最近の為替市場には、静かな変化が見られる。
すなわち、ドルインデックスと主要通貨の間に「かい離」が生じてきたのだ。
■ドルインデックスは年初来安値を更新したものの…
今週初め、11月16日(月)に、ドルインデックスは年初来安値を更新し、74.78をつけたものの、主要通貨のうち、豪ドルだけしか対米ドルで年初来高値を更新できなかった。これは、米ドル安のスピードとモメンタムの低下が露呈した出来事だろう。
このことを、詳しく検証してみる。
現執筆時点では、ユーロ/米ドルの年初来高値は10月26日につけており、米ドル/スイスフランの安値、すなわち、スイスフランの高値は、10月23日につけられていた。
その他では、加ドルは10月15日に高値をつけていて、円も10月7日につけた高値を更新できずにいる。
英ポンドに至っては、8月5日に早くも高値をつけていて、その後は高値を更新できずにいるのだ
■ユーロ/ドルが3週間前の年初来高値を更新できない!
特筆すべきなのは、ユーロ/米ドルの鈍さである。
ユーロのドルインデックスにおけるシェアは、なんと57.6%にも達している。そのユーロが、ドルインデックスとの連動性を弱めていて、マーケットの米ドル安のコンセンサスが極めて強いにも関わらず、3週間前につけた高値を更新できずにいる。
このこと自体が、「1つのサイン」として見逃せないことなのだ。
つまり、米ドル安のトレンドが終えんを向かえたと判断するのは早計だとしても、少なくとも、そのような可能性について十分警戒しないわけにはいかないということだ。
もっとも、筆者はずっとこのことを指摘していた。今週の値動きを見ていると、その可能性が、にわかに高まってきているように思える(「年末に向け、米ドルのリバウンドと英ポンドの「サプライズ」に備えるべき!」を参照)。
■テクニカル的に見ると、豪ドル/米ドルは重要な局面に!
また、前回のコラムでも述べたように、足元でファンダメンタルズ的に一番よいとされている豪ドル/米ドルの値動きを見れば、マーケットの本流がわかる(「海外トレーダーとの情報交換で感じた安易な米ドル安値追いに潜むリスクとは?」を参照)。
豪ドル/米ドルを、テクニカル的な視点で再検討してみよう。
チャートを見てわかるように、豪ドル/米ドルは、11月16日(月)の高値である0.9403ドルから、一時は0.9132ドルまで調整してきた。
だが、これは、前回のコラムで指摘した、RSIが示す弱気ダイバージェンスの指示に沿った値動きであって、当然の成り行きと受け止める(「海外トレーダーとの情報交換で感じた安易な米ドル安値追いに潜むリスクとは?」を参照)。
目先の焦点は、3月安値から、7月、9月、10月、11月の安値を結んだサポートラインを割り込むかどうかだ。
これを割り込めば、筆者の見方が証明されたことになり、今後、米ドル全体が強いリバウンドを見せてもおかしくはない。
一方、ここで再びサポートされれば、逆に、米ドルの「アタマ」を確認できたことで、さらなる米ドル安の展開が見込まれるだろう。
ちなみに、豪ドルのサポートが確認されて、再び高値を更新する展開となった場合、テクニカル上の計算では、0.9580/0.9600ドルレベルまで高値を伸ばすことになる。
そうなれば、ドルインデックスも、11月16日(月)につけた74.78の年初来安値を更新して、74.0近辺まで下落する可能性も出てくる。
■ドルインデックスは、再び安値更新へと向かうのか?
同じように、ドルインデックスのチャートを見てみよう。
(出所:米国FXCM)
前回のコラムでも書いたように、RSIが示す強気ダイバージェンスのシグナルに沿った形で、ドルインデックスは底割れを回避している(「海外トレーダーとの情報交換で感じた安易な米ドル安値追いに潜むリスクとは?」を参照)。
このことは、まったくサプライズとはならないが…
前回のコラムでも書いたように、RSIが示す強気ダイバージェンスのシグナルに沿った形で、ドルインデックスは底割れを回避している(「海外トレーダーとの情報交換で感じた安易な米ドル安値追いに潜むリスクとは?」を参照)。
このことは、まったくサプライズとはならないが…
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)