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西原宏一・叶内文子の「FX&株 今週の作戦会議」

スイスフラン/円が目標の200円に急接近! リーマンショックを予言した伝説の投資家マイケル・バリーがエヌビディアを空売り。11/19決算後の思わぬリスクオフに警戒

2025年11月17日(月)15:01公開 (2025年11月17日(月)15:01更新)
西原宏一&叶内文子

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西原さん注目のスイスフラン/円が5円も急騰! スイス15%関税への引き下げ交渉で。ユーロ/スイスフランでのSNB介入に警戒

西原宏一(以下、トレーダー西原) 叶内文子(以下、MC叶内)みなさん、こんにちは。

MC叶内 先週(11月10日~)の米ドル/円は大きな動きはありませんでしたが、西原さんが注目しているスイスフラン/円が5円も急騰して、高値が195.60円。

スイスフラン/円 週足
スイスフラン/円 週足チャート

(出所:TradingView

ターゲットの200円まであと4円強と迫る強さをみせており、普段欧州通貨に興味のない参加者の間でも話題になっていますね。

トレーダー西原 先週はスイスの関税の話題で、スイスフランが急騰してくれたのでラッキーでした。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円は片山シーリングの160円に向けてじり高に。スイスの関税が39%から15%に引き下げられる可能性が浮上。最強通貨スイスフラン/円はついに200円が視野に!(11月13日、西原宏一)

 加えて、先週はリーマンショックを予言した伝説の投資家マイケル・バリー(Michael Burry)がAIバブルの空売りを始めた事が話題になっていますね。

 それではまず、先週の株の振り返りからお願いします。

MC叶内 今週(11月17日~)もよろしくお願いします。

 米国株は週初こそ政府機関一部閉鎖解消への期待で上昇しましたが、実際に解消されると一転出尽くし売りとなり横ばい圏で終了しました。S&P500は+0.08%、NYダウは+0.34%。今年(2025年)パフォーマンスの悪いヘルスケアセクターが大きく上昇しました。

 一方、ナスダック総合指数は-0.45%、AI関連株の調整が続いています。投資は過剰ではないか、それは回収できるのかといった懸念から、高バリエーションが意識されています。これは長期金利が下がらないことも要因でしょう。FRB(米連邦準備制度理事会)高官から利下げに慎重な発言が増えており、12月の利下げの織り込みは50%以下に低下しています。

 これを受けて、東京市場でもAI関連の一角は波乱含みでした。日経平均は前週末比100円(0.2%)高の5万0376円と、2週ぶりに上昇しました。終値だけみると落ち着いているようですが、上下に不安定な値動きでした。ただ、バリュー銘柄などに資金がシフトしTOPIXは週半ば連日で最高値を更新、+1.85%で終えています。決算発表シーズンまっただなかで、個別株は活発に売買されています。

 為替市場はいかがでしたか。

トレーダー西原 先週の主要通貨の対米ドルの騰落率を見てみましょう。

先週の主要通貨の対米ドル騰落率

 円以外の主要通貨は米ドル安に傾斜しており、もっとも値を上げたのがスイスフラン。そして、米ドルに対して唯一値を下げたのが円です。

 その結果、先週の米ドル/円は2円弱しか動いていませんが、スイスフラン/円は史上最高値を更新し続け、5円強も急騰(高値195.60円、安値190.35円)。当コラムのターゲットである200円に急速に接近してきました。

 このスイスフランの急騰の材料となったのが関税です。スイスが米国関税15%への引き下げ交渉を進めていました。

 FT(フィナンシャルタイムズ)の報道によれば、「スイスが米国から課せられた39%の懲罰的関税を15%程度まで引き下げる交渉で前進。政府の外交が行き詰まる中、ロレックスやリシュモン(※)などの企業トップがホワイトハウスで直接交渉し、突破口を開いた」としています。

(※リシュモン(Richemont)とは、スイスに本拠を置く高級コングロマリットのこと。カルティエ、ヴァン クリーフ&アーペル、IWC、ジャガー・ルクルト、パネライ、ピアジェなどの高級時計・ジュエリーブランドを保有)

 スイス政府とトランプ大統領の関税交渉が決裂し、39%という数字で行き詰まっていたところ、ロレックスなどの民間企業が突破口を開いたところが素晴らしい。11月初旬にホワイトハウスでトランプ大統領と会談したスイス企業は以下の通りです。


ロレックス(時計メーカー)CEO: ジャン・フレデリック・デュフール氏
リシュモン(カルティエの親会社)会長: ヨハン・ルパート氏
マーキュリア(商品トレーダー)
パートナーズ・グループ(プライベートエクイティ)共同創設者: アルフレッド・ガントナー氏
MSC(海運会社)
MKS PAMP(精錬会社)マルワーン・シャカーチ氏


 この会談は、米国がスイス製品に課した、先進国でもっとも高い39%の懲罰的関税を引き下げるための交渉の一環として行われました。

 会談では、両国間の強固な経済協力関係と、スイス企業の米国への貢献が強調されました。その結果、EU(欧州連合)向け関税と同水準の15%への引き下げで合意しました。

 この報道に呼応し、先週のスイスフランの上昇は際立っています。一時、節目195.00円も突破し、当コラムのターゲットである200円という目標が視野に入ってきました。

警戒すべきは、ユーロ/スイスフランにおけるSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の介入

 米ドル/スイスフランでは、米国の目が気になり介入しづらいですが、ユーロ/スイスフランが0.9200スイスフランを割り込んでくると、SNBが対ユーロでスイスフラン売り介入してくる可能性が高まるので警戒です。

