米長期金利は4.89%から4.5%台まで低下したが、再び上昇して、現在は5%近辺に
ここ最近の金融市場の動きで、非常に不思議なことがあります。
それは、米国の金利と米ドル相場の関係です。
米国の長期金利の動きを見ると、ここのところ大きく上昇してきているのが分かります。代表的な10年債利回りの推移を見てみましょう。
10月に入り、4.89%と2007年以来の水準まで上昇した後、一時4.5%台にまで下がっていました。その後、米国のCPI(消費者物価指数)が予想より若干高かった影響もあり、再び上昇。現在は5%近辺に達しています。
(出所:TradingView)
12月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げの可能性も、マーケットでささやかれるようになりました。
米長期金利が上昇しているにもかかわらず、今回は米ドル相場がほとんど動いていない
通常であれば、米国の長期金利がこれだけ上昇すれば、米ドルはかなり上昇するはずです。
ところが、今回は米ドル相場がほとんど動いていません。
米ドル/円を見ると、確かに149円台と高値で推移していますが、150円で一度跳ね返された後は、まったく150円を超えなくなっています。
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルの動きを見ても同様です。米国の長期金利の上昇のスピードを考えると、1.02ドル台辺りまでユーロ安・米ドル高になっていてもおかしくないのですが、実際は、1.05ドル台でまったく動かなくなってしまっています。
(出所:TradingView)
色々調べているのですが、どうしてこういう動きをしているのか、理由がはっきりせず、正直戸惑っています。
米長期金利が上昇しても、米ドルが上昇しない理由の1つとして考えられるのは、ウクライナとイスラエルの問題の影響
1つ考えられるとすれば、ウクライナとイスラエルの問題の影響です。
ウクライナとロシアの紛争は長期化し、米国の財政支援の金額も巨額になってきています。
議会、あるいは米国国民の中には、これ以上の財政支援に否定的な意見が広がってきています。
それに加え、イスラエルとハマスの衝突が発生し、米国政府も頭を悩ませています。
こうした財政悪化の影響で、米長期金利が上昇しているとすれば、米ドルには必ずしも買い材料とはならないと考えている投資家がかなりいる、ということはあり得るかもしれません。
そのあたりはもう少し調査してみる必要があると考えています。少し時間をいただければと思います。
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FX相場は当面気迷いモードに。米ドル/円とユーロ/米ドルはレンジトレードを続ける
以上のことを考えると、FX相場は当面はこのまま気迷いモードに入ってしまう可能性が高いと言わざるを得ません。その前提でレンジトレードを続けます。
米ドル/円は148円台がすでに買いゾーンになっています。先日も一瞬でしたが148円台がありました。そういうチャンスを逃さないために、買い注文を入れておくことが有効だと思います。
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルも1.06ドル台は売り、1.04ドル台は買いというシナリオでやっていきます。
(出所:TradingView)
メキシコペソは米長期金利の上昇に脆弱。メキシコペソ/円は8.0~8.4円のレンジを想定
最後にメキシコペソですが、やはり米国の長期金利の上昇には脆弱であることが最近の動きではっきりしています。
メキシコペソ円は一時8.4円程度まで上昇しましたが、その後失速しています。
今後も以前のような一方的に上昇する相場はやってこないと現在は考えています。8.0~8.4円のレンジでの上下動を想定しておきます。
(出所:TradingView)
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