トルコ中銀の政策金利据え置き発表後、トルコリラは上昇
トルコ中銀は、8月12日(木)に行われた政策会合で政策金利を19%に据え置きました。
トルコ中銀の発表によると、ワクチン接種の進行によって今後、トルコ経済の回復傾向が強まりますが、サプライチェーンの乱れによるインフレ圧力が継続しているので、引き締め姿勢を維持するとのことです。
つまり、「インフレが低下して来ない限り、利下げはしない」と宣言しています。市場はトルコ中銀のスタンスを評価していて、据え置き発表の後にトルコリラは上昇に転じました。
(出所:TradingView)
トルコの新型コロナワクチン接種率は悪くない水準。今回の波では、ワクチンの効果が明らかに
トルコのワクチン接種率は、確かに悪くないです。少なくとも1回目のワクチン接種を受けた人の割合が52%で、2回目のワクチン接種が完了した人の割合は39%となっています。
(出所:トルコ保健省)
日本の場合は、これらの数字が50%と38%なので、ワクチン接種の進行率としてトルコと日本はほぼ同じ水準にあります。
トルコの感染者数は依然として高いですが、今回の波のピーク時である8月上旬における新規感染者の数は、前回の波の半分以下なのでワクチンの効果が明らかに表れています。
トルコの経常赤字は、今年もっとも少ない額に。原油下落がトルコリラのサポート材料に
トルコのマクロ指標の中で、トルコリラの動きに大きな影響を与えているのは経常収支です。トルコは経常赤字国なので、経常赤字が大きく拡大した時にトルコリラは売られやすくなります。
先週(8月9日~)発表された、6月の経常赤字は11.3億ドルとなり、今年(2021年)もっとも少ない金額でした。
一方で、直近12カ月の経常赤字は297億ドルと高い水準が継続しています。トルコの経常赤字の最大要因は原油です。
原油価格が足元で下げに転じているのは、トルコリラのサポート材料になると考えます。
(出所:TradingView)
今週(8月16日~)発表された、中国のマクロ指標は軒並み市場予想を下回っていますが、中国経済の減速が原油価格の頭を押さえ、これがトルコのような原油を持たない新興国の通貨にとってプラスになると考えます。
トルコリラは堅調。トルコ中銀のスタンス、ポジティブなマクロ指標を市場は評価
今週(8月16日~)のトルコリラは、対米ドル・対円で堅調に推移していて、米ドル/トルコリラは、8.40リラ水準まで下落し、トルコリラ/円は一時、13円を超えました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
トルコ中銀のスタンスに加え、トルコ経済のポジティブなマクロ指標も市場は評価しました。
もちろんすべてのマクロ指標がポジティブだったわけではありません。トルコ国庫・財務省の発表によると、1-7月で国家予算は783億リラの財政赤字となりました。
これは記録的に悪い数字ですが、パンデミックの長期化によって世界の主要国で財政赤字が拡大していて、トルコも例外ではありません。
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