■ドル/円急落は、日本政府が介入するかを探っただけ?
足元の為替市場は嵐が吹き荒れており、大荒れの状況だ。
11月27日(金)の東京時間朝方、米ドル/円は、84.82円まで下落した。これは、14年ぶりの安値水準である。
米ドル全面安のリード役として、円が再浮上しているといった見方もあるようだが、これはどうであろうか?
マーケットが、日本政府の市場介入の本気度を探って、対円で米ドル売りを仕掛けているだけに過ぎず、米ドルの全面安がこれからも続くという結論を出すのは早計だと、筆者は考えている。
■米ドル安は、ついにセリング・クライマックス?
その理由は、以下のとおりだ。
ドルインデックスは、11月16日(月)に74.78の安値をつけた後、いったん反発に転じた。だが、戻りは限定的で、再び下落に転じ、11月25日(水)には74.17をつけて、前回安値を更新した。
しかし、翌11月26日(木)の大引けは75以上となっていて、目先、反発の動きを見せている。
つまり、前回のコラムで指摘したとおり、安値は再度更新したものの、さほど深くはならなかったのだ(「ドルインデックスはすでに底打ちか。年末に向け、米ドルのリバウンドに注意!」を参照)。
ちなみに、弱気リバーサルのシグナルに基づいて計算された、ドルインデックスのターゲット値は74.56だった。11月25日(木)の終値は74.28。これらを考慮すると、米ドル全般の底打ちが、すでに完了した可能性は高い。
ここで、下に示したドルインデックスのチャートを見てほしい。前回のコラムで示したドルインデックスのチャートと比べると、よりわかりやすいだろう(「ドルインデックスはすでに底打ちか。年末に向け、米ドルのリバウンドに注意!」を参照)。
(出所:米国FXCM)
上に示したチャートで、黄色の線で囲まれた値動きのパターンを「ダイアゴナル・トライアングル」と呼ぶ。
その最終段階には「急落」の形が表れ、セリング・クライマックスを経てから、反騰に入る場合が多い。
そうすると、11月25日(水)に「急落」し、翌11月26日(木)切り返した値動きは、セリング・クライマックスの終了を告げるサインである、と読み取れなくもない。
■豪ドル/米ドルは、下落トレンドに転換か?
それでは、豪ドル/米ドルはどうなるか?
下に示したチャートを見て、すぐにわかるように、豪ドル/米ドルは、重要なサポートラインを割り込んでいたのだ!
上に示したチャートで、黄色の線で囲まれた値動きのパターンを「ダイアゴナル・トライアングル」と呼ぶ。
その最終段階には「急落」の形が表れ、セリング・クライマックスを経てから、反騰に入る場合が多い。
そうすると、11月25日(水)に「急落」し、翌11月26日(木)切り返した値動きは、セリング・クライマックスの終了を告げるサインである、と読み取れなくもない。
■豪ドル/米ドルは、下落トレンドに転換か?
それでは、豪ドル/米ドルはどうなるか?
下に示したチャートを見て、すぐにわかるように、豪ドル/米ドルは、重要なサポートラインを割り込んでいたのだ!
■ユーロ/米ドルもトレンド転換か?
一方、ユーロ/米ドルを見てみると、こちらは、3月安値から引かれたメイン・サポートラインの下抜けをトライしている。
11月25日(水)に1.5050-60ドル近辺にあった重要なレジスタンスラインをブレイクし、年初来高値を更新していたにもかかわらず、である。
一方、ユーロ/米ドルを見てみると、こちらは、3月安値から引かれたメイン・サポートラインの下抜けをトライしている。
11月25日(水)に1.5050-60ドル近辺にあった重要なレジスタンスラインをブレイクし、年初来高値を更新していたにもかかわらず、である。
(出所:米国FXCM)
確かに、米ドルのリバウンドには材料があった。それは、前日に飛び込んできた、ドバイ政府系企業の資金繰り悪化、さらには、スイス当局による市場介入のうわさだ。
■トレンドの転換はファンダメンタルズが先?それとも?
