■ブレグジットの膠着打開は近い?
このところ、為替マーケット全体に膠着状況を作り出しているのが、混迷を極めるブレグジットの行方。
そのブレグジットに関して今週(4月1日~)、ゴールドマン・サックスが膠着打開は近いというレポートを出している模様。
ポンドに妙味、膠着打開近い
ゴールドマンの外国為替・新興国市場戦略グローバル共同責任者のザック・パンドル氏は、メイ英首相がまとめた離脱案の代案について支持動向を探る下院の投票で、いずれも反対が賛成を上回ったことを受け、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じ、「大詰めの段階に差し掛かりつつある。これらの投票で支持が得られなかったとしても、進展しつつあると思う」と述べた。
出所:Bloomberg
過去2回の示唆的投票(indicative vote)において、もっとも支持を得ていたのがカスタムユニオン(customs union)、つまり、関税同盟に残留すること。これを前提に、EU(欧州連合)と一から交渉をやり直すという案が支持を集めています。
上記のパンドル氏の分析によれば、「再国民投票とパッケージ化された恒久的な関税同盟残留を含むと考えられるソフトな離脱アプローチについて、一両日中にめどが立つこともあり得る」と予想しているようです。
■メイ首相が労働党党首へ協力要請! 英ポンドは上値余地アリ
繰り返しになりますが、為替相場を長らく膠着状態に陥らせているのが、ブレグジットの行方。
その行方が、パンドル氏の分析のように一両日にメドが立つのであれば、市場関係者にとって朗報なのですが、このレポートの後、メイ英首相に動きがありました。
メイ英首相は7時間に及んだ閣議の末、危機打開のためEUの離脱期限を4月12日(金)から、さらに遅らせる必要があるだろうとコメント。
さらには秩序だった離脱のため、労働党のコービン党首との協議を提案し、同党首と協力したいと表明。
メイ英首相の労働党党首への協力要請は、場合によってEUとの関税同盟にとどまるような首相案より、かなりソフトなEU離脱の可能性を高めます。
これは、メイ英首相にとって交渉のレッドラインを大きく踏み越えることを意味しますが、産業界にとっては朗報。
コービン労働党党首はメイ英首相の申し出を歓迎し、「非常に喜んで」 会うと発言したほか、EUサイドの最初の反応も前向きなものであったようです。
これを受け、英ポンド/米ドルは1.31ドル台後半まで反発。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)
本稿執筆時点では、メイ英首相と労働党のコービン党首が行った会談について、両者はともに「建設的」だったと明らかにしています。
ただ、ユンケル欧州委員長は、英国が5月22日(水)までの離脱延長を勝ち取るには同議会が4月12日(金)までに離脱協定を承認する必要があるとコメントしている模様。
加えて、コービン党首は「隠れ離脱派」であるため、彼がどこかで期待を裏切るのではないかという懸念も残ります。
しかし、これでノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)だけは避けられる可能性が高まったということで事態は好転し、英ポンドの上値余地は拡大しています。
(出所:Bloomberg)
超えるべきハードルはまだ高いのですが、膠着打破が期待されるブレグジットの行方と英ポンドの動向に注目です。
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)