今年(2020年)も、残りわずかとなりました。今回のコラムが、今年最後となります。次回は、2021年1月5日(火)の更新予定となります。
今年最後となるため、来年(2021年)の予想も書きたいと思いますが、その前に、直近の相場の動きについてお話しします。
■英ポンド、週をまたいだポジション保有には注意を
ブレグジット(英国のEU離脱)交渉が大詰めを迎えていますが、いまだに合意に至らず、昨日(12月21日)の英ポンドは、ギャップダウンから始まっています。
【参考記事】
●ドルインデックスの89台までの低下を予想。ユーロや豪ドルの押し目買いを継続!(12月15日、バカラ村)
●移行期間終了迫るブレグジット協議に注目! 合意なければ、英ポンド/円は131円へ下落!?(12月8日、バカラ村)
●ブレグジット=英国のEU離脱とは? 欧州連合離脱の経緯、離脱までの過程を解説
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
週末を挟んだギャップの発生が連続していますが、今週金曜日(12月25日)はクリスマスでもあり、それまでに合意が決まっていなければ、来週月曜日の12月28日(月)も、ギャップを伴ってのオープンとなりそうです。
そのため、週末に英ポンドのポジションを持つのは、リスクが高いと思います。
【参考記事】
●ブレグジット交渉に注目! 英ポンドが上がれば、英ポンド/豪ドルの売りを想定(12月21日、西原宏一&大橋ひろこ)
●クリスマス前にブレグジット合意は実現!? 合意なら英ポンド/ドルは1.40ドルを目指す(12月16日、志摩力男)
■コロナの変異種が見つかり、リスク回避に
欧州では、新型コロナウイルスの変異種が見つかっており、従来のものより、7割も感染力が高いとされています。
これもリスク回避の材料となり、豪ドル/米ドルは0.7461ドルまで下がりました。
(出所:TradingView)
短期勢が買いに偏っていたことや、クリスマス前ということもあり、ポジション調整も出やすかったときに、新型コロナウイルスの変異種が材料となったように思います。
■1月5日の米上院選決選投票に注目
今週(12月21日~)はクリスマス週のため、週前半が終われば、あとは閑散とした、静かな相場になると思います。
ただ、来年(2021年)1月5日(火)は、ジョージア州で米上院選の決選投票があります。
現在、上院は100議席中、民主党が48議席、共和党が50議席となっており、残り2議席を争っています。
これを民主党が取ると、実質的なトリプルブルー(※)となり、年初からリスク回避の動きとなります。ただ、共和党がまだ優勢のため、その可能性は低いのではないかと考えています。
(※編集部注:「トリプルブルー」とは、米大統領が民主党で、さらに上院・下院の両方で、民主党が過半数の議席を占めている状態のこと。民主党が残りの2議席を獲得しても過半数の51議席には達しないが、採決などで賛否が50対50になった場合、副大統領の一票で最終決定することから、実質的に民主党が有利になると考えらる)
■民主党政権下で大きく動くことを期待!
今年(2020年)の米ドル/円は、101円台~112円台の11円幅でしか、推移していません。
(出所:TradingView)
最近は、値幅が小さくなっており、トランプ大統領のときの4年間では、米ドル/円の1年間の値幅は、8~11円になります。
【参考記事】
●ザイFX!で2019年を振り返ろう!(1)大暴落後は動かない、動かない、動かない
●ザイFX!で2018年を振り返ろう!(1)米ドル一強! その時トルコショックが起きた
●ザイFX!で2017年を振り返ろう!(1)為替相場よ、トランプ・ラリーは何処へ?
以前は、1年間で16円前後は動いていたため、非常に値幅が小さくなっています。
来年(2021年)は、米国が民主党政権に変わることもあり、直近4年間よりも大きく動くことに期待しています。
■低金利環境も追い風に、景況感は改善へ
目先に関しては、まだ、米ドル安トレンドが崩れたとは言えないと思います。
【参考記事】
●ドルインデックスの89台までの低下を予想。ユーロや豪ドルの押し目買いを継続!(12月15日、バカラ村)
●主要通貨で横ばい多いが、長期的なドル安見通しに変化なし! 経済対策協議にも注目(11月24日、バカラ村)
(出所:TradingView)
FOMC(米連邦公開市場委員会)でも、長期的な金融緩和が示されており、そして、9000億ドルの追加経済対策も決まったことから、米国の財政赤字も拡大し、これらが米ドル安へ作用するものと考えています。
ただ、ニュージーランドもそうですが、政策金利が低いこともあり、住宅市場が好調です。
米国はまだ、ロックダウン(=都市封鎖)などもあって、景況感は悪い状態が続きますが、ワクチンもあり、この冬を乗り切れば感染者も減ってくると思われます。経済の動きが戻り始めると、低金利ということもあり、景況感も改善してくるのではないかと思います。
■米金融政策の出口は意外と早いかも!?
FRB(米連邦準備制度理事会)は、2023年末まで低金利を続けるといっていますが、もっと早くに出口が来るのではないかと思います。
(出所:FRB)
2022年には経済は回復している、とのエコノミストの予想もありますが、FRBが、低金利政策を、それよりもかなり先の2023年末までとしているのは、「低金利が超長期間続きますよ、だから安心してください」と、市場参加者に楽観的な雰囲気を与えることを目的にしているだけではないかと思います。
今はまだ量的緩和もあって、緩和方向のままですが、早ければ2022年に出口を議論、もしくは、来年(2021年)後半に、すでに議論が始まっている可能性もあるかと考えています。
■米ドル/円は97円ぐらいまで下落後、110円に向けた上昇も
そうであれば、来年(2021年)の終わりごろは、米ドル高になっている可能性があるのではないかと考えています。
目先は米ドル安だと思うため、米ドル/円は97円ぐらいまで下がるかと思いますが、来年(2021年)末ぐらいには110円に向けた上昇の可能性もあるのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
今年も1年間、ありがとうございました。来年も引き続き、よろしくお願いいたします。
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