■仮想通貨に関する消費者相談件数は3倍に!
仮想通貨に関する消費者相談件数が、増加傾向にあるようです。
国民生活センターの発表によると、仮想通貨に関する年度別の消費者相談件数は、2014年度が186件、2015年度が440件、2016年度が847件、2017年度が2666件と、右肩上がりに増加。
特に、2016年度から2017年度の相談件数の増加率は大きく、およそ3倍に膨れ上がっています。
(出所:国民生活センター「仮想通貨に関する様々なトラブルにご注意」)
※2018年3月31日までのPIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)登録分
トラブルといえば2018年1月に起こったCoincheck(コインチェック)による、仮想通貨NEM(ネム)の巨額流出事件が記憶に新しいですが、もちろん、それだけではない…ということですね。
NEM流出事件直後、2018年1月に実施されたコインチェックの記者会見の様子。左が和田晃一良社長(当時)、右が大塚雄介取締役(当時)。一般メディアでも大々的に報じられ、世論を巻き込む大騒ぎとなった (C)Kyodo News/Getty Images
【参考記事】
●コインチェック事件は全額返金で一転解決!? 消えた580億円分の仮想通貨NEMどうなる?
●コインチェックでNEMの補償に伴う日本円返金。総額466億円! 一部サービス再開も
●コインチェックはマネックスの子会社へ! 買収金額は36億円。意外と少ない理由とは?
2017年は、仮想通貨元年とも言われ、広く一般に仮想通貨の存在が知られるようになった年。
BTC(ビットコイン)を始め、いくつかの仮想通貨が1年を通して異次元の暴騰を続け、大手仮想通貨交換業者が有名タレントを使ったテレビCMをガンガン流すなか、仮想通貨ブームとも呼べる現象が巻き起こりました。
相談件数の3倍増という事実は、ユーザーの裾野が広がり、世間の注目度が高まれば、いろいろとトラブルも増えてくる…ということを表しているのかもしれません。
【参考記事】
●ザイFX!で2017年を振り返ろう!(6) 暴君ビットコイン、天を衝く上昇相場を演出!
■仮想通貨絡みの相談から詐欺っぽい投資話まで
ここで、国民生活センターがウェブサイトで公表している相談事例、8例を確認してみましょう。
以下のとおり、【実態不明な投資話に関する相談事例】に挙がっている詐欺っぽい投資話のほか、【仮想通貨交換業者に関する相談事例】に挙がっている仮想通貨交換業者が提供するサービスの利用などに伴う相談まで、内容はさまざまです。
【実態不明な投資話に関する相談事例】
・ 事例1:仮想通貨に関連付けた投資
・ 事例2:仮想通貨のマイニングへの投資
・ 事例3:ICOへの投資
・ 事例4:仮想通貨自動売買システムの劇場型勧誘
【仮想通貨交換業者に関する相談事例】
・ 事例5:不正アクセスによる仮想通貨の消失
・ 事例6:他人のウォレットへの誤入金
・ 事例7:仮想通貨の誤送金
・ 事例8:事業者の問い合わせ対応
たとえば、【実態不明な投資話に関する相談事例】に挙がっているような詐欺っぽい投資話については、以前から国民生活センターなどが注意喚起を行っていました。
ザイFX!でも、消費者トラブルに詳しい弁護士さんへの取材などをとおして、関連する記事を公開したことがあります。
知人や友人を介して儲け話を聞かされる、あるいは、セミナーへの参加を促されるというケースもあるようなので、うっかり信じないよう、注意が必要です。くれぐれも、安易な儲け話には乗らないように!
当たり前ですが、絶対に儲かる投資なんてありません。
【参考記事】
●ソレ詐欺かも…仮想通貨絡みの相談急増! 「1日1%の配当」など甘い言葉にご注意を
●相場過熱と共に増える仮想通貨トラブル。その法律上の問題点を弁護士に聞いた!
