■年度末、月末、週末が重なり今週は調整が続く
みなさん、こんにちは。
今週(3月26日~)は、年度末、月末、週末が重なり、ファンダメンタルズやテクニカル分析とは別に、月末の特殊フローでマーケットが乱高下しやすい環境。
今月(3月)のリバランスは、総じて米ドル買いのようで、対円のみならず、対ユーロでも米ドル高が進行。28日(水)のNY市場での米ドル/円は、一時107.01円まで反発しました。

(出所:Bloomberg)

(出所:Bloomberg)
米ドル/円は、104.50円のバリアオプションを崩せなかったことに加え、期末要因の米ドル買い需要も加わり、いったん調整局面入り。
ただ、米国に目を向けると、リスクオフに転じるような要因が増えています。
■Facebookに続き、Amazonも急落…
前回のコラムでご紹介させていただいたケンブリッジ・アナリティカ騒動をきっかけにしたFacebook株の下落は、収まらずに続落。
【参考記事】
●Facebook株急落で市場に不透明感…。株安・円高継続で、ドル/円は100円の過程(3月22日、西原宏一)

(出所:Bloomberg)
さらには、トランプ大統領がAmazonに対し、既存のビジネスを破壊していると指摘。
そして、課税強化の対象にする、もしくは独占禁止法を使った取り締まりを検討しているとの報道で、Amazon株は、大きく値を下げています(ホワイトハウスは、この報道を否定)。

(出所:Bloomberg)
結果、28日(水)のナスダック総合指数は、節目の7000ポイントを割り込んで、6949ポイントでクローズしました。

(出所:Bloomberg)
米国経済を牽引してきたFANG系(※)の下落が、ナスダック総合指数を押し下げる展開です。
(※編集部注:「FANG」とは、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルの頭文字。アップルを加えて「FAANG」とする場合もある。いずれも読み方は「ファング」)
連れて、NYダウも軟調な展開。

(出所:Bloomberg)
このハイテク株の動向が、米国株全体を押し下げ、下値余地を拡大させているので要注意です。
■米韓FTA交渉は円高圧力になる?
このほか、日経新聞などで報道されているわりに、あまりマーケット関係者の間で話題になっていないのですが、トレーダーの注目を集めているのが、米韓のFTA(自由貿易協定)の報道。
米、対韓FTA押し切る 再交渉妥結で「成果」 米軍撤収もカード
トランプ米政権は27日、韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権との自由貿易協定(FTA)再交渉が妥結したと正式発表した。交渉開始から3カ月のスピード合意は、韓国のウォン安誘導を禁じる為替条項を盛る異例の決着となった。
米政権は在韓米軍の撤収すらちらつかせ、2国間取引の成果を威圧外交でもぎ取る姿勢を鮮明にした。
出所:日経新聞
注目は、この合意の中で、「為替条項」が導入されていること(具体的には、両国が競争的な通貨切り下げを禁止していること)。
この為替条項は、付帯協定(強制力はもたない)になっているようですが、日本も同じような約束を要求され、円高圧力になるのではないかと懸念されています。
これに対して、野村証券の池田雄之輔・チーフ為替ストラテジストは、下記のように否定しています。
日常的に為替介入を行っている韓国と日本ではまったく事情が異なるとリポートで指摘。
米政権からドル買い・円売り介入の許可を取り付けるのは不可能という状況はすでに生じている。
日米首脳間でお互い金融政策には口出ししないとの原則が崩れない限り、為替条項が円高リスクとの理屈成立しないだろう。
出所:Bloomberg
ただ、日銀の金融緩和が為替誘導であると指摘される可能性は残るため、少なくとも円高圧力はかかるのではないでしょうか?
前述のように、今週(3月26日~)は、年度末、月末、週末が重なり、ファンダメンタルズやテクニカルとは別に、月末の特殊フローでマーケットが乱高下しやすい環境。
来月(4月)も、新年度入りでニューマネーがマーケットに投入される期待があるため、月末月初は、米ドル/円も反発局面があると想定しています。
【参考記事】
●パウエル議長が話すと株下落の法則発動!? 株のチャート形状悪化! 米ドル/円は…?(3月26日、西原宏一&大橋ひろこ)
ただ、米ハイテク株の反落やトランプ政権の通商政策といったように、米ドル/円の上値を抑える要因が消えたわけではありません。
特に、中間選挙に向けてトランプ政権が通商政策を推し進める限り、円高圧力は継続するとみています。

(出所:Bloomberg)
引き続き、トランプ政権の政策と米ドル/円の行方に注目です。
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