■1.9兆ドル規模のバイデン経済対策がやってくる
インフレがやってくるのではないか。
前回のコラムでは、コモディティ価格上昇の可能性について書きました。景気が回復することと、社会の環境シフトが進むので、コモディティへの需要が強まり、新たな価格上昇トレンドがやってくるのではないかと書きました。
【参考記事】
●インフレはやってくるのか。コモディティの新しい上昇サイクルが始まる可能性あり(2月24日、志摩力男)
ここに新しい材料が加わります。バイデン米大統領の経済対策です。おそらく、1.9兆ドル規模に近い形で実現するものと想定されています。
バイデン大統領の経済対策は、おそらく1.9兆ドル規模に近い形で実現するものと想定されている (C)Scott Olson/Getty Images News
ほんの数カ月前に、0.9兆ドルもの経済対策が施行されたばかりです。1人あたり600ドル支給され、その影響で1月の米小売売上高はプラス5.3%と驚くほどの伸びを見せました。ドイツの小売売上高がマイナス4.5%と撃沈しているのとは、まったく対照的です。
それなのに追加で1.9兆ドル(GDPの9%強)です。1人あたり1400ドルが追加で支給され(4人家族だと5600ドル、約60万円です)、失業手当は週に400ドル追加され、その他にもさまざまなサポートがあります。
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■米長期金利は1.75~1.90%水準も視野に入りそう
週に1000ドルの収入の人は、半年で2万2000ドルほどになりますが、失業した場合、3万ドルの収入になります。年収450万円の人が、失業すると年収600万円になる、そういうレベルの話です。
あまりにも手厚い。さすがに身内の(民主党系の)経済学者からもクレームがきます。
ラリー・サマーズ元財務長官ですが、需給ギャップ(※)が300億ドルほどのところに、1500億ドルと5倍もの資金を投入しようとしている。これではインフレの可能性があると…。
(※編集部注:「需給ギャップ」とは、その国の経済全体の需要と潜在的な供給力の差のこと)
しかし、イエレン財務長官は、“Act Big”(大胆な行動)と明言しています。ポール・クルーグマン氏も「真珠湾が攻撃されているときに、需給ギャップの大きさを問題にしてはならない」と発言しています。
ポイントは、最低賃金を現行の7.25ドルから15ドルへと倍増させるプランが成立するかどうかでしょう。最低賃金の引き上げは、いつかしなければならない重要なことですが、今行うと、インフレを起こしてしまうかもしれません。
しかしながら、バイデン経済対策実現は時間の問題です。これだけの刺激策ですから、金利上昇は避けられないのではないかと思います。先日、米長期金利は1.6%台を瞬間付けましたが、1.75~1.90%というレベルも見えてくるかもしれないと思います。
(出所:TradingView)
ではこの時、米ドルはどうなるのか。「インフレ=通貨安」から米ドル安となるのか。それとも、米金利上昇を好感して米ドル高となるのか。
ちょっと判断し難いところがあります。
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■スイスフランが動き出した背景に、世界的なリスクオン?
わかりやすいところを考えると、豪ドルがいいでしょう。コモディティ価格上昇は、豪ドルの上昇をサポートします。
(出所:TradingView)
それから、これまで動きらしい動きがなかったスイスフランが動き出しました。背景ははっきりしませんが、新型コロナウイルス克服が見えてきて、世界的にリスクオンとなりそうなので、セーフヘブン通貨は今後、弱くなるのではと思います。
米ドル/スイスフランのチャートだけで判断するのは危険かもしれませんが、米ドル/スイスフランのチャートは美しく、200日線も超えてきました(通貨ペアで200日線を突破しているのは米ドル/円と米ドル/スイスフランのみ)。
(出所:TradingView)
きれいな下降トレンドを上抜けているということは、米ドル/スイスフランは1.00フランの方向を目指すのかもしれません。
ユーロ/スイスフランももみ合いを上抜け、底堅いチャートです。チャートだけなら、1.20フラン再挑戦となりそうです。
豪ドル/スイスフランの取引ができるのであれば、0.80フラン狙いで買っても良いのかもしれません。
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