だが、歴史が教えてくれるように、マーケットのトレンドが展開したときは、往々にして、ファンダメンタルズ的な材料を伴うものだ。何か発生しても、それは、まったくサプライズにはならない。
突発的な材料が出て、それが、世間の意表を突くということは多い。だが、市場の内部構造がトレンドの転換を先に決めていて、ファンダメンタルズが、その後を追い、表面化するケースは多い。
つまり、経済指標など、さまざまな材料の結果がマーケットの方向性を決めるのではなく、マーケットの内部構造の変化が逆にファンダメンタルズを誘導するのだ(「相場は煮詰まって『臨界点』へ。米雇用統計がその引き金を引く!」を参照)。
■米ドルのキャリートレードが吹き飛ばされる!?
サブプライム問題は記憶に新しいが、前日に表面化した、ドバイの政府系企業の資金繰り悪化の問題もしかりである。
中東のバブルは周知の通りであって、本来なら、ドバイ政府傘下のリゾート会社の債務問題も、想定の範囲内の出来事だ。
だが、マーケットの内部構造が、米ドル高への転換をすでに決めているのならば、この問題がこれからも、米ドル高への起爆剤として注目されるだろう。
そして、米ドルのリバウンドが本格化すれば、一般的な解釈だと、中東の危機が金融危機を再燃させ、リスク回避の動きが盛んになり、米ドルが買われるという展開になるだろう。
そうなれば、「サブプライム」と同じように、これからは一般人も、「ドバイショック」のような聞きなれない単語を口にするようになるかもしれない。
しかし、それは重要ではない。重要なのは、この先も、世界中のどこかで何かしらの問題が発生し、米ドルが買われるということだ。つまり、米ドルのキャリートレードが吹き飛ばされるということである。
ちなみに、米ドル/円も、ドルインデックスと同様に、今回の動きはセリング・クライマックスに位置づけられると考える。それについては、次回、分析を行いたい。
(2009年11月27日 東京時間15:30記述)
確かに、米ドルのリバウンドには材料があった。それは、前日に飛び込んできた、ドバイ政府系企業の資金繰り悪化、さらには、スイス当局による市場介入のうわさだ。
■トレンドの転換はファンダメンタルズが先?それとも?
だが、歴史が教えてくれるように、マーケットのトレンドが展開したときは、往々にして、ファンダメンタルズ的な材料を伴うものだ。何か発生しても、それは、まったくサプライズにはならない。
突発的な材料が出て、それが、世間の意表を突くということは多い。だが、市場の内部構造がトレンドの転換を先に決めていて、ファンダメンタルズが、その後を追い、表面化するケースは多い。
つまり、経済指標など、さまざまな材料の結果がマーケットの方向性を決めるのではなく、マーケットの内部構造の変化が逆にファンダメンタルズを誘導するのだ(「相場は煮詰まって『臨界点』へ。米雇用統計がその引き金を引く!」を参照)。
■米ドルのキャリートレードが吹き飛ばされる!?
サブプライム問題は記憶に新しいが、前日に表面化した、ドバイの政府系企業の資金繰り悪化の問題もしかりである。
中東のバブルは周知の通りであって、本来なら、ドバイ政府傘下のリゾート会社の債務問題も、想定の範囲内の出来事だ。
だが、マーケットの内部構造が、米ドル高への転換をすでに決めているのならば、この問題がこれからも、米ドル高への起爆剤として注目されるだろう。
そして、米ドルのリバウンドが本格化すれば、一般的な解釈だと、中東の危機が金融危機を再燃させ、リスク回避の動きが盛んになり、米ドルが買われるという展開になるだろう。
そうなれば、「サブプライム」と同じように、これからは一般人も、「ドバイショック」のような聞きなれない単語を口にするようになるかもしれない。
しかし、それは重要ではない。重要なのは、この先も、世界中のどこかで何かしらの問題が発生し、米ドルが買われるということだ。つまり、米ドルのキャリートレードが吹き飛ばされるということである。
ちなみに、米ドル/円も、ドルインデックスと同様に、今回の動きはセリング・クライマックスに位置づけられると考える。それについては、次回、分析を行いたい。
(2009年11月27日 東京時間15:30記述)
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