしたリスクを回避するため、保有するビットコインが大量な場合は、取引所の口座やインターネットにつながったウォレットではなく、インターネットから切り離すことができるUSB型のウォレットや、QRコード化して紙に印刷しておくことができるペーパーウォレット(「コールドウォレット」とも呼ばれる)など、オフラインのウォレットに移して保管しているという話も聞きます。
とはいえ、オフラインでも火災や盗難、紛失といった一般的なリスクはありますが…そのあたりは、ビットコインに限ったことではありませんよね。
ついつい激しい値動きにばかり目が行きそうになりますが、ビットコインを取引する際は、こうしたセキュリティ上のリスクにも備えなければならないということを認識した上で、始めるようにしたいですね。
というわけで、ここまで全10回にわたって、ビットコイン、これだけわかれば次の一歩を踏み出せる!という内容を紹介してきました。興味を持たれた方は、ぜひ、今後とも当コーナー「やさしいビットコイン・仮想通貨研究所」で、ビットコイン情報をチェックしてみてくださいね!
【参考コンテンツ】
●ビットコイン・仮想通貨の取引所/販売所を比較。取引コストが安いのはどこ?
(ザイFX!編集部・上岡由布子)
【目次】 【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門
■【第1回】 そもそも、ビットコインとは何なんですか?
■【第2回】 「電子マネー」と「仮想通貨」の違いとは?
■【第3回】 円などの「法定通貨」と「仮想通貨」の違い
■【第4回】 ブロックチェーンって結局、何なの!?
■【第5回】 マイニングとはいったい何をしているのか?
■【第6回】 マウントゴックス事件はどんな事件だった?
■【第7回】 ビットコインアドレスはなぜ匿名性が高い?
■【第8回】 ビットコインはどうやって手に入れるの?
■【第9回】 ビットコインの値動きの要因は何だろう?
■【第10回】 利益に税金はかかる? 詐欺や盗難に注意
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