■トルコ政府はロックダウンをほぼ解除
トルコ政府は今週(6月1日~)から、国内旅行とほとんどのビジネスについてのロックダウン(都市封鎖)を解除しました。
6月2日(火)時点のトルコの新型コロナウイルス感染者は16万5555人で、死者の数は4585人です。
(出所:Worldometerのデータを基にザイFX!編集部にて作成)
(出所:Worldometerのデータを基にザイFX!編集部にて作成)
感染者増加の勢いが止まり、一時、世界で7位まで上昇していた感染者の数は10位まで下がりました。
【参考記事】
●原油価格暴落で逆オイルショックに!! トルコリラは対米ドル・対円で下落継続へ(4月22日、エミン・ユルマズ)
(出所:Worldometerのデータを基にザイFX!編集部にて作成)
トルコ政府は今週(6月1日~)から、ジムを含むスポーツ施設、レストラン、カフェ、オープンなコンサート会場、博物館、ビーチの営業を認めていますが、学校の閉鎖は継続しています。
また、18歳以下と65歳以上の住民に関しては、引き続き、外出が禁止されています。
【参考記事】
●新型コロナによる市場のパニックは一服? トルコリラ相場は6-7月の感染収束がカギ(4月8日、エミン・ユルマズ)
■トルコ政府の楽観シナリオの根拠に観光業の復活
トルコにとって重要なのは、夏の観光がどこまで回復するかです。
米格付け会社のフィッチは、今年(2020年)のトルコ経済は3%縮小すると予想しています。同じく格付け会社のムーディーズとIMF(国際通貨基金)は、5%縮小すると予想している状況です。
一方で、トルコ政府は経済がプラス成長になると主張しています。
このようなトルコ政府の楽観シナリオの根拠には、観光業の復活があります。トルコに訪れる観光客がもっとも多い欧州では、旅行規制が解かれている国が多くなりました。
新型コロナウイルス感染のリスクはなくなっていないので、世界の観光業が一気に復活するとは考えにくいですが、徐々に回復していくと予想されています。
■観光業の復活を望む理由はイスタンブール空港
トルコ政府にとって、観光がいち早く復活してほしい大きな理由のひとつは、建設されたばかりのイスタンブール空港です。昨年(2019年)4月にオープンしたばかりですが、建設に1兆2000億円以上の費用がかかったメガプロジェクトです。
【参考記事】
●なぜ、トルコリラは上昇しているのか…!? 原油価格とトルコリラは逆相関関係にある(2018年10月31日、エミン・ユルマズ)
空港を運営している企業は、トルコ政府に25年間で約2.6兆円のレンタル料を支払う契約となっていましたが、パンデミックのせいで収入が激減し、経営危機に陥っています。
そのため、イスタンブール空港の国有化は避けられないとの見方が多くなりました。ボスポラス海峡に架けられた第3大橋(正式名:ヤウズ・スルタン・セリム橋)についても同じような懸念があります。
■トルコリラ/円は円安恩恵で16.30円水準まで上昇
今週(6月1日~)のトルコリラですが、対米ドルでは先週(5月25日~)の水準からほとんど動かず、米ドル/トルコリラは6.70リラ近辺で推移しています。しかし、トルコリラ/円は円安の恩恵を受け、一時16.30円水準まで上昇しました。
(出所:IG証券)
(出所:IG証券)
米国のデモ騒動は、今のところグローバル市場に悪影響を与えていません。個人的には、デモが米国だけに限定され、世界に広がるようなことにならなければ為替や株式市場に影響は出ないと考えています。
一方で、すでにデモがフランスに飛び火しているとの報道が出ています。パンデミックで世界的に失業率が高まっていて、人々の不満が溜まっているので、米国のデモが形を変えて世界に拡散する可能性があります。
特に先進国は、ロックダウン解除に向かっている最中なので要注意です。
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