2021年5月24日(月)夜、FX業界に激震が走った。
GMOインターネットグループがヤフー系のワイジェイFX(ブランド名はYJFX!)を300億円程度で買収すると、日本経済新聞電子版が報じたのだ。
【参考記事(外部サイト)】
●GMO、ヤフー傘下のFX事業を買収へ 300億円で(日本経済新聞)
GMOグループによるワイジェイFX買収は本当のことだった
FX業界でも買収などによる業界再編の動きはこれまでいくつも起こってきた。ただ、これだけのFX業界大手同士の買収劇は初めてのこと。
このような報道が出ると、その後、「当社に関する一部報道が出ていますが、それは当社が発表したものではございません」といったようなリリースが当該企業から発表され、報道内容がいったんは否定されたり、あるいは明確に否定されたりすることがある。
しかし、今回の場合は翌5月25日(火)朝になって、GMO系でもヤフー系でも、前夜の報道内容をおおよそなぞるようなリリースが発表された。一夜明けて、この買収劇は確固とした事実であることが明らかとなったのだった。
(出所:GMOフィナンシャルホールディングス)
(出所:ヤフー)
【参考リリース(外部サイト)】
●ワイジェイFX株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ(GMOフィナンシャルホールディングス)
●GMOフィナンシャルホールディングス、ワイジェイFXの全株式を取得(GMOフィナンシャルホールディングス)
●ワイジェイFX株式会社の株主変更に関するお知らせ(ヤフー、ワイジェイFX)
公式のリリースによると、買収価格合計は概算で289億2400万円。その内訳はワイジェイFX株式会社の普通株式が288億2400万円、アドバイザリー費用等(概算額)が1億円となっていた(※)。この金額で、GMOグループの金融系持ち株会社・GMOフィナンシャルホールディングスがワイジェイFXの全株式をヤフーから取得し、同社を完全子会社化することになったのだ。
(※メディアによって買収価格は微妙に異なって報道されているが、正式にリリースされた金額と内訳はこのようになっており、どこまでを買収価格に含めるかの解釈がメディアによって異なっているのではないかと思われる)
各リリースには「公正取引委員会による企業結合審査終了が前提」といった注記がついているものの、順調に事が運べば、株式譲渡は2021年9月下旬に実行される予定となっている。
冒頭で紹介した日本経済新聞の記事では、同紙が推計した2020年のFX取引金額のシェアとして、以下のような数値が掲載されていた。
・1位 GMOクリック証券 21%
・2位 DMM.com証券 19%
・3位 SBIグループ 13%
・4位 ワイジェイFX 8%
・5位 楽天証券 7%
日本経済新聞の推計が正しいとすると、本買収が完了すれば、GMOグループのシェアはGMOクリック証券の21%とワイジェイFXの8%を足した29%という計算になり、当然ながら、GMOグループのシェアはかなり拡大することになる。
YJFX!の前身はサイバーエージェントFX
本記事ではこれ以降、ワイジェイFXという会社名ではなく、YJFX!というFXファンが見慣れたブランド名をおもに使用して記述していきたい。
そもそもYJFX!という会社は、元々はサイバーエージェントFXという会社だった。名前からすぐわかるとおり、サイバーエージェントFXという会社はサイバーエージェント系のFX会社だったのである。
そのサイバーエージェント系のFX会社だったサイバーエージェントFXを2013年に210億円で買収したのがヤフーだった。
同社はヤフー系FX会社となってからも、しばらくはサイバーエージェントFXという名称のまま営業を続けていたが、2014年に会社名をワイジェイFX、ブランド名をYJFX!と変更したのだった。
YJFX!はPayPay FXになる予定だったが…
そして、時は流れて2020年7月。
