米ドル/円が昨年以来の150円超えから、一気に147円台まで急落。日本政府による介入観測が広がった
10月3日(火)の夜、NY市場で米ドル/円が一時的に急落するという局面がありました。
その日は米国の長期金利が上昇した影響で米ドル全面高になり、米ドル/円も昨年(2022年)以来150円を一時超えました。
しかし、その直後、米ドル/円が突然急落を始め、一気に147円台にまで一時下落しました。
マーケットには、日本政府による米ドル売り・円買い介入があったのではないかという観測が広がりました。
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⇒ユーロ/米ドルは1.00ドルのパリティが中期的な視野に。米長期金利がリーマンショック以前の水準に戻り、米ドル全面高を誘発。米ドル/円は昨年高値超えなら為替介入か(9月29日、今井雅人)
(出所:TradingView)
数十億ドルの米ドル売り介入という情報が正しければ、昨年の介入よりはかなり金額が少ないことに
私なりに情報収集をした限り、どうやら実際に介入は実施された可能性が高い。
NY時間に、数行に対して数十億ドルの米ドル売り注文が日銀から入ったようです。
後日、介入の実施については公表されますので、真偽はその時点で確認したいと思います。
私の情報が正しいとすれば、今回の米ドル売り・円買い介入は、昨年の介入よりはかなり金額が少ないということになります。
ちなみに、昨年は1回で2~3兆円程度の介入が実施されています。
イエレン米財務長官の発言で、あまり派手な介入はできなかったのが実情か。中規模な介入に対して、下がったところは買う準備を
これをどう解釈すればいいのか。そのカギはイエレン米財務長官の発言にあります。
彼女は「変動が過度な場合にそれを緩衝するための為替介入は正当化できる」という趣旨の発言をしていますので、現状の緩やかな動きの中での介入は、あまり派手にできなかったというのが実情ではないでしょうか。
イエレン米財務長官は「変動が過度な場合にそれを緩衝するための為替介入は正当化できる」という趣旨の発言をしている。現状の緩やかな動きの中での介入は、あまり派手にできなかったというのが実情ではないか (C) Bloomberg/Getty Images
そうであれば、今後も昨年のような大規模な為替介入はしづらいのではないかという予想がたちます。
今後も、上がってくると、たまに中規模な介入をしてくるというのをメインシナリオとして考えておきたいと思います。
下がったところをしっかり買う準備をしておくことは、言うまでもありません。
米長期金利の推移に今後も大注目。その動向を占うのは米経済指標
次に、米国の金利状況です。米国の長期金利(10年債利回り)は一時4.8%を超えましたが、ここ数日、反落しています。
(出所:TradingView)
上がり過ぎの反動とも取れますが、米国の長期金利の上昇を背景に米ドル高になってきましたので、今後も米長期金利の推移には大注目です。
その動向を占うのは、今後発表される米国の経済指標です。
まずは、明日、10月6日(金)に9月雇用統計が発表されます。市場の予想は、失業率が3.7%、非農業部門就業者数が16.8万人の増加です。その後は来週(10月9日~)のCPI(消費者物価指数)に繋がっていきます。
現在、FFレート(※)の先物市場を見ると、11月1日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ確率は23%程度となっていますが、経済指標が良好で、この確率が上昇してくると再び米ドル高が加速すると思います。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
ユーロ/米ドルは1.02ドルぐらいまでは落ちそう。売られ過ぎが気になるが、基本の方向は下
チャートを確認してみましょう。
ユーロ/米ドルの週足を見ると、ユーロ/米ドルは下に抜けており、1.02ドルぐらいまでは落ちそうに見えます。
(出所:TradingView)
オシレーター系のチャートはかなり売られ過ぎになっていることが気になりますが、基本の方向は下と考えてよいのではないかと思います。
メキシコペソは米国の金利上昇に弱い点に注意。すべては今後の米経済指標次第
最後にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)です。全体的には基本レンジから抜けられないと思います。
ただ、メキシコペソは米国の金利上昇には弱いですから、その点は注意が必要です。
(出所:TradingView)
すべては今後の米経済指標次第です。今週、来週は特にその結果にはよく注視しておきましょう。
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