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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

お盆の円高リスク警戒! 日経平均2万円、
米ドル/円105円が防衛ラインになるか…!?

2019年08月12日(月)16:03公開 (2019年08月12日(月)16:03更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■お盆の円高リスクに要注意!

今週(8月12日~)はお盆。流動性の薄くなる時期で、円高リスクを警戒する声も多いですね。

クリスマスやゴールデンウィークなども流動性が低下しますが、個人的に円高リスクが高まるイメージが強いのはお盆


米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が落ちると急な動きになることが多いので要注意ですね。警戒したいのは8月15日(木)です。

米国債の償還が集中すると言われる日ですね。現在は8月に集中することもなくなり、実際にはそれほどの金額ではないとも言われますが、意識されやすいのでしょうか。

アノマリーとして意識する人が多いため、仕掛けに利用されることがあるのでしょう。

■トランプ大統領「1%の利下げを望む」

週末にはトランプ米大統領から「1%かそれを少し超える利下げを望んでいる」との発言が出ました。


現職の大統領が金融政策について、しかも具体的な水準にまで言及するとは驚きですし、ナバロ米大統領補佐まで「年末までに0.75%か1%の利下げを」と発言しています。

トランプ大統領は、1%かそれを少し超える利下げを望んでいると発言。現職の大統領が金融政策について、具体的な水準にまで言及するのは驚きだという  (C) Chip Somodevilla/Getty Images News

トランプ大統領は、1%かそれを少し超える利下げを望んでいると発言。現職の大統領が金融政策について、具体的な水準にまで言及するのは驚きだという  (C) Chip Somodevilla/Getty Images News

トランプは以前から米ドル高を批判していましたから、「またか」という感じですね。

一方で、トランプさんは米ドル安誘導については「その必要はない」と発言しています。


市場関係者の間で米ドル売り介入がささやかれていますが、利下げしたとはいえアメリカは相対的に高金利。介入があるとしても、利下げが終わってから、でしょうね。

そうなのでしょうし、介入を考えているとしても「やる!」とは言わないでしょうからね。

■NZのサプライズ利下げ。日銀も9月に追加緩和?

先週(8月5日~)はニュージーランドの中央銀行が利下げしました。25bp(0.25%)利下げのコンセンサスに対して、発表されたのは50bp(0.5%)の利下げ


これで豪ドルと同水準に並んだことになります。25bpの利下げでは豪ドルよりも高金利で買われやすくなってしまう、通貨安誘導のためには豪ドルと同水準まで引き下げよう、ということでしょうか。

【参考記事】
NZ中銀が0.50%大幅利下げのサプライズ! ドル/円は中期的に100円への流れ変わらず(8月8日、西原宏一)

NZと豪州の政策金利の推移

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!が作成)

RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])のオア総裁は、EU(欧州連合)や日本のマイナス金利を引き合いに「われわれがマイナス金利を使わざるを得なくなる可能性は間違いなくあり得る」とも発言しています。


政策金利がまだ1%の段階でマイナス金利に言及することは異常。それだけ通貨高(NZドル高)に対する危機感が強いのでしょう。

そのわりにNZドルは落ちませんね。

英ポンド下落の影響だと考えています。英ポンドクロス(英ポンドと米ドル以外の通貨との通貨ペア)全般が売られているため、対英ポンドでNZドルが買われ、NZドルの下落が緩慢になっているのでしょう。

英ポンド/NZドル 1時間足
英ポンド/NZドル 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/NZドル 1時間足

NZドル/円 1時間足
NZドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 1時間足

それにしても、マイナス金利にまで踏み込んで強い姿勢を示したオア総裁の発言は正しいですよね。


パウエルさんもFOMC(米連邦公開市場委員会)後に「(今回の利下げは」緩和サイクルの開始を意味しない」なんて言わず、オア総裁くらいの強い意思を示していれば株価が落ちなかったのかもしれません。


通貨安競争が拡大する中、日銀も9月に追加緩和を行なうのでは?との観測記事がブルームバーグに掲載されましたね。

■防衛ラインは「日経平均2万円、米ドル/円105円」

追加緩和で多少は円安に向かうかもしれませんが、今の米ドル/円は米10年債利回りとの相関性が強い

米ドル/円&米長期金利(10年物国債利回り) 日足
米ドル/円&米長期金利(10年物国債利回り) 日足

(出所:Bloombergのデータを基にザイFX!編集部が作成)

金利先物市場が1年後、1.25%程度までの利下げを織り込んでいる以上、米ドル/円の上値は重たいのでしょう。


ただ、105.50円の水準では政府・日銀の意向を受けたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの「忖度買い」が入っているようです。


「日経平均2万円・米ドル/円105円」が防衛ラインではないでしょうか。

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

日経平均の2万円割れレベルはPBR(株価純資産倍率)1倍水準でもありますから、自然にサポートされやすい水準でもありますね。

昨年(2018年)12月の世界同時株安でも、日経平均はPBR1倍水準で下げ止まりました。今回も意識はされるのでしょうが、2万円割れは時間の問題ではないでしょうか

日経平均がPBR1倍を割り込んで推移していた時期もありますからね。

■英ポンドの構図は「投機筋vs日本の個人」

 「株安・債券高・ビットコイン高・米ドル高・円高」のリスクオフ環境はまだ続くのでしょう。


そうなると動きやすいのはクロス円。とくに「ノーディール・ブレグジット、利下げ・財政出動」と3つの材料がそろいそうな英ポンドの下落余地は大きいと思います。

【参考記事】
ボリス・ジョンソン英首相の「合意なき離脱」発言続く…。ポンド/円は中期的に120円へ(8月1日、西原宏一)

IMM(国際通貨先物市場)の通貨先物ポジションでは、投機筋の英ポンド売りが空前の規模に積み上がっています


店頭FX会社やくりっく365のポジションを見ると、買い向かっているのは日本の個人投資家。構図は「世界の投機筋vs日本の個人投資家」ですね。

 

シカゴIMM通貨先物ポジションの推移(英ポンド/米ドル)
シカゴIMM通貨先物ポジションの推移(英ポンド/米ドル)

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

この2年ほど、為替市場では低ボラティリティ、レンジ相場が続きました。


レンジ相場では逆張りが有効ですから、急落する英ポンドを買いたくなる気持ちはわかります。ただ、この1カ月で見ると最強通貨は円、最弱通貨は英ポンド


つまり、英ポンド/円のショートがもっとも効率的でした。英ポンドは先週(8月5日~)来、年初来安値を更新中です。3つの材料がそろえば、1年で50円落ちた「2016年の再来」となる可能性もある。過去2年とは相場が変わっている可能性が高く、安易な逆張りは危ういですね。

英ポンド/円 週足
英ポンド/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足

英ポンド/円のターゲットはどのくらいですか?

短期的には125円、中期的には121円方向だと考えています。英ポンド/円については売りを継続です。


米ドル/円はいったん105円付近でサポートされやすいでしょうが、上値は107円程度でしょう。105円手前でいったん利食いを入れ、戻りを再び売っていきたいと思います。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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