YJFX!はPayPay FXに名称変更する予定ということが発表された。ヤフー系の大元となる持ち株会社は現在、Zホールディングスとなっているが、そのZホールディングス傘下の金融事業会社6社の社名およびサービス名が、2020年秋以降、順次「PayPay」ブランドに統一される予定となり、その1社がYJFX!ということだったのだ。
実際、上述の発表内容にしたがって、2021年2月にはOne Tap BUYがPayPay証券に商号変更され、2021年4月にはジャパンネット銀行がPayPay銀行に商号変更されるなどの動きがあった。
PayPayは主要スマホ決済サービスの1つ。おそらくザイFX!読者のなかにも使ったことがある人がたくさんいることだろう。PayPayはPayPay株式会社が提供しており、そのPayPay株式会社の株主はソフトバンクグループ、ソフトバンク、ヤフーという構造になっている。
そうしたなか、ヤフー系の金融事業会社をPayPayというブランド名に染め上げていくことが2020年7月に発表されており、YJFX!もPayPay FXに名称変更する予定になっていたということだ。
実際、YJFX!では取引によってPayPayがもらえるキャンペーンを多数実施しており、グループ内でのシナジーを感じさせる施策が行われてきた。
が、YJFX!はなかなかPayPay FXにはならなかったのである。
今回のGMOグループによるYJFX!買収劇の予兆はそんなところにも表れていたのかもしれない。
新ファイナンススタジアムはヤフーファイナンスと連携せず
また、YJFX!は「ファイナンススタジアム」というサービスを展開しており、これは同社で取引するトレーダーの収益ランキングなどが見られるものだった。このサービスはいったん終了したのだが、2021年1月、装いも新たに復活するという出来事があった。
(出所:YJFX!「ファイナンススタジアム」)
【※関連記事はこちら!】
⇒YJFX!の「ファイナンススタジアム」が復活!ランキングや指標データ、限定コラムが充実(2021年02月02日)
ただ、旧ファイナンススタジアムはヤフーファイナンスと連携したサービスだったのに、新ファイナンススタジアムはヤフーファイナンスと連携したサービスにはなっていなかった。
復活した新ファイナンススタジアムがヤフーファイナンスと連携していないことに筆者は「あれっ?」と若干不思議に思ったことを覚えている。
ただ、今、振り返ってみると、このような事象の裏側では、GMOグループへのYJFX!売却へ向けた水面下の動きなどが、もしかしたらあったのかもしれない。
本記事冒頭で紹介した日本経済新聞の報道によると、ヤフー側としては、PayPayの金融サービス事業を強化したり、顧客獲得を優先するための先行投資が膨らんでいたことが、今回のYJFX!売却につながった側面があるようだ。
PayPayといえば、「100億円あげちゃうキャンペーン」などユーザーへの大盤振る舞いがとにかく一時期目立ちまくっており、大変にぎにぎしい印象があったが、その背後では巨額の赤字を計上しているとの報道もあった。
それが回り回って、GMOグループへのYJFX!売却につながるとは…。世の中、何がどう転ぶか、わからない。
GMO系にはGMOクリック証券とFXプライムbyGMOの2社
さて今回、買収する側となったGMOグループだが、その金融系持ち株会社であるGMOフィナンシャルホールディングス傘下には、現在、国内のFXを取り扱う会社として、GMOクリック証券、FXプライムbyGMOという2社が連なっている。そのほか、暗号資産取引所を運営するGMOコインもGMOフィナンシャルホールディングス傘下の有力な会社の1つだ。
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GMOグループのFXサービスは元々、GMOクリック証券を中心に発展してきたが、2012年に伊藤忠商事系のFX会社だったFXプライムをGMOグループが買収するということがあった。
そして、その際、FXプライムはGMOクリック証券に統合されるのではなく、FXプライムという会社やブランド名は基本的に維持したまま、GMOフィナンシャルホールディングスという持ち株会社の傘下に連なるという形になったのだった。ただ、会社名の末尾に「byGMO」というワードがつけ加えられ、FXプライムという会社名は「FXプライムbyGMO」という会社名に変更された。