■初心者層が増えたことで業者利用に関するトラブルも増加か
【仮想通貨交換業者に関する相談事例】に挙がっているものについては、仮想通貨取引を行うユーザーの増加に伴って、ここ最近増えてきた相談事例なのではないでしょうか。
過去に出された国民生活センターからの注意喚起にも、こういう類の相談事例はなかったと記憶しています。
いずれも詳細な相談内容はわかりませんが、たとえば、「事例6:他人のウォレットへの誤入金」や「事例7:仮想通貨の誤送金」などは、仮想通貨の送付という手続きの間違いに関する相談です。
仮想通貨の送付は、巻き戻しが効かないので注意深く行う必要があるのですが、それをわかっておらず、仮想通貨で銀行の「組み戻し」みたいなことができると思っているユーザーがいるものと推測されます。
あくまで記者の想像ですが、このような知識不足の人が「間違って送付したから返してほしいって言ってるのに、返してくれない」みたいな相談をしていても、おかしくないと思うワケです。
ブームに伴って、仮想通貨取引を行うユーザーの裾野が一気に広がったのは事実でしょうが、そうであれば、サービスを提供する仮想通貨交換業者には、ぜひ、さらに、初心者向けのサポートに力を入れ、トラブルを未然に防ぐ施策に注力してもらいたいところ。
もちろん、ユーザー側としても、リスクやルールをきちん理解したうえで、仮想通貨取引に臨む必要があるでしょう。
先ほどの詐欺っぽい投資話とは、次元が異なる話だとは思いますが、いずれにしても、よくわからないまま安易に取引し、トラブルや思わぬ損失を抱える…という最悪の事態を招かないよう、用心するに越したことはありません。
■まずは、金融庁登録業者かどうかの確認を
さて、国民生活センターでは、消費者相談の増加を受けて、以下のとおり、「消費者へのアドバイス」を3項目挙げています。
【消費者へのアドバイス】
・ 仮想通貨に関連づけた投資の実態や内容に不安がある場合は、取引をしないでください
・ 登録業者であることを確認し、リスクを理解した上で可能な対策をとりましょう
・ 少しでも不安を感じたら、すぐにお近くの消費生活センター等に相談してください
1つ目のアドバイスについては、要は、詐欺的な投資話には、気をつけてくださいということではないでしょうか。先ほどもお伝えしましたが、決して、安易な儲け話には乗らないよう、注意してください。
続いて、2つ目のアドバイスに挙がっている登録業者の確認方法について、少し補足しておきます。
実は、これ、金融庁のウェブサイトで、誰でも一覧で確認できるようになっています。
※「トップページ」→「金融機関情報」→「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」の「金融会社」にある「仮想通貨交換業者」で確認できる
上述のとおり、「トップページ」→「金融機関情報」→「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」から、金融庁登録の仮想通貨交換業者かどうかを確認することが可能です。
登録申請中の「みなし業者」が営業しているケースもありますが、より慎重に考えるなら、みなし業者の利用は避けて、登録済みの業者で取引する方が無難でしょう。もちろん、登録業者でもなく、登録申請中でもないのに、勝手に営業している業者なんて論外です。
とはいえ、登録業者であっても資本金が極端に少ない業者などがあることも事実ですので、いったい何を基準に業者の信頼性をはかればよいのかは難しいところなのですが…。
若干、古い情報は含みますが、以前、信頼できる仮想通貨交換業者の選び方という観点からザイFX!が作成した記事がありますので、興味がある人は、こちらの記事も参考に。
【参考記事】
●資本金わずか1000万円。金融庁登録がある仮想通貨交換業者は100%安全なのか?
最後に、3つ目の消費生活センターについてですが、これは各都道府県に設置されており、区役所や市役所などの公の施設などにあることが多いです。
国民生活センターのウェブサイトでも全国の消費生活センター所在地を調べることができますので、もしもの時は、1人で抱え込まず、相談するようにしてくださいね。
※「トップページ」→「通報/相談窓口・紛争解決」→「全国の消費生活センター等」の「都道府県別一覧」で居住地域から検索できる
改正資金決済法が施行され、業者も登録制になったとはいえ、まだまだ未整備な部分が多い仮想通貨業界。金融庁認定の自主規制団体を目指す協会もようやく発足し、これから細かなルールが決まっていくところです。
【参考記事】
●マネパとビットフライヤーが手を組んだ! 理事には財界のドンSBI北尾氏が自ら降臨!?
全体のルール作りが、まだまだ未成熟な状態ですから、なおさら、株やFXといった一般的な金融商品を取引する感覚で、右も左もわからないまま安易に利用するのは、おすすめできません(もちろん、株やFXだって、投資である以上、安易な取引はおすすめしませんが…)。
繰り返しになりますが、怪しげな投資話に引っかからないように気を付けるのはもちろん、金融庁登録の業者を利用する場合でも、ルールやしくみ、リスク、取引システムの使い方など、自分でしっかりと理解したうえで、取引を始めるようにしてください。
(ザイFX!編集部・向井友代)
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