■厳戒態勢の米大統領就任式、1月20日へ向けて混乱も
今週1月20日(水)は、米国でバイデン次期大統領の就任式です。
首都ワシントンはすでに州兵が動員され、厳戒態勢ですね。
トランプ大統領はすでに就任式への欠席を表明しています。
死者さえも出る事態となる異例の政権交代劇となっており、1月20日(水)前後にも何が起きるかわかりません。
不測の事態に備える必要があるでしょう。
1月20日(水)は、米国でバイデン次期大統領の就任式が予定されている。死者さえも出る事態となる異例の政権交代劇となっており、1月20日(水)前後にも何が起きるかわからず、不測の事態に備える必要があると西原氏は指摘 (C)Scott Olson/Getty Images News
先週(1月11日~)にはバイデンさんが1.9兆ドル規模の追加経済対策案を公表しましたね。
年末に支給済みの600ドルに加え、新たに1400ドルが追加され、合計で2000ドルの給付金となります。
1400ドルの行き先が株式市場なのか、ビットコインなのかも注目されますが、注意したいのは「1.9兆ドルがすんなり通るとは限らない」ということ。
【参考記事】
●米追加経済対策に絡むサプライズ報道で米ドル反発。ユーロ/米ドルは戻り売りで(1月14日、西原宏一)
●金融緩和し過ぎとの警戒感で、米ドルは少し反発か。中長期のドル安は変わらない(1月13日、志摩力男)
■2000ドル給付金、市場は「期待値マックス」の状態に
米上院の勢力は民主党、共和党がいずれも50議席。議長の決裁票でかろうじて民主党が過半数を維持した状態です。
民主党から1人でも造反する議員が出ればひっくり返りますから、バイデン・プランが減額されるとの見方も強い。
1400ドルの追加給付は「期待値マックス」として考えないといけないですね。
まったく同感です。
これ以上の好材料は何があるのか、という状態まで来ているのではないでしょうか。
今朝方(1月18日朝方)にはイエレン次期財務長官が「米ドルやその他の通貨の価値は市場で決まるべきだ」として、米ドル安を目指さないことを表明しました。
財政、金融ともすでにジャブジャブの状態。
あえて米ドル安誘導を言う必要はなく、当然の発言でしょう。
1月18日(月)朝方には、イエレン次期財務長官が「米ドルやその他の通貨の価値は市場で決まるべきだ」として、米ドル安を目指さないことを表明した。あえて米ドル安誘導を言う必要はなく、当然の発言だろうと西原氏は解説 (C) Bloomberg/Getty Images
先週、米小売売上高やNY連銀製造業景況指数はいずれも予想を下回る数字。予想外の減少となりました。
これまでは経済指標が悪ければ「緩和は続くよ、どこまでも」という期待で気にされませんでしたが、よほど事態が悪化しないと、これ以上の手は打てませんよね。
そうなると悪材料が悪材料として解釈される、通常の相場へ戻ることになりますね。
■オランダ、イタリア、エストニア…欧州で相次ぐ政局不安
今週(1月18日~)は中央銀行ウィーク。
ECB(欧州中央銀行)、日銀、トルコ中銀が1月21日(木)に、カナダ中銀が1月20日(水)に政策を発表します。
今回政策を変更することはないでしょうが、注目しているのは欧州です。
コロナ禍が深刻化し、ドイツではロックダウンの延長が示唆されています。
先週からは政治不安も表面化しています。
ドイツ与党・キリスト教民主党同盟の新党首こそ、メルケルさんに近いラシェットさんにすんなり決まりましたが、オランダでは内閣が総辞職、エストニアでも首相が辞任を表明。
さらにイタリアでもレンツィ元首相率いる政党が連立内閣から離脱し、与党は過半数割れとなりました。
オランダは3月に総選挙が予定されています。
それまでは現政権が選挙管理内閣として続投する見通しで、与党の支持率は高く大きな混乱はなさそう。
ユーロ/米ドルは2020年9月に1.20ドル付近で通貨高けん制発言が出ましたが、その後は暮れにかけて、すんなり1.23ドル台まで上昇してから1.20ドル台まで調整しています。
政治、経済両面で緊張感が高まっており、1.20ドル割れの可能性も十分あるでしょう。
【参考記事】
●1.20ドルを背に、ユーロ/米ドルを戻り売り! ラガルドECB総裁はユーロ高を牽制するか?(2020年9月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
■米ドル/円は動きにくい。ユーロ/米ドルの戻り売りで
米ドル/円はいかがですか?
102円台では買いが入るし、104円台では輸出の売りが出てくる。動きが出にくいですね。
(出所:TradingView)
先週発表された日本の11月の国際収支統計は、5ヵ月連続で貿易黒字になりました。
貿易黒字の環境下では円安が進みにくいのかもしれませんね。
3月の期末に向けて上がれば売りたい輸出はいるでしょうし、動きにくい環境が続きそうです。
今週の戦略はどう考えますか?
一部の銀行は株価の調整を見込んだポジションを推奨しています。ユーロ/米ドルのショートなどです。
個人的にも、今週最大のイベントである1月20日(水)の米大統領就任式に向けて、株価の調整が入るとの見通しは変わりませんし、ユーロ/米ドルの戻り売りでいいでしょう。
【参考記事】
●株式市場の調整は、月末の今日にも始まる!? ワクチン接種開始でセル・ザ・ファクトか(2020年11月30日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
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