FXプライムは元々、約定力を売り物にする一方、スプレッド縮小競争には過度に加わらないFX会社だった。また、豊富な金融情報の提供を行っており、これも特長の1つとなっていた。このようにFXプライムは独自路線を行くFX会社だった。
一方のGMOクリック証券は一時期はFX業界のスプレッド縮小競争を積極的に牽引する存在だったし、今もスプレッドは業界最狭に近い水準を維持している。FX取引高は世界一だし(※)、いわばFX業界の王道路線を行く会社だ。
(※ファイナンス・マグネイト社調べ(2020年1月~2020年12月))
GMOグループは、GMOクリック証券、FXプライムbyGMOという個性の異なる2社を別会社、別ブランドのまま、持ち株会社の下に連ねる戦略をとってきたということである。
ちなみにGMOクリック証券のイメージキャラクターを長年、務めているのは先日、星野源さんとの結婚を発表した新垣結衣さんだ。
【※関連記事はこちら!】
⇒新垣結衣さん結婚が金融市場に波及!?暗号資産暴落! ガッキーショックの意味とは?(2021年05月20日)
ある程度、似たもの同士といえるGMOクリック証券とYJFX!
では、今回の買収劇で、もう一方の当事者であり、買収される側となったYJFX!はどんな存在なのか?
YJFX!は先に動くというよりは、追いかけて動く印象があるものの、FX業界のスプレッド縮小競争にもこれまで加わってきたFX会社だ。金融情報の提供にも力を入れているものの、GMOクリック証券のスタイルに近いFX業界の王道路線を行く主要FX会社の1つといえるだろう。
つまり、YJFX!はFXプライムbyGMOとは異なり、GMOクリック証券と割と似た存在といえるのだ。
実際に主要通貨ペアについて、GMOクリック証券「FXネオ」、YJFX!「外貨ex」、FXプライムbyGMO「選べる外貨」のスプレッドを比べてみると下表のとおり。
※各社発表情報を元にザイFX!編集部が作成
【※関連記事はこちら!】
⇒FX会社おすすめ比較:取引コストで比べる
スプレッドの適用時間帯にちょっと違いはあるものの、ここに挙げた主要通貨ペアのスプレッドはGMOクリック証券「FXネオ」とYJFX!「外貨ex」がまったく同じになっているのに対し、FXプライムbyGMO「選べる外貨」は広めになっていることがわかる。
ある程度、似たもの同士といえるGMOクリック証券とYJFX!。
そうなると、FXプライムbyGMOのようにGMOグループ傘下に入っても別会社のまま存続するのではなく、YJFX!がGMOクリック証券に統合されてしまうようなことが起こるのだろうか?──5月24日(月)夜の日本経済新聞の報道を見て、そういうことが筆者の脳裏に思い浮かんだ。
あるいは、FXプライムbyGMOのように、GMOグループ傘下に入っても統合はされず、別会社のまま存続するのだとしたら──名称はYJFX! byGMOとなるのだろうか!?
YJFX! byGMOになったら著しく混乱すると思ったが…
旧サイバーエージェントFXがヤフーに買収されたあと、同社はヤフーFXという名称には変更されなかった。詳細は略すが、これにはそのようにせざるを得ない事情があったようだ。
そして、旧サイバーエージェントFXはヤフーFXではなく、YJFX!という名称になったわけだが、筆者個人の感覚で言えば、当初はすんなりとYJ=ヤフージャパンを意味するということを今一つ感じ取れなかったように思う。なんで、ヤフーFXじゃないの?という感覚があったのだ。
けれど、YJFX!が「ヤフーグループだから安心」といったブランディングを繰り返し行っていくうちに、YJFX!という文字を見れば、「ああ、ヤフーだな」とすぐ認識できるようになり、今では、「YJFX!は以前はサイバーエージェントFXだった」という事実が普段はアタマの中からすっかり抜け落ちているぐらいまでに、“YJFX!といえばヤフー”という一体感を個人的には感じるようになっていた。
(出所:YJFX!)