 実際、先週末に一時0.9200スイスフランを割り込みましたが、あっさり0.9225スイスフランレベルまで持ち上げられています。

ユーロ/スイスフラン 4時間足
ユーロ/スイスフラン 4時間足チャート

(出所:TradingView

 一方、先週大きな話題となったのがマイケル・バリーのAI投資への警鐘。これは為替の展望で取り上げますね。

 それでは、今週のイベントと株の注目点をお願いします。

11月19日のエヌビディア決算はマイケル・バリーがショートポジションを取っており、マーケットの反応に注目

MC叶内 引き続き、AI関連の調整が続くのかに注目が集まるなか、11月19日(水)のエヌビディアの8~10月期決算発表が焦点です。市場では売上高と1株利益が5~7月期並みに+50%以上と予想しているようです。中国での販売に対する見方も注目です。

 安心感をもたらすものとなれば、ある程度バリュエーション調整をしたハイテク株の買い材料となるでしょう。一方、業績の見通しが市場の期待に添わなければ、AIブームへの不安がより確からしくなり、S&P500にも波乱を起こす可能性があります。

 また、11月18日(火)にホームデポ、11月19日(水)にターゲット、11月20日(木)にウォルマートなど小売りの決算発表があります。そろそろ年末商戦が気になる時期ですが、企業側の見通しを聞きたいところです。

 日本は決算発表一巡しましたが、説明会やアナリストの投資判断などを受けて、機関投資家の動きが個別に出てくるでしょう。

 米国で政府機関閉鎖が解除され、経済指標の発表が再開されます。遅れるものや発表されないものもありますが、まずは11月20日(木)に9月分の雇用統計が発表されます。市場予想は非農業部門の雇用者数は前月比51000人増と、8月の22000人増から伸びが拡大すると見られています。失業率は4.3%で前月と同水準の予想です。

 そのほか、経済指標では11月17日(月)にNY連銀製造業活動指数、11月19日(水)にNAHB住宅市場指数、11月20日(木)に中古住宅販売、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、11月21日(金)にPMI景況感指数などが発表になります。

 また、11月19日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録(10月28日~29日開催分)が発表されます。10月会合では0.25%の利下げが実施されましたが、パウエルFRB議長は会見で意見が大きく割れていると述べていました。その詳細がわかるはずです。

 今週もFRB高官の発言機会は多く、11月17日(月)にウォラー理事、ジェファーソン副議長、ミネアポリス連銀総裁、NY連銀総裁、11月18日(火)にリッチモンド連銀総裁、ダラス連銀総裁、11月20日(木)にシカゴ連銀総裁、クック理事などが予定されています。

 国内では、11月17日(月)に7~9月GDPが発表されます。市場予想は前期比年率▲2.4%となっています。前期+2.2%から減少、6四半期ぶりのマイナス成長となる見込みです。かなり弱い数字ですが、住宅投資などに特殊要因があり、株式市場への打撃は限られそうです。

 11月21日(金)の10月全国CPI(消費者物価指数)も注目です。総合指数は前年同月比+3.0%と前月+2.9%から加速予想、コアも前月+2.9%から+3.0%、コアコア(除くエネルギー・生鮮食品)では+3.0%から+3.1%に伸びがやや加速する予想です。輸入物価の影響の大きい耐久財が気になります。そのほか、11月20日(木)に中国11月最優遇貸出金利が発表されます。

 為替市場はいかがですか。

トレーダー西原 為替市場での注目もマイケル・バリーです。

 マイケル・バリーは、2008年のリーマンショック(住宅バブル崩壊)を予言し、世界経済が崩落する方に賭け続けて巨万の富を得た伝説の投資家です。

 彼の投資手法は映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転(2015年日本公開)」の主人公のモデルとなっており、ゴールドマン・サックス、リーマン・ブラザーズ、バンク・オブ・アメリカ、シティなど世界の名立たる金融機関を相手に逆張り(ショート)で勝利を収めました。

 先週、リーマンショックから17年ぶりにXで活動を再開し、AIバブルに対する警告を発信しています。

 具体的には、エヌビディアとパランティア(Palantir)の株に対してショートポジション(空売り)を取っていることが証券取引委員会の文書で明らかになり、緊張感が高まっています。

 パランティアのCEOアレックス・カープはバリーの空売りに激怒し、テレビインタビューで厳しく批判しています。

 加えて、マイケル・バリーは来週、11月25日(火)に新たな分析を発表すると予告していることもあり、エヌビディアを筆頭にAI関連銘柄の動向にはこれまで以上に神経質になっています。

 今週の注目は、そのマイケル・バリーがショートポジションを取っている11月19日(水)発表のエヌビディアの8~10月期決算発表。決算内容に関しては、叶内さんが先ほどご紹介していただいたとおりです。

注目は決算内容のあとのマーケットの反応。好決算予想もマイケル・バリーのコメントの影響で、マーケットの利益確定が先行するようだと、思わぬリスクオフになる可能性もあるため警戒しています。

 中期のスイスフラン/円強気のスタンスは変わりませんが、ユーロ/スイスフランの0.9200スイスフラン以下でのSNBの介入には警戒しています。

 そのため、今週はスイスフラン/円ではなくユーロ/円での押し目買いスタンスを検討しています。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足チャート

(出所:TradingView

ボラティリティが低下している米ドル/円は、引き続き152~155円のレンジ圏内での押し目買いスタンス継続

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 マイケル・バリーのAI投資への警鐘のとおり、米国株が思わぬ急落を見せるようだと、スイスフランロングを再開しようと考えています。

トレーダー西原 MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレードを楽しんで行きましょう。


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