(「マネーパートナーズ・奥山社長に聞く(1) 専業個人トレーダーからFX会社の社長へ」)
マネーパートナーズの奥山社長は学生時代、パンローリングの後藤さんと出会ったのだが、その後藤さんの師匠は有名な相場師の林輝太郎さんだった。
後藤さんと出会った奥山さんは一時期、その林輝太郎さんのところでも「相場技術論」を学んだそうだ。そして、その時、奥山さんは商品先物にも深く興味を持つことになった。
■なぜ、小豆の相場はわかりやすかったのか?
奥山さんは商品先物はマーケットメカニズムがわかりやすく、学びやすいと話す。特にわかりやすかったのは小豆だ。
商品先物でメジャーなものというと、原油や金、穀物だったらトウモロコシや大豆といったところが思い浮かぶが、なぜ、小豆はわかりやすかったのか?
「小豆は基本的に日本人しか食べませんし、北海道や東北でしか作られないので、作付け面積もかなり限定されています。豊作・不作などもわかりやすい。1年ごとに必ず新しい小豆が出てきて、それを古い小豆と比べたら、どちらが高いというのもハッキリしています。
米で言えば、新米と古米では新米の方が高いに決まっていますよね。それと同じようなことなんです。
トウモロコシはアメリカでどっさり作られていて、それが入ってきますから、商品自体の価格変動に加えて、為替相場の影響を受けて国内価格が動くから複雑でわかりにくいんです。為替が問題なんですよね。為替屋のボクが言うのもなんですが…(笑)」
■小豆のサヤ取りで大学卒業時には数千万円の資産
ただでさえ、動きがわかりやすい小豆を対象に、奥山さんはトレード手法でも確実な方法を取った。サヤ取りを行ったのだ。
サヤ取りとは、同じ価格に本来収れんするはずの2つのものの価格差が開いた時を狙って、割高な方を売ると同時に割安な方を買う手法だ。これなら、2つのものの価格差だけが問題となり、マーケット全体が暴落しようが、暴騰しようが、それは関係がなくなる。
サヤ取りにはいくつかの種類があるが、奥山さんがトレードしたのは、限月(決済期限)の異なる2つの小豆の先物でのサヤ取りだった。
商品先物で最初に投じた資金は50万円。サヤ取りによる利益を着実に積み重ねていった結果、それが大学卒業時には数千万円にまで膨れあがっていたという。
「商品先物の世界では、市場にはメカニズムというものがあって、それを熟知している人、つまり、『勝つ法則』をきちんと知っている人は利益を上げ続けることができる、ということを学びました」

商品先物のトレードで大きな成功を収めた奥山さんだが、その後、商品市場の取引量が減る一方、奥山さんの取引が大きなものになっていくと、自分自身が出した注文によって市場の価格が動くようになってしまった。そこでやむなく、商品先物からは撤退することにしたのだった。
■日経225先物、日経225オプションへ転向
商品先物から撤退した奥山さんは日経225先物、日経225オプションのトレードへ転向することになる。
その手法は、コンピューターを使って徹底したデータ分析を行い、それに基づいたエントリー、決済を行うもの。当時はまだ珍しかった、システムトレードを行っていたのだ。
奥山さんは日経225オプションの方が日経225先物より実は儲けやすい、と話す。
「オプションでは、極端な場合は、相場に入った瞬間にもう勝っているというポジションを組める場合もあるんです。そのまま放っておくと、どんどん儲かっていくんですね」
結局、奥山さんのトレードスタイルは、過去のデータから利益を上げやすいパターンを見つけ出し、そのパターンのトレードを行っていくというものだ。
1回1回のトレードではもちろん勝ったり負けたりするものの、利益の方が損失よりも大きくなるようなパターンを見つけ出してトレードしているので、長期間トレードを続ければ、着実に利益が積み上がっていくということなのである。
そこには一発大勝負を狙うギャンブラー的な要素はない。奥山さんは“相場でメシを食う”専業トレーダーとして、決まった形のトレードを淡々と日々こなしていたのだ。
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