それがもしも「FXプライムbyGMO」風に「YJFX! byGMO」という名称になってしまったとしたら…!? 著しい混乱を覚えることは間違いない!といらぬ心配を筆者はしていたのだが、一夜明けると、そんな妙なことにはならない回答がしっかり用意されていたのだった。
新しい商号は「外貨ex byGMO株式会社」を予定
5月25日(火)の朝になって発表された両グループのリリースを見ると、現YJFX!はGMOクリック証券に統合されるようなことはなく、別会社として存続。そして、2021年9月下旬予定の株式譲渡完了時にワイジェイFX株式会社の商号は「外貨ex byGMO株式会社」へ変更されるとのことだった。
外貨exとはYJFX!が展開しているFXサービスの名称。このサービス名は旧サイバーエージェントFXのときから変わっていない。GMOグループ傘下に入ったことを示す「byGMO」というワードはさすがにYJFX!の後ろにはくっつけず、外貨exの後ろにくっつけることがすでに決まっていたということなのだ。
そして、会社の名称が変わっても、外貨exのサービスは変わらず継続される模様。現在のYJFX!「外貨ex」のユーザーがあわてる必要はひとまずなさそうだ。ただ、先ほども紹介したPayPayが絡んだキャンペーンなどがGMOグループ傘下に入っても継続されるのかといったことには、今後、ちょっと注意しておいた方がいいのかもしれない。
ヤフー系にはもう1つ、「LINE FX」もあった
現在、FXサービスを展開している会社で、ヤフー系と呼べる存在はYJFX!のほかにじつはもう1つある。「LINE FX」を展開しているLINE証券だ。2021年3月にヤフー系の持ち株会社であるZホールディングスとLINEの経営統合が完了したことで、LINE証券はヤフー系の会社となった。
だから、ヤフー系のなかでは、LINE証券でもYJFX!でもFXサービスが展開されているという状態になっていたこととなり、同一グループ内で重複しているという意味合いもあった。それは今回のGMOグループへのYJFX!売却で解消されたことになる。
逆にGMO側は元々強かったFX分野をYJFX!買収によってさらに強化したことになる。
どうなる? GMOとDMMのライバル争い
FX業界において、GMOクリック証券といえば、DMM.com証券と長年、熾烈なライバル争いを繰り広げてきた存在。スペックや取引高でこの両社は激しい争いを続けてきた。
ただ今回、これだけの大型買収が実現するとなると、GMO側はグループ全体としては、DMM側に結構、差をつけることになりそうだ。
冒頭で日本経済新聞の推計による、主要各社のFX取引高について紹介したが、ここでは主要FX口座のFX口座数、FX預かり残高を以下の表で確認してみたい。
とはいえ、各社は統一的な基準でこれらの数値を発表しておらず、データ基準日が異なっていたり、複数の口座がある会社の場合、必ずしも数値カウントの基準が明確ではないと思われる点があるなど、厳正な比較とは言い難い面があることはご容赦いただきたい。
以前は矢野経済研究所が調査結果を毎月発表してくれていて、割と比較しやすいということがあったのだが、最近はそれが発表されなくなってしまったという事情もある。
また、数値が不明でも、過去に発表されたデータから有力と思われる会社は表に入れてある。ただ、FX業界全体を網羅的に調査したうえで、表に入れるべき会社を決定したものとはなっていない。このこともお断りしておきたい。
実際の表を掲載する前に、言い訳を長々と並べてしまったが、不完全な表であっても、ないよりはあった方がよいと判断したため、以下に掲載する。
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上表を見ると、データ基準日が数ヵ月以上違うという問題はあるが、FX口座数はGMOクリック証券が約71万口座、YJFX!が約41万口座なのに対し、DMM.com証券は80万口座となっている。
