■ボリス・ジョンソン首相は総選挙で勝てるのか?
現在、ボリス・ジョンソン首相は、総選挙で勝利し、議会審議の行き詰まりの打開を目指しています。
では、ジョンソン首相は、総選挙で本当に勝てるのか?
世論調査会社YouGovの調査によれば、ジョンソン首相が率いる保守党の現在の支持率は37%で、労働党の22%を上回っており、総選挙で勝利する可能性が高いというのがマーケットのコンセンサスのようです。
【参考記事】
●【ブレグジット】12月12日に英総選挙。2020年1月の離脱がメインシナリオに
※最新データ調査日は2019年10月24日~25日
(出所:YouGov)
■12月12日総選挙実施の法案は、なぜ通った?
ではここで、今回、12月12日(木)に総選挙を実施する法案が、なぜ通ったのかを確認してみます。
これは、労働党のジェレミー・コービン党首が、これまでの姿勢を一転させ、10月29日(火)の下院での採決で、「労働党は総選挙実施を支持する」と述べたことが要因となっています。
では、なぜ労働党は、一転して支持に回ったのか?
もともと、総選挙はフランスが3度目の延期を3カ月確保するのに要求した条件だったこと。そして、コービン党首も、「合意なき離脱を避けられれば、総選挙を必ず支持する」と言っていたためです。
ただ、これで、労働党にとっては不利な状況で総選挙をする、という方向に追い込まれたことになります。
視点を変えれば、これまでジョンソン首相が行ってきた事柄は極めて高度な政治力によるものであり、その政治力によって労働党は、じわじわと追い込まれたともいえます。
こうしたことから、ジョンソン首相は、就任当初の「ただ暴言を吐くだけの首相」というイメージから、随分、印象が改善しているようです。
【参考記事】
●英ポンド大混乱か。合意なき離脱の高まりがEU離脱取り止めの可能性を高める!?(8月22日、西原宏一)
就任当初の「ただ暴言を吐くだけの首相」というイメージからは、随分、印象が改善したと言われるジョンソン首相(左)。写真は首相就任時、首相官邸に到着したときのもの (C)WPA Pool/Getty Images News
とはいえ、2016年の国民投票では「ブレグジット」というまさかの結果となったことも記憶に新しいため、今回もジョンソン首相が必ず勝てるとは限りません。
しかし、前述のように、現時点では、2020年1月末までという新しい離脱期限までに英国はEUを離脱するという公算が高まっています。
■英ポンド/米ドルは1.40ドル台を目指す過程に
10月末までのブレグジット、というジョンソン首相の公約は果たされなかったことから、当面、1.30ドル台を固めるのに時間はかかるのでしょうが、来年(2020年)早々のブレグジットの可能性はさらに高まったため、英ポンド/米ドルの上値余地は拡大したまま。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足)
前回のコラムのとおり、合意ある離脱の実現なら、英ポンド/米ドルは1.40ドル台へと反発するという意見も出てきており、先週(10月21日~)に引き続き、新たな局面に入ったブレグジットと英ポンド/米ドルの行方に注目です。
【参考記事】
●合意なきEU離脱と英ポンド暴落懸念は、ほぼ消滅か。ブレグジットは新局面へ…(10月24日、西原宏一)
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