■長期金利上昇。トリプルブルーでも株は崩れず!
1月5日(火)に、ジョージア州で米上院決選投票が行われましたが、民主党が2議席を獲得し、実質的なトリプルブルー(※)となりました。
(※編集部注:「トリプルブルー」とは、米大統領が民主党で、さらに上院・下院の両方で、民主党が過半数の議席を占めている状態のこと。上院はジョージア州での決選投票の結果、民主党・共和党ともに50議席ずつとなったが、採決などで賛否が50対50になった場合、副大統領の一票で最終決定することから、実質的に民主党が有利になると考えられる)
【参考記事】
●100円割れも視野の米ドル/円は戻り売りの繰り返しで! まずは米上院決選投票に注目(1月5日、バカラ村)
これを受けて、バイデン次期大統領の大規模財政出動期待で米長期金利は1.00%のレジスタンスを突破し、1.13%台まで上昇しました(※)。
(※編集部注:本記事の寄稿後、米長期金利は1.15%台まで上昇した)
(出所:TradingView)
昨年(2020年)までは、上院では過半数を共和党が取り、ねじれ議会となって、バイデン次期大統領の増税案などが通りにくいという予想から、株式市場は上昇してきました。
とすれば、トリプルブルーとなれば、増税される可能性が高まることから、株式市場はリスク回避となってもいいようにも思いますが、結果は上昇してきています。
(出所:TradingView)
コロナ禍で景気回復はまだ先になることから、増税するのも先になるということや、財政出動が注目されたことで、リスク選好となっています。
【参考記事】
●「トリプルブルー」実現は、かなり濃厚! 2021年初頭も株高・米ドル安の動きか(1月6日、志摩力男)
●2021年10大リスクの1位は「米国の分断」。トリプルブルーで、米ドルは20%下落か(1月7日、西原宏一)
■米国へ資金が流れる動きが出てきやすいか
前回のコラムでは、トリプルブルーとなれば、為替市場は米ドル高だと考えていましたが、実際に米ドル高となってはいるものの、少し、イメージと違う米ドル高となっています。
【参考記事】
●100円割れも視野の米ドル/円は戻り売りの繰り返しで! まずは米上院決選投票に注目(1月5日、バカラ村)
(出所:TradingView)
メルマガ「バカラ村のFXトレード日報!」の方では、ジョージア州の結果が判明したことで、米国への投資が増えることを考えて、米ドル買いに動いていますが、コラムの方では違和感がある状態になったのではないかと思います。
【参考コンテンツ】
●ザイ投資戦略メルマガ『バカラ村のFXトレード日報!』
今後ですが、株式市場の上昇=米ドル安、という動きは止まり、今は、米国へ資金が流れる動きが出てきやすいのではないかと考えています。
■投機筋のIMMポジションは、かなりの米ドル売り越しに
米国のインフラ投資などによる景気回復や、米長期金利がまだ1.13%台と、過去の水準から見るとかなり低いものの、上昇してきていることもあり、米国へ資金が流れやすくなっていると思います。
また、IMM(国際通貨先物市場)のポジション動向では、ロイターの算出によると、主要6通貨に対する投機筋の米ドルの売り越しが300億ドルを超えてきており、これは、かなり売りに偏ってきている水準となります。
【参考記事】
●〔需給情報〕IMM通貨先物、ドル売り越し額が増加(ロイター)(外部リンク)
これが買い戻される可能性も、あるのではないかと考えています。
【参考記事】
●急上昇後に下がっているユーロ/米ドルは買いか?売りか?IMMポジションをどう読む?(2020年8月4日、バカラ村)
●IMMの危険水準は円10万枚、ユーロ15万枚、英ポンド10万枚だが、さらに確認すべきは?
■米ドル/円は105円、英ポンド/米ドルは1.32ドル台を期待
ドルインディックスでは、2018年前半以来の水準となる89台で反発しており、当面は89~92のレンジ内での推移が考えられます。
(出所:TradingView)
そうであれば、米ドル/円は押し目買いで、英ポンド/米ドルは戻り売りがいいのではないかと考えています。
米ドル/円は、中長期の見方は変わっていませんが、今は105円を狙う動きも期待できるのではないかと思います。
【参考記事】
●100円割れも視野の米ドル/円は戻り売りの繰り返しで! まずは米上院決選投票に注目(1月5日、バカラ村)
●【2021年の見通し】米ドル/円、目先は97円。その後、年末に向けて110円へ上昇の可能性(2020年12月22日、バカラ村)
●ドルインデックスの89台までの低下を予想。ユーロや豪ドルの押し目買いを継続!(2020年12月15日、バカラ村)
(出所:TradingView)
英ポンド/米ドルは、1.3530~40ドルのサポートを下抜けてきており、1.32ドル台まで下がってもいいのではないかと思います。
(出所:TradingView)
英ポンド/米ドルは、EU(欧州連合)と合意して離脱したとしても、上昇は限定的としてきましたが、1.37ドルで止まっており、ここからは、上昇期待で買っていた人の手仕舞いも出てきやすいのではないかと考えています。
■FRB議長講演や、バイデン政権の景気刺激策に注目
今週(1月10日~)の注目イベントとしては、1月14日(木)にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演があります。
また、バイデン次期大統領が、14日(木)に景気刺激策を発表することが予定されています。
そして、来週1月20日(水)には、バイデン新大統領の就任演説があります。
1月20日に就任式を控えているジョー・バイデン次期米大統領。それに先立つ1月14日には、景気刺激策を発表することが予定されている (C)Scott Olson/Getty Images News
その後は、一般教書演説もあるため、そのときには、今後の米政府の政策が出てくるのではないかと考えています。
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