ここまで紹介してきたとおり、GMOクリック証券とYJFX!は統合されて同じ会社になってしまうことは予定されていない。したがって、買収完了後も口座数が1つのFX会社のものとして合算されるわけではないものの、この両社の結合はかなり強力なものであることが改めてわかることだろう。
DMM.com証券は「DMM FX」という主力のFXサービスとは別に、「外為ジャパンFX」というかつて買収したサービスを統合せずに別ブランドのまま、これまで展開してきた。この「外為ジャパンFX」だが、2022年春に「DMM FX」へ統合される予定であると先ごろ発表されている。
【※関連記事はこちら!】
⇒外為ジャパンFXが2022年春にサービス終了。DMM FXへの一本化で国内口座数1位争いは!?(2021年05月28日)
それによって、DMM.com証券の口座数はまた変わってくる可能性があるかもしれないのだが、まずは現状を把握しておくと、上表のとおりということになる。
1000通貨単位がなくなるDMMと取引しやすくなるGMO
そして、最後に小ネタとして、「外為ジャパンFX」の「DMM FX」への統合と絡めて、最低取引単位のことついて触れておきたい。
かつてFXの最低取引単位は1万通貨単位がほとんどだった。1000通貨単位で取引できるFX会社は少数だったのである。それが初心者も取引しやすいように、1000通貨単位で取引できるFX会社がグングン増えてきて、現在では1000通貨単位の方がFX業界の主流になってしまった。
そんななか、FX業界の2大勢力といえるGMOクリック証券「FXネオ」とDMM.com証券「DMM FX」は今も最低1万通貨単位からという、やや古いともいえるスペックを堅持している。
ただ、DMM系のシステムが好きな人で1000通貨単位で取引したい人は、「外為ジャパンFX」で取引するという手があった。「外為ジャパンFX」と「DMM FX」のシステムはよく似ている一方、最低取引単位は違っていて、「外為ジャパンFX」は1000通貨単位で取引できるからだ。
それが2022年春に予定どおり、「外為ジャパンFX」が「DMM FX」に統合される運びになると、DMM系では1000通貨単位での取引ができない、ということになる。
一方、GMO側では現在、GMOクリック証券「FXネオ」が1万通貨単位である一方、FXプライムbyGMO「選べる外貨」では1000通貨単位の取引ができる状況となっている。ただ、先ほど述べたとおり、FXプライムbyGMOは独自路線のFX会社だし、通常無料の売買手数料が1000通貨単位だと有料になってしまうという問題もあり、これまでGMOグループでは1000通貨単位の取引がやりやすいとは言いにくい面があった。
それがGMOフィナンシャルホールディングス傘下にYJFX!が加わることになれば、GMO系ではスプレッドが十分に狭い王道路線のFX口座で、1万通貨単位のもの(GMOクリック証券)と1000通貨単位のもの(YJFX!)が両方揃うことになる。
ちなみにYJFX!では1000通貨単位の取引について以前は売買手数料がかかっていたが、2015年にこの売買手数料は撤廃されている。
FX初心者層にやさしい「1000通貨単位取引」だが(※)、以上のようにこれは今後、GMO系とDMM系で差が出てくる見通しに現時点ではなっているということだ。
(※「1000通貨単位取引」よりもさらに少額取引ができて、さらに初心者にやさしいFX口座としては1通貨単位で取引できるSBI FXトレード、松井証券「MATSUI FX」、100通貨単位で取引できるマネーパートナーズ「パートナーズFX nano」などがある)
FX業界を揺るがせたGMOグループによるYJFX!の買収劇。これによってFX業界にはさらなる動きが何か出てくるのだろうか? FXトレーダーとしては、取引条件の改善に向かうような動きを期待したいところだが…。今まで以上にFX業界の動向に注目すべき季節を迎えたのかもしれない。
(文・ザイFX!編集長・井口稔 / 編集協力・ザイFX!編集部・藤本康文)
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